元国税職員さんきゅう倉田です。好きな給与所得の定義は「空間的・時間的拘束」です。 芸人になってアルバイトをしていた頃や、思い切ってアルバイトを辞めて最もお金がなかった頃は、生活費を4で割って毎週の予算を決めて生活していました。節約しながら生活していたかと聞かれると、そんなことはなかったように思います。
もともとの生活水準が高くないので、消費を減らすと健康で文化的な最低限度の生活を営めなくなってしまいます。それに、自ら設定した予算の範囲で問題なく生活ができていました。
節約というのは、給与や設定した予算の範囲で生活する事が困難な場合に行うものだと考えています。
その方法論については、銀行口座を2つに分ける、週の予算を決める、買う前にどれくらい必要かどれくらい使用するか、費用対効果に優れているかなど考えることが推奨されています。
そういう技術は本やウェブの記事、この連載にも溢れているので、今回は節約論を扱いたいと思います。
子どもの頃、「一度上がった生活水準は下げる事ができない」という言説を耳にしました。人は心の弱い生き物であるから、豊かな生活に慣れてしまうとその水準を下げる事ができない。収入が下がっても以前の高い生活水準を維持し続ける。そう理解していました。 これは概ね正しい。正確には、下げようと思ったらある程度下げられるけれど、その人の心の中にある基準点が上がっているから、その人の外部から観察するとそんなに下がっていないと言えます。
このような基準点参照効果は節約だけでなく、買い物など生活のあらゆる場面で見られることで知られています。
さて、実際に基準点を下げることが難しい例を実体験の中から探っていきましょう。
まず、渋谷区内で一人暮らしをする筆者は、週に何度かマルエツで食料品を買います。個人事業者なので、収入は不安定です。大学に通っているので働く時間が取れず、月収が家賃と同じくらいになってしまう月もあります。
夏休みや春休みにたくさん働くので年間の総収入は同世代の会社員と比べて低くないかもしれませんが、月単位で収支がマイナスとなると心に負荷がかかります。
「先月は課題と授業の予習・復習と学術書の輪読があって働かなかったから少し節約しようかな」と考える時もあります。
といっても、大学に通っている4~7月、10~1月はそのような生活がずっと続いています。だから、毎月のように考えている。
では、どうしましょうか。
普段食べている日本の鶏肉は高いからブラジル産の鶏肉にしようとか、森永のビスケットやクッキーが大好きだけれど、100円均一で買ったお菓子で我慢しようかなとか、16歳の頃からずっと通い続けているコムデギャルソンではもう服を買わずに、下北沢で買った古着で着回ししようかなと気持ちを切り替える事ができるでしょうか。
それはやっぱり難しい。
価格はしっかりと味に反映されているし、古着はやっぱり誰かが着た痕跡が残っていて新品の良さには敵わない。勿論、そういったことが気にならない人もいるでしょう。
それでも、基準点を参照してしまうので高い価格のものから低い価格のものへと移行するのは容易ではありません。
では、どうするか。水準を下げるのではなく、「買わない」。それが最善だと考えています。
日本はブラジルに、ギャルソンを下北にはできないけれど、買わないことは誰にでもできます。なぜならば、今まで買っていたものは 毎日買っていたわけではありません。
鶏肉を毎日食べるわけではないし、ギャルソンを毎週買うわけではない。同種のもの買おうとして水準を下げると不快だけれど、全く別種のもので代替すればストレスが少なく済みます。
タンパク質を摂りたいなら、より安い納豆とか豆腐を買えばいい。ギャルソンも買う頻度を少なくすればいい。今までだって買わない期間があった。それを少しずつ長くしてやればいい。
そもそも買う頻度はあまり意識していなかったかもしれません。意識していなかったくらいだから、ちょっとくらい買わない期間が長くてもストレスにならない。
それに、永遠に買わない決心をするわけではありません。いつか買うという安心感がストレスを減らしてくれます。
水準を下げるのではなく、購入頻度を少なくする、あるいは別種のもので代替することで節約することをお勧めします。
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