本連載の第137回では「自分の特性を把握して強みにしよう」と題し、自分の特性を客観的に把握して状況に合わせて活用することで強みとして仕事で活かすことができる、とお伝えしました。今回はテーマを変えて、コスパの高い働き方のイメージについてお話をします。

「コスパの高い働き方ができていますか?」

この問いに自信を持ってYESと答えることができる人はあまりいないのではないでしょうか。そもそも「コスパの高い働き方」と一口に言っても人によってイメージが異なるかもしれません。

そこで、まずは「コスパの高い働き方」のイメージについて考えてみましょう。コスパ=コストパフォーマンスの略ですが、コスト=資源投入量、パフォーマンス=成果と捉えると、如何に少ない資源投入量で多くの成果を上げるかということになります。さらに深堀りして考えると、資源投入量については「単位時間あたりの労力×労働時間」、成果については「質的成果×量的成果」と分解できます。なお、質的成果は「他の人とどれだけ差別化できるか」、量的成果は「その成果の程度」を意味します。

そうすると、「コスパの高い働き方」とは大まかには以下の4つのいずれか、またはそれらの組み合わせを実現できている状態と考えられます。

  1. 単位時間あたりの労力は少ないが成果を出している
  2. 労働時間が短いが成果を出している
  3. 質的成果が大きいが、労力や労働時間は多くない
  4. 量的成果が大きいが、労力や労働時間は多くない

なお、単位時間あたりの労力が少なく、労働時間が短く、同時に質的成果と量的成果が大きければ最もコスパの高い働き方と言えるでしょうが、この状態を一足飛びに実現するのは難しいのではないでしょうか。そこで、まずは1~4のそれぞれの状態について個別に考察してみましょう。

1. 単位時間あたりの労力は少ないが成果を出している

周りが忙しなく動き回っている中で、一人だけ落ち着いてのんびりと仕事をしているのにも関わらず、その人は周囲の期待に応えるだけの成果をしっかりと出しているというイメージです。周囲の人からは「あの人だけそんなに仕事をしているようには見えないのにちゃんと成果を出せているのはなぜだろう」と不思議がられることがあります。

2. 労働時間が短いが成果を出している

周りが残業している中で、ただ一人定時で帰るけれど、しっかり成果を残しているというイメージです。周りと同じように働いているのになぜか早く帰れていて、しっかり成果も残せているという人、職場に一人はいるのではないでしょうか。

3. 質的成果が大きいが、労力や労働時間は多くない

働き方は周りと大きくは変わらず残業も平均的だけれど、周りの人には到底できないような成果を上げているというイメージです。既存顧客への営業より難易度の高い新規顧客開拓を次々と成功させているとか、新規事業のアイディアを高確率でヒットさせるなど、その人にしかできない成果を出している人です。

4. 量的成果が大きいが、労力や労働時間は多くない

3と同じで働き方は周りと変わらず残業も人並みだけれど、周りの人より大きな成果を上げ続けているというイメージです。取り立てて時間や労力をかけているわけではないのに既存顧客での売上を他の人より2倍や3倍上げる営業担当者や、伝票処理のペースが圧倒的に速い経理担当者などが該当します。

このように、「コスパの高い働き方」を細かく見ていくと以上4つのイメージがあります。恐らくは人によって、どのイメージを持っているのか、もしくは目指しているのかが異なるのではないでしょうか。もし、そのイメージが曖昧であったとしたら「コスパの高い働き方」を実現することは難しいでしょう。それはどの山に登るのか決めずにとりあえず出かけて歩き回るようなものです。

まずは自分がどのイメージを実現したいのか、それを明確にした上でどうやって実現するのかを考えてみてはいかがでしょうか。なお、次回以降ではそれぞれのイメージについて実現方法をお伝えできればと思います。