「マンションは今、買い時か?」というご質問をよくいただきます。住宅はライフステージの変化により購入を検討される方が多く、その方の人生において「買い時かどうか」が重要だとお答えしています(※投資目的では無い場合に限ります)。

その方のライフプランにおいて今「家を持つこと」の重要度が高いのであれば、相場が高くても「買い時」だと言えます。

とは言うものの、今の相場について知り、そして考えることは購入を検討する上での材料の一つになりますので、本記事では2024年現在の首都圏の新築・中古マンション市場についてお話します。

首都圏の新築・中古マンション価格推移ー値上がり幅の差に注目

首都圏における新築マンション・中古マンションの平均価格推移はこちらの通りです。

2023年に新築マンション価格が大きく上がっているのは、最高価格45億円の「三田ガーデンヒルズ」など一部高額物件の影響が大きいですが、新築・中古ともに上昇基調であることは確かです。

一方、特に中古マンションについて細かく見ていくと、例えば東京23区内でも都心6区(千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、渋谷区)とそれ以外では値上がり幅に差があることがわかります。

以下のグラフは東京23区における2018年~2024年の中古マンション価格推移です。

都心6区では1.7倍(+4,931万円)と大きく上昇している一方、城南・城西6区は1.3倍(+1,867万円)、城北・城東も1.3倍(+1,244万円)と、比較的緩やかです。もちろん、緩やかとはいえ決して小さな上昇ではありませんが、購入時には注目すべきポイントです。

特定アドレスへのこだわりが強く無い場合、通勤時間等が同じ中でエリアを変えることで、予算に合う物件を見つけられる可能性が高まります。

マンション価格は今後も上がるのか

「マンション価格はこの後も上がるのか?」という質問もよくいただきます。様々な意見がありますが、私の意見としては、上記のように極端に価格が上がる地域とそうではない地域の差がさらに進み、二極化していくと考えています。平均値を取ると緩やかに価格が上昇しているようにも見えるものの、上昇するエリアとそうではないエリアが分かれてくるというのが見解です。

新築マンション価格高騰の要因は大きく3つあると考えています。

(1)建築資材の高騰
(2)人手不足と賃上げに伴う人件費の高騰
(3)海外富裕層の旺盛な需要

(1)建築資材高騰、(2)人件費高騰は今後も価格上昇の要因として継続し続ける可能性が高く、全ての物件が少なからず影響を受けます。

(3)の海外富裕層の需要影響を受ける物件は湾岸沿いのタワーマンション等限定的ではありますが、世界的に見た「東京の割安感」はしばらく続きそうです。長期的にはどこかで落ち着きを見せると推測されますが、海外富裕層が好むような物件には、国内富裕層のニーズも底堅く存在します。

一方で、不動産価格は基本的には需給の関係で決まります。

(3)の要因による価格上昇については、一般消費者が購入可能な金額水準の限界もあるため、多くの物件において一定のところで止まるものと想定されます。

ただし(1)と(2)による価格の高騰は止められません。

既に起きていることですが、供給サイドでは一般消費者が購入可能な価格帯を維持するために面積を圧縮する、設備や素材のグレードを落とすといった動きが強まっていくことが想定されます。

こうした背景から、「10年前に建てられた中古マンションの方が使用設備・素材のグレードが高いケースがある」といった理由で中古マンションに注目される方も増えてきている印象です。

中古マンション価格の上昇理由は、新築とは少し構造が異なります。

建築資材や人件費の高騰影響はゼロではないのですが、新築工事と比較すると影響は相対的に小さく、また海外富裕層からのニーズも限定的です。

先述の通り、不動産価格は基本的には需給のバランスで決まります。中古マンションの現在の価格上昇は、新築価格の上昇を受けて需要が高まっていることが主な要因です。故に、新築マンション価格の上昇幅が大きくないエリアにおいては、値ごろな中古マンションが見つかりやすいです。

以前の持ち主が何年も住んだマンションにそのまま暮らすのは抵抗がある…という方もいらっしゃるかもしれません。今は中古マンション+リノベーションという購入方法もあり、その中でも複数の選択肢がありますので、次回はこちらのテーマでお話します。