「電話応対は苦手……」そう感じている新社会人や就活生は多いのではないでしょうか? 近年、SNSやチャットツールが普及し、電話を使う機会が減っているため、苦手意識を感じるのは当然かもしれません。しかし、ビジネスシーンにおいて電話はまだまだ重要なコミュニケーションツールです。

本連載では、電話への抵抗感をなくし、社会人の基礎スキルを磨く機会となるような電話応対のコツやテクニックを紹介します。

これまでの記事では、好印象を与える電話対応のテクニックをお伝えしました。しかし、いざ電話をかけるとなると、「間違えたらどうしよう」「うまく伝えられなかったら」と不安になり、電話をかける一歩が踏み出せない方もいるかもしれません。

今回は、電話応対のよくあるお悩みと、それを解決するための対処法を解説します。考え方を少し変えるだけでも、緊張や不安が和らぎますのでぜひ参考にしてみてください。

お悩み1:自信がなさそうに聞こえる

電話中に「あのー」「えっと」といった、いわゆる「フィラー」を多く使ってしまうことはありませんか? これらの言葉は、会話の繋ぎとしては便利ですが、多すぎると相手に「自信がない」「焦っている」といった印象を与えてしまいます。

逆に、フィラーが少ない話し方は、自信を持って話す印象を与えることができ、フィラーを減らすだけでも、話し方の印象は大きく向上します。

フィラーを減らすための3つの対策

1.トークスクリプトをもとにした練習

まずは、話す内容をまとめたトークスクリプトを用意して、何度も声に出して読み、スムーズに言えるように練習します。単に読むだけでなく、声のトーンや話すスピード、間の取り方なども意識しながら練習することで、より自然で自信のある話し方が身につきます。

2.相槌のバリエーションを増やす

自分の電話応対を録音して聞き返すのも、改善に繋がる有効な手段です。録音を通して、自分がどんなフィラーをよく使うのかを把握し、意識的に使わないようにしましょう。

例えば、質問の返答に困った時に「えっと…」と言ってしまう癖があるなら、「そうですね」といった別の相槌を使ったり、「〇〇についてのご質問ですね」と相手の言葉を繰り返すことで、考える時間を作りつつ、落ち着いた印象を与えることができます。

3.想定問答集で心の準備を

電話対応の経験を重ねるうちに、よく聞かれる質問の傾向が見えてくるはずです。それらを想定問答集としてまとめ、電話中に確認できるようにしておきましょう。手元に備えがあるだけで、焦らず落ち着いて対応できます。先輩に「どんな質問が多いですか? 」と聞いてみるのも良いでしょう。

さらに、具体的な提案をする際に「複数の選択肢を用意しておく」のも有効です。例えば、商談の日程を調整する際に「〇日はご都合いかがでしょうか? 」と尋ねて、もし相手の都合が悪ければ、「それでは、△日か□日はいかがでしょうか? 」と別の候補日を提示できるように準備しておくと、一度断られても慌てずに対応できます。

お悩み2:断られるのが怖くて、一方的に話してしまう

前回の記事で、会話における自分の話す割合と相手の話を聞く割合の理想は、2:8や3:7が良いとお伝えしました。

しかし、電話応対に慣れていないと、伝えたいことを話すことに集中してしまい、相手の反応を気にせずに一方的に話し続けてしまったり、用意したトークスクリプトを棒読みしてしまったりすることがあります。

このような場合も、まずはトークスクリプトをスムーズに話せるようになるまで練習することが大切です。そして、慣れてきたら相手からの反応や質問を待つ「間」を意識的に取るようにしましょう。「ちなみに~~はいかがですか? 」や「例えば~~について、何か気になる点はございますか? 」といった、相手が話しやすいような質問を会話の合間に挟むのも効果的です。

相手に会話のボールを投げるイメージを持つと、一方的な会話を防ぐことができます。

緊張を味方につける考え方

どんなに準備をしても、電話をかける時に緊張してしまうのは当然のことです。そんな時は、少しだけ視点を変えてみましょう。

顧客と対等な立場で、まずは信頼関係を築く

顧客は、最初からあなたの会社のサービスを買おうと思っているわけではありません。まずは、そのサービスが顧客のニーズや要望に合致するかを判断するために、情報を求めています。最初は「情報提供をして、お客様の相談に乗る」というスタンスで電話に臨んでみてください。1回の電話で全てを伝えよう、決めてもらおうと意気込むのではなく、お客様と対等な立場で信頼関係を築くことを意識してみましょう。

また、回答に困って曖昧な返事をすると、かえってお客様の信頼を失ってしまうことがあります。もし、すぐに答えられない質問を受けた場合は、「社内で確認して、後ほど改めてご連絡いたします」とお伝えし、きちんと調べてから対応することが大切です。このような対応をすることで、「正確さ」と「誠実さ」を示すことができ、お客様との信頼関係を築いていくことができます。

価値観は人それぞれ、相手の反応に一喜一憂しない

電話をかけた際、冷たい反応をされてしまうと、「何か悪いことを言ってしまったかな」と不安になったり、「なんでそんな言い方をするんだろう」と落ち込んでしまったりしますよね。そんな時は、一人ひとり、タイミングも価値観も違うということを思い出してください。「今日はたまたまタイミングが悪かったんだな」「このサービスは、顧客には合わなかったんだな」と、ある程度割り切って、また次の機会に気持ちを切り替えて電話してみましょう。後日改めて話してみると、顧客の状況が変わり、スムーズに話を聞いてくれることもあります。

事前準備や練習、電話応対の経験を積み重ねていくことで、次第に自信を持って対応できるようになります。緊張も成長の機会と捉えて前向きに取り組んでいきましょう。

次回は、スキルアップにつながる「セルフコーチング」の方法についてご紹介します。