浮気調査に人探し、盗聴盗撮器の発見、いじめやストーカー被害の対策など、人間関係にまつわる様々な悩みやトラブルの調査活動をおこなう探偵社。日頃からモメゴトの数々を最前線で目撃してきた探偵たちが、特に印象に残っている依頼を激白! 今回のテーマは「別れさせ屋」です。

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「別れさせ屋」と聞いてまず思い浮かべるのは、不倫や復縁といった訳アリな男女の恋愛模様でしょう。私たちのところにやってくる依頼者の多数派はやはり、この不倫、復縁、略奪にまつわるお悩みや願望を持っていらっしゃいます。

世間では一般的に、既婚男性と独身女性の不倫で、なかなか奥さんと離婚してくれない男性に業を煮やした女性が別れさせ屋に依頼するのが典型的というイメージなのではないでしょうか。確かにそのようなパターンは多いです。しかしながら、我々スタッフが思わず「時代だねぇ……」と溜息交じりの苦笑を漏らさずにいられなかったこんなケースもあるのです。

嫉妬深くなった既婚パパ、彼女と彼氏の三角模様

「『彼女』をアレと別れさせて欲しい。」そう言う高木氏(仮名)は、40代の経営者で、妻と2人の子どもがいる既婚者です。その彼女とは、いわゆるPJ=パパ活の相手の女性、亜美さん。現在21歳の大学生で、高木氏とは昨年の夏にパパ活アプリを通して出会いました。そして高木氏に「アレ」呼ばわりされているのは亜美さんの本命彼氏、裕也さんで、亜美さんとの交際歴はまだ3ヶ月未満です。

高木氏の言い分をほぼそのまままとめると、次のようになります。


亜美と知り合った時には、子どもがいることは言わなかった。妻との関係は冷え切っており、お互い子どもを介して会話する状態。とはいえ、20歳そこそこの亜美と結婚するため、妻と離婚する気は今のところない。理由は、世間体、養育費、仕事への影響、そして何より亜美との年齢差や幼稚さ。

亜美は当初、私と結婚したかったようで妻に嫉妬していた。私も亜美のことは非常に気に入っているので、彼女が大学を卒業し25歳くらいになったら結婚もありだと笑いながら言ったことはある。ただ、それはあくまで酒の席やベッドでの睦言であり、亜美が一時期前のめりになり過ぎて、週末や記念日に一緒にいられないことに不満を訴えた時は、関係解消も頭をよぎった。

しかしながら数ヶ月前から亜美の態度が変わったように感じ、彼女のスマホを覗き見したところ、男ができたことが判明した。クリスマスもその男と過ごしたようで、「メリークリスマス」とそっけないLINEが一通きたのみ。こちらからの電話にも出ず、翌日まで連絡がなかったため、問いただしたところ、彼氏ができたと認めた。

亜美の言い分としては、私が離婚する気がない以上、バレた時に慰謝料のリスクを負う不倫恋愛ではなく、あくまでパパ活としてビジネスライクな関係に戻りたいとのことだが、正直虫が良すぎると感じるし腹立たしい。こちらは亜美を彼女だと思っているからこそ、毎月まとまった金額を渡しているし、誕生日やクリスマス前にも、欲しがっていたブランド品をプレゼントしている。

不倫とはいえ、「愛している」と言ったくせに後から他の男を作るのは裏切りだと思うが、口論になった末、逆上した亜美が「パパがそんな人だとは思わなかった。奥さんと別れられる? 別れられないなら、束縛しないで。それとも私と別れる?」と言い出したので、うやむやにするしかなかった。腹立たしいが、今は亜美と別れるつもりはない。アレさえ消えてくれれば、亜美との気まずくなった関係も元に戻るだろう。


長文、お疲れさまでした。はい。これを読んで、読者の皆さまはどう感じられたでしょうか。

別れさせ屋である以上、法に反しない限りどのようなご依頼もお受けしますが、心の中で何を思うかはわたくしの自由。高木氏ー、勝手過ぎないかー。これがわたくしの本音です。

確認したところ、高木氏はここまで彼女に執着しながら、妻と離婚する気はやはりなく、「場合によっては……」「絶対しないというわけではない」と何とも煮え切らない態度でした。つまり、自分は離婚する気はないけれど、彼女の恋愛や結婚といった幸福は認めず、彼女の若さを消費するのみ!これ、わたくしが別れさせ屋でなく、高木氏の妻、あるいは亜美さんの立場なら、またはその親戚、友人なら、握りこぶしに力をこめて「ふざけるなー!」と叫んでいます。

男性からの別れさせ依頼が増えている

この事例を読んでドン引きされた方も少なくないと思いますが、実は男性からの別れさせ依頼は増え続けています。そして高木氏のように、自分勝手な男性も増えているという印象です。

女性が、既婚男性や彼女持ちの男性を略奪したいがために別れさせ屋を利用する時は、たいてい次の2つのどれかです。

①本当に本当に狂おしいほど彼を愛していて、彼以外は考えられなくて、奥さんや彼女に申し訳ないという気持ちもあるけれど、どうしても彼なしでは生きていけない。

②彼に騙され利用され傷つけられたため、どうしても許せない。

そこには相当の理由や覚悟があることが、ほとんどです。ところが、男性からの別れさせ依頼となると、一定割合で高木氏のような「自分さえ良ければいい」「妻や本命彼女も、不倫相手も、幸せにならない(俺は幸せだけどね)」という人が見受けられるのが特徴です。いや、男ってやつは本当に。色々と複雑な想いがよぎりますが、これも時代でしょうか。

ところでどのような相談や依頼が別れさせ屋に寄せられるのか、とても気になるのではないでしょうか。内容は千差万別ですが、不倫、略奪関連で言えば、男性、女性それぞれから、このような相談がよくあるんです。

【男性からの相談】

・長年付き合った彼女にフラれた。自分と今の婚約者と二股をかけていたことがわかった。復讐したい。別れさせたい
・妻と離婚したいが有責配偶者になりたくない。妻が浮気していないか調べたい。していないようなら、浮気するよう仕向けたい
・ダブル不倫しているが、相手に旦那さんと別れて欲しい
・職場に好きな女性がいるが、その女性には長年同棲(または不倫)している相手がいる。僕が幸せにするから、別れて欲しい

【女性からの相談】

・不倫4年目。彼が本当は奥さんと別れる気がないのはわかっている。どうしても別れさせたい
・必死で働いて1000万円貢いだ「彼氏」に同棲中の本命彼女がいた。お金を取り戻せないならせめて彼にも苦しんでほしい
・学生時代から7年付き合った彼氏と結婚について意見が合わず別れた。彼はすぐ別の女性と付き合い始め、結婚を考えているらしい
・私をいじめ抜いて鬱に追い込んだ元同僚が、私の好きな男性と付き合っている。略奪したい

このように別れさせ屋に持ち込まれる相談・依頼内容は様々です。別れさせ屋は弁護士事務所の法律相談とは異なります。「こんな依頼は無理だよね……と」思う前に、一度相談だけでもしていただければ、あなたの苦しみや執着が解決に向かって動き出すかもしれません。