本連載の第227回では「コマンドプロンプトとバッチファイルで作業を自動化しよう自動化できる作業を見つけよう」という話をお伝えしました。今回はおなじみのExcel VBAを使った作業の自動化についてお話します。
皆さんは毎日の業務でExcelを使っていると思いますが、「もっと効率よくできたら……」と思う瞬間はありませんか?そんなあなたに朗報です。Excel VBAを使えば、退屈な作業を自動化し、業務効率を大幅に向上させることができます。本稿では、今すぐ使えるExcel VBA自動化の技10選をお伝えします。
まず、その前にVBAについてお伝えします。VBA(Visual Basic for Applications)は、Microsoftが提供するプログラミング言語です。ExcelやWordのようなオフィスソフトに内蔵されており、繰り返し行う作業を自動化したり、複雑な計算を瞬時に行ったりできるようになります。それでは、どのような作業を自動化できるのか、例を見ていきましょう。
効率化の例1: データ入力の自動化
営業の皆さん、顧客データの入力作業は時間がかかりますよね。VBAを使えば一括でデータを入力するマクロを作成できます。例えば顧客リストがあれば、見積書や営業日報などに住所や電話番号などの顧客データを毎回、手で入力する代わりにVBAマクロが自動で対応するセルにデータを転記することが可能です。
効率化の例2: 定型レポートの生成
経理では毎月の財務レポート作成が大変だという方も多いのではないでしょうか。財務レポートに必要なデータが標準フォーマットで揃っていれば、VBAを使ってデータを集計し、定型のレポートフォーマットに自動で入力するマクロを作ることが可能です。これにより、転記ミスのリスクを減らしつつ、作業時間を大幅に削減できます。
効率化の例3: メール送信の自動化
人事や総務の方々が行う新入社員への案内メール送信もVBAで自動化できます。例えば、Excelに新入社員のリストを作り、VBAを使用してOutlookと連携させれば、一斉にカスタマイズしたメールを送信することができます。個別にメールを作って文面をコピペして送るより、作業量を大幅に削減できる上、送信漏れを予防する効果も期待できます。
効率化の例4: 複雑な計算の自動化
売上予測や在庫管理など複雑な計算を要する作業もVBAが得意とする領域です。VBAを使えば、必要な計算式をプログラムとして組み込み、ボタンをクリックするだけで計算結果を得ることができます。
効率化の例5: エラーチェックの自動化
データ入力時のエラーは、後で大きな問題を引き起こす原因になります。VBAマクロを使用して、入力されたデータの整合性を自動でチェックし、エラーがあれば警告を出すように設定することが可能です。
効率化の例6: 在庫管理の自動更新
商品の在庫管理を行っている場合、売上データに基づいて在庫数を自動で更新するマクロを作成することが可能です。商品が売れるたびに、その商品コードに紐づく在庫数をリアルタイムで減算し、在庫が一定量以下になったら発注提案をするポップアップを表示させることもできます。
効率化の例7: 定期的なデータバックアップ
データの損失は大きな問題です。VBAを使って、重要なファイルを定期的に別の場所にバックアップするマクロを設定することができます。特定の時間が来ると自動でファイルをコピーし、指定されたフォルダに保存するといったことが実現可能です。
効率化の例8: タスクスケジューリング
特定のタスクを特定の時間や日に実行する必要がある場合、VBAを使用してタスクスケジューラーを作成することができます。例えば、毎週月曜日になったら先週の売上データを集計し、関連する部署にメールで送信することが可能です。
効率化の例9: 複数ファイルからのデータ集約
複数のExcelファイルからデータを集約する作業は時間がかかります。VBAマクロを使えば、指定したフォルダ内の複数のファイルを開き、必要なデータを一つのファイルに集約するプロセスを自動化できます。この方法で、月次報告などの際に大幅な時間削減が可能になります。
効率化の例10: カスタムデータ検証
Excelのデータ検証機能は便利ですが、より複雑な検証が必要な場合には限界があります。VBAを使って独自の検証ルールを作成し、ユーザーが入力したデータが特定の条件に合致するか即座にチェックし、合致しない場合は警告を表示させることができます。
今回ご紹介した自動化の技は、繰り返し行われる作業を効率化するためのほんの一例です。VBAを学ぶことで作業時間を削減し、もっとクリエイティブな業務に集中できる時間を作ることができます。VBAは、最初は少し難しく感じるかもしれませんが、基本的な機能から徐々に覚えていくことで、仕事の質を格段に上げることができるでしょう。
インターネット上にVBAについて解説記事や解説動画が沢山ありますので、自分で学ぶことも可能です。ぜひ、この機会にExcel VBAのスキルを身につけ、業務効率化の第一歩を踏み出してみてください。