元国税局職員さんきゅう倉田です。 好きな給与は「2カ所給与」です。

先日、川崎市内の小学校で、税金教室を実施しました。そこで子どもたちに税金のことを聞いたら、累進課税も知っているし、消費税が間接税であることも知っていました。とてつもなく進んだ教育の地域なのかもしれません。

ぼくの周りの大人の方が、税に関する知識はないような気がします。

累進課税を正しく理解していないので所得税を計算することもできないし、年末調整と確定申告の違いもわからない。でも、それが普通です。何もおかしくありません。大切なのに学校も社会も教えてくれないから、みんな知らない。

  • ※クイズ仲間のしみけんさんに描いていただいたものをアレンジしました。 @avshimiken

どんなときに確定申告をしたらいいのかわからない

何も知らないから、どんなときに何をすればいいのかわかりません。だから、「あれ!?もしかしたら、確定申告しなきゃいけないのかな?これって脱税なのかな…」と無用の心配をしている人がいます。杞憂です。

一般人のミスや勘違いが脱税になることはありません。脱税を認定される人は、自分が脱税していることを必ず知っています。脱税する意図があって脱税しているので、何も知らないあなたは脱税をしていません。

でも、「申告漏れ」はしている可能性があります。確定申告が必要なのにしておらず、「無申告」になっている場合もあります。

それなのに、どんな場合に確定申告が必要なのか義務教育で教えてくれないなんて、鬼です。「どうしてなの!」とみんなに叫んでもらいたい。

よくある確定申告が必要なとき

国税庁のホームページを見ると、確定申告が必要な場合が列挙されています。その多くは、会社員、パート・アルバイトに向けて書いてくれています。働く人の9割が会社員、パート・アルバイトなので、合理的ですね。

確定申告が必要な場合としてよくあるのは、会社員として働きつつ、個人で仕事を受けている場合です。所得が20万円以上なら確定申告をしましょう(「所得」がわからない場合は、今までの記事を読んでね)。

また、ギャンブルをたくさんする人も確定申告が必要かもしれません。こちらは、年間の利益が50万円を超えていれば、一時所得として申告します。ギャンブルには、競馬、競輪、競艇などの認められたものから、パチンコや麻雀などの認められていないものも含まれます。完全に非合法の闇カジノや野球賭博も対象です。

別に犯罪を容認するわけではありません。所得税のルールで、適法であるかどうかを問わず、所得があれば税金がかかると決まっているのです。 これら以外にも確定申告が必要な場合があります。それが、2カ所で働いている場合です。

2カ所でバイトしていたら確定申告必要なんですか?

ぼくのTwitterには、知らない人からDMが届きます。主に、税金についての質問です。他の芸人さんがもらうような「ファンです。付き合ってください」といった文言は見かけません。いつだって「聞いてもいいでしょうか?」とか「教えて下さい」で始まります。

そういう質問には、税理士法に抵触するおそれがあるので答えられないのですが、なんとかしてあげたいなとは常に考えています。

質問で多い、かつ、基礎なのに周知されていないのが、2カ所で働いている場合確定申告が必要なのかです。年末調整や扶養控除等申告書を理解していれば、確定申告が必要だとわかるのですが、難解な制度なので、悩んでいる人が多いようです。

シンプルに書きます。2カ所で働いていたら、確定申告をしましょう。やり方が分からなければ、2月・3月の確定申告期間に税務署に行きましょう。

2カ所でアルバイトする人、2カ所以上で働く人はたくさんいると思います。でも、勤務先は確定申告の要否を教えてくれません。自分で調べ、自分のことは自分で守りましょう。

さんきゅう倉田

新刊『元国税局芸人が教える 読めば必ず得する税金の話』

(総合法令出版/1,404円/税込)
さんきゅう倉田の初の著書が発売されました。ぼくの国税局時代の知識と経験、芸人になってからの自己研鑽をこの1冊に詰めました。会社員やパート・アルバイトの方のための最低限の税の情報を、たのしく得られます。購入は コチラ