本連載の第235回では「すぐできることを後回しにしていませんか」という話をお伝えしました。今回は努力を最小限に抑えつつ成果を出すための方法についてお話します。

2024年になりました。お正月ということで、世間一般には仕事をせずにのんびり過ごす方が大多数かと思いますが、そんな中でもこのようなビジネス向けの記事を読んでいただいているあなたは、よほど勤勉な方とお見受けします。そんな勤勉なあなたには、この節目の時期だからこそぜひ考えていただきたいことがあります。それは「如何にして少ない努力で成果を出すか」ということです。どうやってコスパの高い働き方をするか、と言い換えてもよいでしょう。そのためのポイントは3つあります。

1. 注力する領域を絞る

1つ目のポイントは、注力する領域を絞ることです。あれもやろう、これもやろう、と同時並行で様々なことに取り組もうとすると、力が分散してしまってどれも中途半端になってしまいます。

また、全ての仕事が顧客や組織にとって等しく重要であることはまずありません。仕事の中には大きな価値を生むものと、そうでないものが混在していることが普通です。もちろん、どの仕事もやらなければならないという場合もありますが、「やらなければならないかどうか」と「価値を生むかどうか」は別の軸として割り切って捉えましょう。

さらに、大きな価値を生むものの中でも、自分にしかできないことや、他の人より自分の方がうまくやれることを特定します。つまり得意領域ですね。そうして特定できた「大きな価値を生む仕事で、かつ自分の得意領域」に注力できれば、得意領域なので人より低い負荷でこなせるうえ、大きな価値を生む仕事なので成果を上げられるようになるはずです。

もちろん注力するとはいえ、その他の仕事を蔑ろにするわけではなりません。注力しない仕事でもやらなければならないことはきっとなくならないはずですが、その比率を意識的に注力する仕事に振り向けていくことが重要です。

2. 仕組み化する

2つ目のポイントは、仕事のやり方に着目したものです。同じ価値を生む仕事であっても、その方法が1つとは限りません。今は非常に手間がかかる仕事であったとしても、やり方を見直して、仕組み化することで手間を減らすことは珍しくありません。たとえば、問合せへの対応であれば、そもそも頻繁に発生する問合せの発生原因を追究して、その原因を潰す仕組みを入れることで問合せの発生頻度そのものを減らしてしまうということが有効です。

また、問い合わせがあった場合に生成系AIを活用して、問合せの一次受付をAIに任せてしまい、そこで解決しないイレギュラーな案件に限って人手で対応する、というのも仕組み化による手間の削減の良い例です。

資料作成であれば、ナレッジシェアリングの仕組みを活用して、他の人が作って共有している資料をベースにして新しい資料を作成することで、ゼロから資料を作るより効率的に作業が進みます。

このように、作業の負荷を下げつつ、成果を維持または向上させるような仕組みがないかを常に考え、思いついたものを実行に移すことでコスパを最大化させましょう。

3. 人を巻き込む

そして3つ目のポイントがこちらです。自分ひとりで全てのことをこなそうとすると、どうしても自分の不得意な領域の仕事からは逃れられません。不得意な領域というのは生産性が低くなってしまうので、全体としてパフォーマンスが落ちてしまいます。

しかし、自分の不得意な領域が得意な人は必ずいるものです。そういう人を巻き込んで、自分の不得意な領域を任せることができたらどうでしょうか。お互いに得意なことに注力して仕事ができるので、最高のパフォーマンスになるはずです。

特殊な事情が無い限りは自分が抱えている仕事を、そのまま一人で全て完結させなければならないということはないはずです。どうしたら自分の不得意な領域を人に任せることができるのかを考え、実行に移すことで自分のみならず組織全体でも、努力の総量を抑えつつパフォーマンス向上を目指しましょう。