コロナ禍が始まってそろそろ1年、リモートワークにも慣れる方もいる一方、環境が変わったり、一緒に働くメンバーが変わることで「リモートだとうまくコミュニケーションできない……」という悩みは尽きないものです。そんな悩みを解決するヒントとして、『リモートワーク大全』(ポプラ社刊)を上梓したシックス・アパートの広報・壽かおりさんに、「リモートワークのコミュニケーション」のコツを伺います。

オンライン会議でもっとも大事なマナーは「耳障りなノイズを出さない」こと

耳障りなノイズを減らすためのポイントは2つあります。

ひとつ目は、パソコンの内蔵スピーカー&マイクではなく、外付けのものを使うこと。有線のイヤホンマイクやヘッドセット、ワイヤレスイヤホンがオススメです。

ふたつ目のポイントは、ミュート(無音)活用すること。マイクは咳払いやしゃっくり、キーボードのタイプ音なども案外拾っています。

これらの音は聞く方にとっては耳障りなノイズです。新しいオンライン会議ツールを使うときは、まず真っ先にミュートボタンのON/OFFの仕方をまず覚えましょう。

咳やくしゃみやしゃっくりが出そうなときは、すかさずミュート。マイクを手で押さえるのは、マイクを触るノイズがうるさいのでNGです。

他にもペットの声や近隣の工事の音が騒がしい場合にも、喋るとき以外はミュートにしておきましょう。

やっかいなのは、自分が出しているノイズは自分には聞こえず、相手にしか聞こえないことです。誰かの背景からノイズが聞こえてきてくるのに気付いたら、ミュートにするよう声をかけましょう。

リモート参加に加えて、オフィスの会議室からも数名が参加するオンライン会議もあるでしょう。このオフィスの会議室に集まるメンバーがそれぞれのパソコンからログインしてしまうと、複数のマイクやスピーカーがONになっているためにハウリングを起こしてしまうことがあります。

同じ場所からオンライン会議に参加する場合、できれば代表者のパソコン1台だけスピーカーとマイクをONにするか、テーブルに置ける会議用マイクやスピーカーを使い、全員がそこに向かって話しかける方法が良いでしょう。

マナーに関しては、音声に加えてもうひとつだけあります。

言うまでも無いことですが、画面の向こうの相手の容姿をいじるようなハラスメントはダメです。背景に見える自宅の様子などから、相手のことを不必要に聞き出すのもやめましょう。

会議はスキマなく詰め込まず、空白を設けよう

オンライン会議は、ワンクリックで開始できてワンクリックで終了できます。リアルな会議と違って、会議室移動などの時間が必要ありません。

この移動時間が無いのを良いことに、13時~14時、次は14時~15時半、さらに次は15時半~16時半と隙間なく会議を詰め込んでしまいがちですが、これはなるべく控えましょう。前の会議が長引いた際のバッファがないために、次の会議開始に間に合わなくなってしまうからです。

遅刻したことでその会議も長引いたら、さらにその次の会議もスタートが遅くなる、または次の会議の冒頭に参加できなくなるという悪循環になってしまいます。

さらには、会議の内容によっては、声を掛け合って一部のメンバーのみ開始15分前に別のオンライン会議やチャットに集まって、直前のブリーフィングを行う時間を設けることがあります。オフィスにいたときには、会議室への移動時間に、関係者で内容について直前のすり合わせをしていたことがあったと思いますが、それと同じです。

また、会議の後にも決定事項を振り返りつつ、自分のタスクを整理するための時間も必要です。異なるトピック、異なる立場で別の会議に参加する場合にはなおさら適度な余白が必要です。

いったん仕事を離れて、お皿を洗ったり洗濯を取り込んだりするような、頭を使わない家事作業がちょうど良いリセットタイムになることがよくあります。

会議と会議の間のバッファを確保するには、会議をカレンダーに追加する際、会議後に振り返りの時間をブロックしておくのがよいでしょう。

たとえば、14:00から15:00に会議をカレンダーに追加した場合、15:00~15:30も「○○会議 タスク整理」といった予定も一緒に入れておくのです。

もし上司などが会議の予定を詰め込んでくる場合には、その人に会議の間のバッファを考慮するようにお願いするのがよいでしょう。

同様に、ついキリの良い1時間で会議を設定しがちですが、45分単位で会議を設定するのも良いと思います。この15分がちょうどよいバッファになります。

参考書籍:『リモートワーク大全』(壽かおり著、ポプラ社刊、税込1,870円)
新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、「会社に出社しない」働き方を導入し、リモートワーク・テレワークを実施する会社が増えてきている。本書は、主に一般のビジネスパーソンが、リモートワーク・テレワーク時に必要なことがすべて書かれた一冊。ツールやアプリ、会議・打ち合わせの効率的なやり方から、家族や子どもとの接し方まで、読むだけでリモートワーク・テレワークに必要なことがすべて身に付きます。