元国税局職員さんきゅう倉田です。好きな申告は「青色申告」です。
ことしも、確定申告の時期がやってきました。複数回に渡って、迷える納税者のために、確定申告をやわらかくたのしく解説します。今回は、確定申告をする前の悩みで最も多いテーマ、マイナンバーカードがないとe-Taxはできないのか、ない場合はどうするのか、そもそもe-Taxとは何かについて。
e-Taxってなあに
確定申告には、紙で提出する方法とインターネットで提出する方法があります。インターネットで提出する方法を、「e-Tax」と呼び、国税庁は、このe-Taxでの申告を推奨しています。
納税者にe-Taxを使ってもらえば、国は確定申告書を紙で保管する必要もないし、誤りのチェックも簡単です。人的ミスも減るでしょう。データ化して、統計や調査に活かすこともできます。
紙はトラブルのもとです。昔は、確定申告書を紛失して、税務署の偉い人たちが記者会見をする様子も散見されました。最近は見かけないですね。管理が適正に行われているんだと思います。
e-Taxは、自宅のパソコンでも税務署のパソコンでもできますが、ほんの少しだけ準備が必要です。方式が2つあるので、自分の環境に合わせて選ぶと良いと思います。
マイナンバーカード方式とID・パスワード方式
マイナンバーカードを持っている人はマイナンバーカード方式、ない人はID・パスワード方式で確定申告をします。昔ながらの紙で申告をする場合は、マイナンバーもIDもパスワードも必要ないので、この2つの方式についてなにか言っているときは、e-Taxを前提としています。
もはや、紙で申告するメリットは誰にもありません。行政のコストを肥大させるだけなので、意地を張らずに、e-Taxにしましょう。
マイナンバーカード方式の準備
マイナンバーカードとマイナンバーカードを読み取るカードリーダライタを用意しましょう。パソコンに繋いで使います。Amazonで探すと、1000~1500円くらいで売っています。
税務署や確定申告書作成会場に行けば、カードリーダライタが繋がれたパソコンがそこかしこにあるので、そこで申告すればコストはかかりません。
税務署は並ぶので、家でやりたい!という人はたくさんいると思います。ぼくもそのうちのひとりです。でも、税金を払うために、物を買うなんて、変ですよね。なんと、今年から、iPhoneで、マイナンバーカードを読み取れるようになりました!
現在確認できているのは、iPhone7以降のシリーズです。最新のiPhone11でももちろん読み取れます。ただ、iPadやiPod touchは、対応していないようです。
iPhoneでマイナンバーカードを読み取るためには「マイナポータルAP」と「e-Taxアプリ」の2つのアプリをインストールする必要があります。
少し手間ですが、税務署に行って並ぶよりは良いと思います。
ID・パスワード方式の準備
この方式なら、マイナンバーカードもカードを読み取る機器も必要ありません。その代わりに、A4の紙に記載されたIDとパスワードが必要です。IDとパスワードは、税務署や確定申告書作成会場で免許証などを見せて、名前や住所を登録すると発行してくれます。
前年に、確定申告をしている場合は、すでに発行してもらっている可能性が高いので、確定申告書の控えの中に、IDとパスワードが書かれた紙がないか探してみましょう。
IDは、利用者識別番号と書かれているかもしれません。さらに、IDとパスワードが書かれた紙の名称は、国税庁の公表している名称と異なる場合があります。国税庁のサイトでは、「ID・パスワード方式の届出完了通知」となっていますが、ぼくの持っている紙は、別の名前です。IDとパスワードのようなものがあったら、名称が異なっても使える可能性があります。
マイナンバーカードがなくても、確定申告ができます。ただ、ID・パスワード方式は、そのうち終了してしまう予定です。速やかに自治体からマイナンバーカードをもらって、e-Taxで使いましょう。
確定申告の内容が還付なら、紙で申告するより、優先的に、お金を振り込んでもらえますよ。
新刊『元国税局芸人が教える 読めば必ず得する税金の話』
(総合法令出版/1,404円/税込)
さんきゅう倉田の初の著書が発売されました。ぼくの国税局時代の知識と経験、芸人になってからの自己研鑽をこの1冊に詰めました。会社員やパート・アルバイトの方のための最低限の税の情報を、たのしく得られます。購入は コチラ