本連載の第223回では「業務を大幅に効率化するための3つの方法とは」という話をお伝えしました。今回は終了時刻になっても会議が終わらないのはなぜか、その理由についてお話します。

「会議の開始は時間厳守なのに、なぜかいつも終了時刻は守られない」

「日本人が時間に厳しい」という話はよく耳にするものの、果たして本当にそうなのかと疑ってしまう代表的なシーンが会議です。会議が始まるときには開始時刻の5分前、あるいは10分前に集合するのが当たり前、でも終了時刻を過ぎてもなぜか終わる気配を見せず、30分や1時間延長するのがざら、という職場はよくあります。

ではなぜ会議が予定時刻に終わらないのでしょうか。それには3つの理由があります。

1. そもそも会議の目標がない

これは「会議の開催」自体が目的になっているときによく起こります。とりあえず集まってから「さあ、今日は何を話そうか」という状況では目も当てられません。

そこまで酷くなくても、定例会などでは会議自体がルーティーン化している場合が多く、なんとなく集まってなんとなくいつものテーマに沿って話している、ということがよくあります。

そして目的がなければ、その会議で何を達成したいのかという目標もないので、参加者の間でダラダラと言いたいことだけ言い合って、全員の気が済んだら解散するという流れになってしまいます。これではもはや会議の体をなしていません。

会議には参加者の貴重な時間を使っているので、そのことを意識して「そもそもその会議は何のために開催するのか?」「その会議では何を目標とするのか?」という2点を明確にして、参加者全員で共通認識を持って臨みましょう。

2. 論点が曖昧になっている

会議の目的や目標が参加者間でしっかりとシェアされていたとしても、その達成までの道のりが曖昧なままでは議論が迷走することは避けられません。

たとえば、「業務効率を上げるための打ち手を決める」という目的と「A,B,Cの業務でそれぞれ3つずつ打ち手の候補を出す」という目標を設定していた場合、論点を考えずに会議を始めてしまうと、そもそも候補の案があまり出なかったり、イマイチな案しか出なかったりして、会議が捗らないということになりかねません。

そこで、この例では「業務効率化の打ち手を考える上での論点は何か」というのを考えて、その論点ごとに議論を進めていくのがよいでしょう。たとえば「効率化の対象範囲をどこにするか」という論点や、さらに突き詰めて「対象範囲を選ぶ際の基準を業務量にするか、業務スピードにするか、業務品質にするか」などといった論点を設定していきます。

それらの論点に対して答えを出していくごとに、一歩ずつ目標の達成に近づくというイメージです。会議の際にはぜひ、回答を出すべき論点は何かを考えて参加者間でシェアしましょう。

3. 論点からの脱線が多い

目的と目標、論点が明確になっており、参加者間でシェアされていても会議が間延びしてしまうことがあります。これは論点に対する議論がいつの間にか脱線してしまうことによる場合が多いです。

問題の原因を追究しているにも関わらず、いつの間にか打ち手についての議論にすり替わっていたり、業務の「理想像は何か」について話していたはずなのに、現状の問題点に議論の焦点が移っていたりする、ということが例として挙げられます。

これではせっかく会議の目標達成のための論点を立てていても、それらを無視して議論を進めてしまうことになってしまいます。それはまるで、目的地までの道のりを地図アプリが案内してくれているのに、それを無視して別の道に行ってしまうようなものです。

論点から議論が脱線していることに気が付いたときには、それを参加者に指摘した上で「元の論点に議論を戻す」か、「論点を設定し直す」かという判断をすることが必要です。なお、これは「元の論点に議論に戻す」のが必ずしも最善とは限りません。状況に応じて「論点を設定し直す」方がより着実に目標を達成できる場合もあるからです。

いずれにせよ、議論が論点から脱線した場合には、そのことを参加者に認識してもらうことが重要です。

さて、ここまで会議が終わらない理由を紹介してきました。ぜひ、ご自身が参加する会議についてもこれら3つのポイントでチェックして改善に繋げていただければ幸いです。