これから社会人になる方、新しい業務を任された方、さらなるステップアップを目指したい方におすすめしたいのが、伝わる資料の作りかたをしっかり身に付けること。

資料作成はあらゆる業務で必要になるのはもちろんのこと、一目でわかる資料があれば、オンライン会議での説明もスムーズに進めることができます。

それにもかかわらず、PowerPointを使った資料作成に苦手意識があるビジネスパーソンは少なくありません。

「文字が多くてわかりにくくなってしまう」
「操作が遅くて時間が無駄にかかってしまう」
「どこから手を付けたらいいかわからない……」
「相手にうまく伝わっていない気がする……」

こうした資料作りに苦手意識がある方に共通するのが、知っておくべき「暗黙のルール」を知らないこと。それもそのはず、業務のマニュアルはあっても「資料作りのマニュアル」を用意している会社はあまり多くありません。だからこそ、PowerPointをきちんと使いこなして、資料作りの肝となる暗黙のルールをマスターすることは、同僚や競合に負けない「ビジネスの強力な武器」になります。

本連載では、『この1冊で伝わる資料を作る! PowerPoint暗黙のルール』(著:中川拓也・大塚雄之・丸尾武司・渡邉浩良、監修:松上純一郎(株式会社Rubato)、マイナビ出版発行)から、必ず知っておいて欲しい、資料作りに必要な暗黙のルールを抜粋していくつかご紹介いたします。

よい資料は「人を動かす」

仕事をスムーズに進めるために重要なこと、それは究極的には「人を動かす」ことです。「人を動かす」というと、まるで命令によって無理やり何かをしてもらう、と勘違いする人がいるかもしれませんが、そうではありません。

目指すべき「人を動かす」姿とは、相手の想いや興味・関心を理解して、相手が動けない理由や制約条件をくみ取り、具体的な行動を提案して、納得感をもって「動いてもらう」ものです。そのためには、人との情報共有や意思決定にかかわる資料が大きな役割を果たします。

ビジネスの意思決定には、複数の立場の関係者がかかわることが一般的です。例えば法人向けに社員用パソコンの営業をする場合、「窓口となる購買部門」「実際に製品を使用する社員」「最終的な決定権限を持つ意思決定者」などが存在します。プロジェクトにかかわる人数が増えると、関係者全員と直接コミュニケーションをとることは難しくなります。そこで必要になるのが、自分の伝えたいことを誤解なくスムーズに伝え、意思決定のプロセスを前に動かしてくれる資料です。資料を通して多くの関係者と同じ情報を共有し、自分の提案に巻き込むことができます。

最近では非母国語でのやりとりや、在宅でのオンライン会議も増えています。こうした状況 下でも、資料は言語的なハンディキャップを補ってくれたり、情報を共有して同じ認識のも と議論ができるようになったり、さまざまなメリットをもたらしてくれます。

次回から、さっそく資料作りの暗黙のルールを紹介していきます。