本田技研工業(Honda)は7月18日、新型燃料電池自動車「CR-V e:FCEV(シーアールブイ イーエフシーイーブイ)」を発表した。7月19日から、燃料電池自動車(FCEV)の普及促進に協力している自治体、企業、一般顧客へのリース形式で販売する。ボディーカラーはプラチナホワイト・パール、メテオロイドグレー・メタリックの2色。乗車定員は5名。メーカー希望小売価格(リース専用)は809万4,900円。
CR-V e:FCEVは、外部から充電可能なプラグイン機能を搭載する燃料電池自動車。長い航続距離と水素の充填時間の短さといった特徴を持ち、プラグイン機能の追加によって利便性を高めた。水素とバッテリーが満タン時の走行距離は約621km、一充電走行可能距離は約61km。
搭載する燃料電池(FC)システムはホンダとGMが共同開発し、両社の合弁会社Fuel Cell System Manufacturing, LLCにて製造されたもの。今回、コアとなる燃料電池(FC)スタックを刷新。補機類の合理化と低消費電力化の徹底、セルユニットの新構造化と生産性向上などにより、コンパクトカー「CLARITY FUEL CELL」に搭載するシステムからコストを3分の1まで削減している。耐久性に関しても、耐食材料の適用や劣化抑制制御により2倍に向上。耐低温性能も向上した。
パッケージングについては、FCシステムとモーター、ギアボックス、PCU(パワーコントロールユニット)を一体化した駆動ユニットをフロントフード下に集約。居住スペースへの影響を少なくしている。水素タンクは荷室部分に設置し、棚状の平らな面で覆い上面から荷室の後端までフレキシブルボードを設定。荷室を上下2段に分けて使用できるようにした。
ベース車は6代目CR-Vで、水素タンク×2本と大容量バッテリーからなるIPU(インテリジェントパワーユニット)を中心近くの低い位置に設置。この低重心レイアウトによって、質の高いハンドリング性能を得たとしている。サスペンションには、入力に応じて減衰力を変化させ、安定性と乗り心地を両立する振幅感応型ダンパーを採用した。
充給電機能は、フロントフェンダーにAC充給電コネクタを配置。このコネクタは、日本と米国における普通充電の標準規格「SAE J1772」となっている。普通充電6.4kWに対応し、満充電時間は約2.5時間。AC200V電源およびAC100V電源での充電も可能だ。
AC車外給電用コネクタ「Honda Power Supply Connector」は標準装備となり、普通充電口に差し込んでAC100Vを取り出せる。消費電力は1,500Wまでで、アウトドアや停電時の電源として活用できる。荷室内には、CHAdeMO方式のDC給電コネクタも用意。可搬型外部給電機を接続することで、一般家庭の約4日分の電力を供給できる。
エネルギーマネジメント機能では、水素による発電と充電バッテリーからの電力を組み合わせて、有効活用する各種モードを用意。日常走行ではバッテリーに蓄えた電気のみで走行する「EV」モードなど、AUTO / EV / SAVE / CHARGEなどを選べる。
「Honda CONNECTディスプレー」には、FCEVならではの機能を追加。水素ステーションの稼働状況がリアルタイムで分かる「水素ステーション検索機能」、充電に用いる電流量を調節して合計電力量を契約アンペア以下に抑える「充電電流設定」、あらかじめ設定した水素残量になると自動で給電を停止し、車外給電などでの水素の使い過ぎを防ぐ「給電下限水素残量設定」といった、燃料およびバッテリー切れを防止する機能を用意している。
Honda独自のコネクテッドサービス「Honda Total Care プレミアム」に加入すると、より便利な機能を利用可能。充電量の上限を80%~100%の間で5%刻みで設定する「最大充電量設定」、バッテリーの充電時間帯を曜日単位で設定する「充電待機時間設定」、車を使用する時間を設定することで車内を快適な温度に整えてバッテリーも満充電にする「お出かけ前タイマー設定」など。
安全運転支援システム「Honda SENSING」は全タイプ標準装備。渋滞追従機能付アダプティブクルーズコントロール(ACC)には加減速や電動パワーステアリングの設定などを盛り込み、FCEVの特性に合わせて制御を最適化している。