「結婚祝金」という言葉を聞いたことがある人もいるかと思います。企業から結婚祝金が出ることは珍しくありませんが、実は自治体からも給付されるケースがあるのはご存じでしょうか。晩婚化が進んで未婚率も増加しているとは言え、結婚は一般的にはごく当たり前のことです。「本当に祝い金がもらえの?」といぶかるかもしれませんが、一定の条件のもとで実際に結婚祝金が支給される地域もあるのです。
その条件とは、その地域への「移住+定住」。つまり過疎化の問題を抱えている地域が、若い世代の人口増加を狙って設けている制度なのです。結婚祝金だけでなく、住まいの提供など、さまざまな支援が用意されている地域もあります。結婚と同時に子育て環境に良い田舎にIターンしたいと考えているカップルにとっては、思わぬ支援が用意されているケースもあります。今回はその中から結婚祝金について詳しくみていきましょう。
一般に、若い世代の都会志向傾向は今も昔も変わらないでしょう。私は学生の頃に両親が仕事で転勤したために一時寄宿舎にいましたが、同宿となった地方から出てきた学生のほぼ全員が、地方には帰らずそのまま東京暮らしになりました。今も同じような現象が起きているのではないでしょうか。
しかし、中高年向けに行った地方への移住意識調査で、「移住したい」と「2地域で拠点を持ちたい」と考えている人がかなりの割合であるというデータを見たことがあります。
我が家でも、チャンスがあったので若いときに移住を前提に動き始めていましたが、バブル期になってしまい、「バブルはすぐにはじける」と冷静に判断していましたので、リスクを負えずに断念しました。ネックになったのは住まいの取得と仕事の確保でした。バブルで高騰した住宅を取得したのちにバブルがはじけて、仕事も不安定になったら、地縁のない者にとっては人生設計が破綻しかねません。
いかに若者のニーズをくみ取れるか
日本の社会や経済の安定のためには、一極集中の改善は不可欠だと思っていますが、足がかりがなければ簡単には移住できません。首都圏よりも地方都市の方が、女性の就業率も出産率も高い傾向にあります。
結婚祝金を支給している自治体や地域の最新情報を確認すると、「婚活支援」なども含めて、なかなか実のある支援を行っているところもあります。地方都市での婚活支援+移住支援+就業支援などがセットになっていて、都会の若者のニーズに見合うように組み立てられていれば、それなりの成果がありそうです。ただ、大きな話題になった話は聞きませんので、ニーズのくみ取りは予想外に難しい問題なのかもしれません。