緊急事態宣言が解除された(5/25現在)とはいえ、コロナ禍において、自由な時間を持て余しているという人も多いのではないでしょうか。
映画やドラマを観まくる……のも悪くはありませんが、こんなときこそ、溜まりに溜まった睡眠負債(睡眠不足が借金のように積み重なってあらゆる不調を引き起こす状態のこと)を返済する絶好のチャンス。睡眠の質を上げ、健康的な生活に戻る、またとない機会です。
睡眠研究家であり『最強の睡眠』(SBクリエイティブ)の著者である西川ユカコさんが、「最高の体調」を取り戻すための方法をお伝えします。
睡眠負債をチェックしてみよう!
そもそも、あなたはどのくらい睡眠負債を抱えているのでしょうか。下記のチェックシートで検証してみましょう。チェック1は睡眠負債が溜まった場合の特有の症状、チェック2は睡眠不足のときに起きる主な症状です。
結果はどうだったでしょうか?
睡眠負債は1週間単位で考え、検証していきます。誰もが数週間で完済できるわけではありません。私自身もかつては相当にひどい状況だったので、完全な状態まで戻すのに1年以上かかりました。でも、今ではすっかり「絶好調」。あわてる必要はありません。
これから紹介する3つの方法を試していけば、心身の調子の良さを確実に感じられるようになるはずです。
睡眠負債を解消する3つのコツ
1つ目は、「平日はいつもより30分早く寝る」こと。これは最も無理がなく、かつ自分に合った睡眠時間に近づける方法です。いつも24時に寝床についていた人なら、それを23時30分にします。見たいテレビがあっても断行してください(意志の強い人は、かっこいいのです)。
これを1週間実践してみると、睡眠負債が溜まっている人は特に何も感じませんが、さほど負債が溜まっていない人は、少し調子が上向くはず。とにかく1週間、30分早く寝た自分を褒めながら、次の週はさらに30分早く寝るようにします。
こうして30分ずつの短縮を淡々と進め、平日でも毎日7~9時間の睡眠を確保できるようにして、今後はそれを守ります。どの程度の睡眠時間が今の自分に合っているかは、最も心身の快調さを感じられるところを試してつかむしかありません。難しければ、まずは8時間を目標にするといいでしょう。
ちなみに、なぜ30分ずつ早めていくかというと、それが誰でも一番無理なく眠りにつきやすいから。いつものリズムをいきなり大きく変えようとすれば、かえって寝付くことが難しくなって逆効果です。ただし、睡眠負債を溜め込んでいる場合は別。もし何時間も前倒しできるなら、どんどん早く寝てしまってください。私もそうやって睡眠負債の返済スピードを上げました。
休日の寝坊は平日の起床時間+2時間まで
2つ目は休日の時間の過ごし方です。平日は朝6時に起きている人なら、休日は遅くとも8時には起きます。どんなに眠くても起きましょう。その努力は必ず「快眠体質」と「パフォーマンスの高い人生」を手にすることにつながります。
「起きる」ことと「目覚める」ことは違います。目覚めていつまでもベッドの中でもぞもぞしていても、起きたことにはなりません。休みの前日も休日も、できる限りいつもと同じ時刻、もしくはいつもより早めにベッドに向かってください。
大事なのは、休日を特別扱いしないことです。仕事を忘れて楽しく過ごすことは大事ですが、睡眠については「例外」は作らないほうが、かえって体がラクになり、翌日、翌週をよりラクに、より高いパフォーマンスで過ごすことができます。
昼寝をうまく利用する
3つ目は昼寝を上手に利用して、睡眠負債の返済スピードを上げること。平日には12〜15時までの間に15~20分。休日には12~15時までの間に最長1時間半まで。このルールを守って、積極的に昼寝をしましょう。
もちろん平日には、無理に昼寝をする必要はありませんが、「ちょっと疲れたな」というときに取り入れると、脳がリフレッシュして頭がスッキリし、午後のパフォーマンスアップにつながります。
週末の昼寝は睡眠負債返済のために大切ですが、くれぐれも「1時間半を超えない」こと。昼寝には夜の睡眠とは違った心地よさがあるため、長く眠ってしまいがち。しかし、それによってせっかく整いつつある体内時計が乱れます。ちゃんと目覚ましをかけて、決めた時間に起きましょう。
以上3つの方法をすべて同時にスタートさせるのが難しい場合は、できることから始めましょう。どうしても実行できない日は、先週より30分早く寝る日をもう1~2日増やして、帳尻を合わせます。とにかく淡々と続けること。
睡眠負債は、あなたが、あなた自身に課したものです。踏み倒して逃げ切ることはできません。一刻も早く返済して、身軽な自分に戻りましょう。