質問です。
あなたは上手にプレゼンテーションできるようになりたいでしょうか?

それとも、あなたのプレゼンテーションを聞いた人を動かしたいでしょうか?

  • プレゼンテーションは得意ですか?

プレゼンテーションとは

プレゼンテーションが上手なだけでは、人は動きません。プレゼンテーションの目的はただ一つです。

プレゼンを聞いた人が感動して、意図した通りに行動を変えること。

本連載では、あなたの話を聞いて、聞いた人が動くようになるためにはどうすればいいのか? その方法を7回に分けて解説します。

項目 内容
第1回 プレゼンテーションとは
第2回 プレゼンテーションのパッションとは
第3回 プレゼンテーションのコツ
第4回 プレゼンテーションの構成
第5回 プレゼンテーション力とは
第6回 プレゼンテーションの話し方
第7回 プレゼンテーションの例(事例)

プレゼンテーションレベルをチェック

あなたの方向性を見極めるために、下のチェックシートであてはまる項目にチェックを入れてみましょう。

□プレゼンテーションをしても周囲が無関心でやる気を出してくれない
□プレゼンテーションすると、寝ている人や関係ない作業をしている人がいる
□私は本番の直前までプレゼンテーション資料を作っている
□質疑応答では、質問が出にくい
□質疑応答が怖い
□プレゼンテーションは正しい事実を詳細に報告すべきだと思う
□プレゼンテーションで話したことを、後で何度も聞かれる
□プレゼンテーション中、お客さんと目を合わせられない
□資料を見ながら話している
□声が甲高く、早口になってしまう
□声が小さいと言われる

そこで、下図を見てみましょう。

  • あなたのレベルを確認

これは、縦軸を聴き手が得る「感動」と「知識」、横軸を話し手の「プロ度」と「アマチュア度」で区切ったもの。

A「人を行動させるビジネスパーソン」、B「役者や芸人・落語家」、C「アナウンサー」、D「人を動かせないビジネスパーソン」と分類したものです。

聴衆は縦軸の上に行くほど心が動いて行動しやすくなり、横軸の左側に行くほど話し手の専門的な難易度は上がります。

先ほどのチェックシートでチェックが4つ以上ついた人は、D「人を動かせないビジネスパーソン」です。この記事を読む皆さんには、Aを目指していただきたいと思っています。

もし現在Dでも、Aになるのは難しいことではありません。

プレゼンテーションは話し方がすべて?

ある事例を紹介します。X社の社長プレゼンテーション。いかにも生真面目そうな社長が行う派手なパフォーマンスは、さながらショー。練習してきたのが伝わってきます。

しかし、不思議なことに一度も視線が合いません。目線の先を見ると、客席最後方に複数台の巨大プロンプターがあり、社長はその文字を一言一句正確に読み上げていました。

別のY社長によるプレゼンテーション。存在感がありません。話し方も素朴に語りかけるものでした。

しかしその後に登壇した事業部長や、外資系パートナー企業のプレゼンテーションと見事に連携し、周囲の社員さんもイキイキと動いていました。

あえて自分の存在感を消し、「引き立て力」という強みを発揮した、素晴らしいプレゼンテーションでした。

「格好よく語りたい」、「欧米型のTEDプレゼンテーションこそ、プレゼンのあるべき姿」と考え、強いリーダーを演じたいと考える方は少なくありません。

しかし、Y社社長がTED風にプレゼンテーションをしても、本来の強みは活きないのです。

プレゼンテーションの意味

仕事におけるプレゼンテーションの目的は、人を動かすこと。これは、社長も一般社員も同じです。

役者のような演技も、芸人さんのような面白い話も、アナウンサーのような高度なテクニックを駆使して話す必要もありません。

皆さんの目的はたった一つ。

あなたの話を聞いた人が、聞いた後に良い方向に行動すること。

この一つの目標に向かえばいいのです。次回はプレゼンテーションで重要な要素となるパッションについて解説します。

執筆者プロフィール : 永井千佳(ながいちか)

広報・IR・リスクの専門メディア月刊「広報会議」では、2014年から経営トップ「プレゼン力診断」を毎号連載中。さらに、NHK総合、週刊誌「AERA」、文化放送、J-WAVE、TOKYO FM、雑誌「プレジデント」、日経産業新聞など、さまざまなメディアでも活動が取り上げられている。主な著書に、『DVD付 リーダーは低い声で話せ』(KADOKAWA 中経出版)がある。