元国税局職員 さんきゅう倉田です。好きな鳥は「ハト」です。

社会では、他人がどのように行動し、そのとき自分がどのように行動すべきか考えることで、得をすることがあります。逆に、行き当たりばったりで、思慮浅く行動する人は、損をします。今回は、ゲーム理論を参考に、あなたが取るべき行動を一緒に考えましょう。

ゲーム理論とは

利害関係のある相手がいる状況で、自分と相手の利益を考え、意思決定や行動を分析する学問です。ゲーム理論には、いくつか有名な設定があります。もっとも有名なのは、「囚人のジレンマ」です。

囚人のジレンマは、囚人二人が、それぞれ黙秘するか自白するかで、利得が変わります。利得は聞き慣れない言葉ですね。点数やお金のようなものだと思ってください。ゲーム理論では、自分の選択だけでは、点数は変わりません。自分の選択と相手の選択の組み合わせによって、点数が変わります。

だから、場合分けをして、相手の選択を予想する必要があります。

※囚人のジレンマについては、こちらで紹介しています。

タカハトゲーム

囚人のジレンマの親戚に「タカハトゲーム」があります。タカハトゲームの設定を読むだけでわくわくします。どのような選択が、自分の点数を最大にするか考えるのはたのしいですね。

無限に続くタカハトゲームでは、常に最適な選択はなく、相手の行動を確率的に思考する必要があります。

このゲームは、次のような設定です。

囚人のジレンマと同じように、あなたには2つの選択肢が与えられています。攻撃的なタカとやさしいハトのどちらかになる選択肢です。どちらもエサを探していますが、他の鳥が周りにいた時の行動が異なります。

タカは、他の鳥がタカであろうとハトであろうと、追い出すために攻撃します。ハトは、タカに遭遇すると逃げ出しますが、他のハトとは仲良くエサを分け合います。

タカとタカが出会うと、お互いに攻撃するので、傷ついてしまいます。これらの行動を点数で表した表が下記になります。

相手の選択を加味すると、あなたの合理的な選択は、タカになります。合理的な人間は、自分だけがハトを選ぶリスクは取りません。相手も同じように考えるので、双方がタカを選ぶことになります。

お互いにハトを選んだほうが、点数が高いことは分かっています。それでも、タカを選ぶことになります。

しかし、タカハトゲームが無限に繰り返される場合は、選択が異なります。無限に続く場合は、利益を最大にするため、相手がハトなら自分もハトを選ぶという組み合わせが起こります。

たとえば、どちらかが1度タカを選ぶと、次は相手もタカを選ぶ可能性があります。しかし、そのまま、互いにタカを選び続けるのは、合理的ではありません。相手がタカでも、ハトを選んだほうが、点数が高いからです。

すると、互いにハトを選ぶことになります。しかし、またどちらかだけがタカを選ぶこともあるでしょう。すると、相手も次にタカを選ぶかもしれません。そのようなことが無限に繰り返されます。

有限の場合は、合理的に行動するとタカを選びますが、無限に繰り返される場合は、タカとハトの両方を選ぶことになります。

このタカハトゲームは、商取引に応用できます。単発の取引では、取引先は「もう2度取引することはないから」と、あなたに嘘をついたり、失礼な態度を取ったりすることがあります。

タカハトゲームのように、取引先がそのようなことをすると予想して、自分もそうすることは少ないと思いますが、一方的に裏切られることはままあるでしょう。

しかし、無限に取引をする場合、そのような選択は減っていくと考えられます。何度も取引する相手への嘘や無礼は、合理的とはいえません。

ぼくが正直な人間なら、新規の取引回数の少ない取引先には虚偽や搾取をされないよう対策をした上で警戒し、継続的な取引の場合は紳士的に対応します。

さんきゅう倉田

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さんきゅう倉田

さんきゅう倉田

芸人、ファイナンシャルプランナー。2007年、国税専門官試験に合格し東京国税局に入庁。100社以上の法人の税務調査を行ったのち、よしもとクリエイティブ・エージェンシーに。ツイッターは こちら