外苑東通りと大久保通りが交差する、都営地下鉄大江戸線「牛込柳町」駅。交通量こそ多いものの、寺院や学校も多い閑静な住宅街なので、なかなか立ち寄る機会は少ないかもしれない。今回はこの牛込柳町駅から歩いて1分の「白河そば」である。
油揚げに大盛りのネギで食欲を刺激
外の看板によれば7時から営業しているようだが、昼過ぎには閉めてしまう。付近に縁遠い会社員にはハードルが高いか。同じ看板には「元祖塩だし」「そば・ひもかわうどん」の文字。「ひもかわうどん」といってもこちらの麺は、幅広の"一反木綿"のような麺や、きしめんのようなものではなく、やや平打ち気味の細麺となっている。
入って、手前に立ち食いカウンターテーブル。正面に厨房があり、こちらで口頭でオーダーの代金引換式。同連載は「立ち食いそば」ではあるが、今回はうどんにすることにしよう。ということで、「きざみうどん」(570円)にネギ増し(100円)で注文した。
きざみうどんは関西の人には馴染み深いメニューだろう。細切りにした油揚げののったうどんのことで、この油揚げはきつねうどんのそれと違い、甘くない。青い丼にたっぷりとのった揚げとワカメ、揚げ玉、そして大盛りのネギ。どれをとっても食欲を刺激する。そこにセルフサービスの細切りの昆布を煮たものを載せれば完成だ。
つゆは無色透明に近く、看板にもあった通り、赤穂の塩を使った塩だしになっている。これがまた白くて細いうどんに、見た目も味も合う。柔らかすぎず、固すぎずの絶妙なコシとツルツルの喉越しだ。あっさりしながらも旨味がしっかり効いており、喉が渇くとわかっていても最後の一滴まで啜(すす)らずにはいられない。
白河そばは日曜・祝日休みだが、土曜は営業している。週末でも、電車を使って行く価値のある一杯である。
※記事中の情報は2016年6月取材時のもの
筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)
1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に都内の銭湯を紹介した『東京銭湯』シリーズを制作している。