前回に引き続き、都営新宿線の立ち食いそば屋を巡る。今回は「瑞江」駅に隣接する「立喰そば みずえ」である。ぶら下がった赤提灯には「居酒屋」の文字。しばしば見かける、飲み屋とそばの二毛作の店だ。
店と客との距離が近いアットホームな一軒
ちょいと外から覗いて見ると、午前11時過ぎ、特に客は見当たらず。ガラガラと引き戸を開けると、それまで何か店の仕込みについて話していた大将と女将さん(関係は不明)は一気に接客モードにチェンジ。腰の低い、物腰やわらかな印象をもった「いらっしゃいませ」。飲み屋としても立ち飲みの店らしく、厨房とを隔てるカウンターのみの小さなお店だ。
カウンター上には天ぷらがバットに並びつつある真っ最中。そばのメニューは短冊で並んでおり、卓上には夜のつまみメニューがあるなど混在している。こういう、店と客との距離が近い店で一見らしく振る舞うのが苦手で、と言っても無論常連でもないわけだから、いつも少し挙動不審な態度になってしまうのが自分のクセ。水を汲みながら、短冊をチラチラ見やりつつ、結局外の看板に出ていた「野菜天ぷらそば」(430円)を口頭注文する。
アツアツのツユにほどける美味な天ぷら
待つこと1~2分。カウンター越しに、そんなに入れなくてもいいだろと思うほど、ツユがなみなみと注がれた丼が手渡される。もちろんアツアツで、ちょっと危険。野菜天ぷらは何かなと思ったが、にんじんとごぼうのかき揚げと玉ねぎ天の2種類が入っていた。小口切りのネギもどっさり盛られているのも嬉しい。
そばを一口すすると、コシと風味をほのかに感じる麺。ツユは色濃い目ではあるが甘めで、さらに玉ねぎ天などでグッと味濃くなっている。天ぷらであるが、通常のかき揚げが素っ気なく置かれているよりも、ずっとお得感を感じる。それぞれの野菜の香りや旨味が、ツユにほどけながら身体に染み込んでいく。いつの間にかアツアツのダシもググッと吸い込めるくらいの温度になっており、最後の一滴まで残すことなく頂いた。ごちそうさまでした。
こちらもやはり都心からの距離は相当あるが、店舗自体は駅徒歩1分のところにあるので、ぶらり途中下車さんぽの腹ごなしにも最適。ぜひ機会があれば、立ち寄って頂きたい。