元国税職員さんきゅう倉田です。好きな小説の書き出しは「私はその人を常に先生と呼んでいた。」です。

一昨年、親族の葬儀があったんですが、コロナ禍だったため参加できませんでした。お通夜や葬式は滞りなく終わったそうですが、不慣れな不動産の相続などに家族は悩まされていました。

ぼくは、葬儀のことはなにも知りません。誰に連絡すれば良いのかも分からないし、費用相場も聞いたことがない。

不安なので勉強しました。

葬儀費用の平均は200万円

しかし、葬儀費用は減少傾向にあるそうです。
理由は、小規模化や不明瞭な会計システムが忌避されているため。

確かに、お坊さんへの御車代など、請求されるわけではないけれど慣習的に支払わなければいけない費用が存在します。

金額が定まっていない支払いはお坊さんからしても、幾らもらえるか分からないため不安なのではないでしょうか。

芸人ももらう瞬間までギャラの金額が分からない仕事があります。仕事へ向かう道中、仕事中、終わって仕事をくれた方にお礼を言っている間、振り込みまでの2ケ月、ずっと不安です。

不安を募らせて募らせて募らせた結果、振込金額が希望額を上回ることはほとんどない。だから、なるべく事前に金額を確認しています(「個人事業者なら事前に確認するのが当たり前だろう」と思うかもしれませんが、芸人には事前にギャラを聞けない仕事がたくさんあります)。

きっと、お坊さんも不安でしょう。先例や慣習を無視して、御車代を払わない不届き者がいないとは言い切れない。

払ったとしても、相場がわからず、3,000円くらいで済ませるかもしれない。お坊さんへの支払いも事前の協議が必要なのではないでしょうか。

なお、『PREGIDENT』(プレジデント社)によると、お布施、いわゆる「お気持ち」の平均額1位は岩手県の42万円、47位は沖縄県の6万円。地域によって差がありますね。

また、葬儀費用として主なものに、火葬場使用料、飲食代、香典返し、戒名料があります。地域や規模によって金額は異なりますが、無知につけこまれて「業者の言うがまま」にオプションを付けられ、高額な請求をされる方もいるようです。事前の勉強が必要ですね。

ぼくは信心深くないので、葬儀屋に支払うお金を「もったいない」と感じてしまいます。だから、家族には、「ぼくが死んだら鳥葬にしてくれ」と子どもの頃から言っています。

お金持ちならではの相続のトラブル

昔、合コンで知り合った銀行員の女の子が言っていました。

「人が亡くなると新聞に載るの。銀行はそれを毎日チェックしていて、名前を見つけた瞬間に口座を凍結しているのよ。」

それを知っている顧客は家族が亡くなってすぐ、新聞に載る前に家族名義の預金をおろしにくるそうです。

少し前に、友人のお父さんが亡くなりました。相続の手続きや相続税の申告が終わって落ち着いた頃に話を聞きましたが、どこからか亡くなったことを聞きつけた税理士さんたちが営業の電話をかけてきて、辟易したそうです。

その友人の祖父は戦後の農地改革でたくさん接収されてもなお、広大な土地を持っていて、その土地はほとんどが駅前の一等地なので、相続財産も膨大でした。

地域では有名な資産家です。金の匂いを嗅ぎつけた人々が連絡してきたとしてもおかしくありません。お金持ちにはお金持ちの悩みがあるんですね。

とある税理士の友人は、顧問をしている会社の社長が亡くなったため相続の手続きをしました。しかし、社長にはフィリピン人の愛人とその息子がいて、彼らが相続に絡んだため、大きなトラブルになったと言っていました。

亡くなる前に関係を整理していなかったので、税理士さんが間に入って解決を試みましたが、奥さんからしたら不愉快極まりない。円満に終わるわけがありません。遺産分割協議などで、通常より多くの手間と時間がかかったそうです。

自分が亡くなった時のため、また、家族が亡くなった時のため、相続や葬儀について日頃から学んでおきましょう。

参照 : 『PREGIDENT』2022.1.14号(プレジデント社)

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