スティーブ・ジョブズでも英語で話かければ答えてくれる!

皆さん、はじめまして!ITジャーナリストの神田敏晶です。こちらでは、通称、ポール神田としての英語との苦戦ぶりを通して、どうすれば英語が身につくのか?という情報を皆さんと共有していきればと考えております。

英語の学習時間は10年間、3,600時間にも及ぶ

日本の英語教育では、中学で3年間、高校で3年間、さらに大学で4年間となんと10年近くも、英語の授業を受けてきている。そして、宿題や受験、英検、TOEICに英会話と合算すると、平均的な日本人の英語に費やす時間は、学生時代だけで、のべ3,600時間にも及ぶ。

ちなみに、通常、英語が聞き取れるために必要なヒアリング時間は、1,000時間と言われている(三木谷浩史著「たかが英語」より)。1,000時間というと、1日8時間で125日、毎日英語で生活していると約4カ月間で達成できる時間となる。これは留学して3カ月目くらいで、耳の栓がスポッと取れたかのように英語が聞き取れるようになる瞬間が来る時期と等しい。

話を元に戻そう。日本人は3,600時間も学習しているのだから、1,000時間学習した人に比べると、3.6倍も英語が聞き取れないといけない計算となるが、聞き取れない人が多い。

なぜか? 答えはカンタンで、「ヒアリング」を訓練する機会が少ないからだ。

つまり、日本人の英語力の特徴は、

【リーディング>ライティング>スピーキング>ヒアリング】

というように基本の会話が成り立たたないスキル構造でできている点にある。

理想の構造は、子供が言葉を覚えるように、

【ヒアリング>スピーキング>リーディング>ライティング】

だろう。

日本人の場合、英語の電子メールやドキュメントであれば、なんとかなるが、いざ、ご対面となると通訳の人に頼りっきりになってしまう。

しかし、言葉は使えなければ意味がない。

3,600時間もの間、教科書に向かい、関係代名詞や分詞構文などの苦行を修行僧のように唱えてきた成果が活かせないのが多くの方のパターンだと思う。

日本では、英語はコミュニケーションのための道具ではなく、受験のための道具として存在していたといっても過言ではないだろう。

英語はスキルではなく情熱だ!

ところで、ボクの英語歴は、中・高・大の合計10年間と、さらに30歳になってから仕事で英語を使い始めてからの20年と、合計約30年にもなる。さらに、海外在住歴を合計するとプラス5年間くらいは英語を学習している。

今でもオーストラリアとアジア、アメリカをLCC(格安航空会社)で移動し、ルームシェアを使って、多拠点で暮らしている。

しかし、ボクの英語は決してうまくはない。はっきりいって無茶苦茶な文法で喋っているらしい(笑)。

だけど、「通じなくて困った!」という経験は少ない。

スキルではなく情熱(パッション)で喋ってるからだと思う! 主語と動詞だけを主張するだけで、ほぼ全世界の国々を渡り歩くことができるのだ。これほど便利なコミュニケーション・ツールはない。

ヨーロッパに行くと、見かけはアメリカ人とちっとも変わらない外人なのに(こちらが外人なのだが……)、英語がとっても下手くそな人たちもたくさんいる。

北欧の人は、本当に英語は下手。しかも訛りもすごい。ドイツの人の英語は「?」なことが多いし、フランス人の英語はとっても、かわいく聞こえるし、イギリス英語は、ボクにはなんだか北欧訛りの英語に聞こえる……(笑)。

もっと言うと、インド人の英語はいくら公用語とは言え、日本人ライクな発音だ。イスラエル人は英語だけかと思えばプライベートではヘブライ語だらけ。

南米ともなるとほとんどがスペイン語もしくはポルトガル語だ。中国の都市部は、英語が上手な人がたくさん。南アフリカでは、スラム街でも流暢な英語を話している。

大事なことなので、もう一度言おう。この地球で、最大公約数の単語でコミュニケーションができる言語は残念ながら英語しか存在しない。

日本でもそうだが、世界のどこでも、5人くらいに声をかけて英語で質問すれば、必ず一人くらいは英語で答えが返ってくる。

意思を伝えたい、知りたい、聞きたい、尋ねたい、教えてほしいという情熱さえあれば、あとは単純な英語で十分に日常会話は通じる。

日本人の殻を破れ!

海外に出てはじめてわかった事が、日本人ほど、美徳と良識と謙虚さを兼ね揃えている国民はいないということだ。ただ、それを誇りとしながらも、実に多くの外国人に誤解されていることを感じる。

特に「謙虚さ」はまったく外国人に理解されていない!謙虚とは外国人にはどうやら「シャイ」と同一語のようだ(笑)。

例えば、日本人は英語が得意の人でも、喋られるか?と聞かれて「YES!」と答えられる人はそんなにいない。つい、「No No! Just a little.」とご謙遜してしまう。

そんな謙遜する日本人を、外国人は、正直ではなく、ひどい時には嘘つきを見るかのような見方をする。

また、英語では、目上の人や上司にも謙譲語や尊敬語が存在しない。つまり「タメ口」でいいのだ。実はとっても気楽な言語なのである。それだけ日本語は表現力が豊かなのだ。

さらに英語は、「オレオレ主義」である必要もある。どんな時でも、英語には「自分」という主語が必要なので、まずは、日本人的な情緒性のある文化の殻を破る事が大事だ。そのためには自分が外国人になる必要がある。

自分自身を外国人化する方法

ボクの英語レッスンの話をしよう。革命的だったレッスン体験がある。それは、自分自身を外国人化する事だった。

事の発端は、いつも免税店では英語で話しかけられることが多かったことだ。そこで英語で答える。しばらくしてから、「もしかして、日本人ですか?」と声をかけられる……。

なぜかいつも香港人と間違えられていたのだ。テンガロンハットをかぶっている日本人なんてそんなにいないからだろう(笑)。

その時に思ったのが、英語をしゃべる機会を強制的に作らなくてはということ。

そこで、夜の22時以降、外出時は日本語禁止にしてみたのだ。

マクドナルドでも英語、タクシーでも英語、道を聞くのも英語、焼肉屋でも英語、スタンディングバーでも英語、どこへ行っても英語!

この体験は、非常に勇気のいる体験だったが、まずは利害関係の少ないマクドナルドあたりで、「Hi! I'd like to have...」と英語でオーダーしてみた。

最近は、日本人の顔立ちでも外国人が多くなっているので、マクドナルドのクルーは見事に「Yes! Just a moment.」と非常事態モードなのにとっても丁寧に対応してくれた。

このコラムを読んでいる読者の皆さん!ぜひ、騙されたと思って英語でオーダーしてみてほしい。いかに、英語で話しかけられた日本人は非常事態モードにスイッチが入って、最高のおもてなしをしてくれるかがわかる。

マクドナルドではそんなに難しい言葉を使う必要がない。スターバックスやタリーズでも一緒だ。

ちょっと気兼ねするようなルイヴィトンのような高級店でも、「Thank you. I just looking.」と答えると、なぜだかVIP対応になる。

ついつい調子にのって「Can I see that one?」と次々と商品を見続けているうちに外国人化している自分に気づく。

そう、一度、外国人化してしまうと、日本人とバレないように、自分も非常事態モードになっているのだ。海外にいるよりも、英語を意識するようになる。背中が冷や汗でびっしりということもしばしば……。

しかし、喋りたいのに喋れなかった単語はあとでチェックできる。ああ、あの時はどう言えば良かったんだろう?と調べる。勉強ではなく日本に来た外国人としての視点で日本を見つめることができるのだ。

さらにだ……。

普通、日本では綺麗な女性に声をかけても振り向きもされない。しかし、英語で「Excuse me. Do you speak English?」と質問すると2人のうち1人は必ず立ち止まってくれる(笑)。なんて、素晴らしい国なんだ!と思える。

そう、英語が使えるだけで、日本が違って見えてくるのだ。

これも日本人の殻を捨てて外国人化するための儀式だと思って実践してみてほしい。実践しないと何もはじまらない。

英語は、学習の成果が見えにくい。だからこそ、モチベーションの維持が一番むずかしい。

自分が外国人へ変身するという事は、ちょっぴりスリルがありながらも、日本で大胆に英語の勉強のできる機会だと思う。

文/Paul toshiaki kanda 神田敏晶

■著書プロフィール

神田敏晶
KandaNewsNettwork,Inc. 代表取締役
ビデオジャーナリスト / ソーシャルメディアコンサルタント

神戸市生まれ。ワインの企画・調査・販売などのマーケティング業を経て、コンピューター雑誌の編集とDTP普及に携わる。その後、 マルチメディアコンテンツの企画制作・販売を経て、1995年よりビデオストリーミングによる個人放送局「KandaNewsNetwork」を運営開始。ビデオカメラ一台で、世界のIT企業や展示会取材に東奔西走中。

1999年に米国シリコンバレーに進出、SNSをテーマにしたBAR YouTubeをテーマにした飲食事業を手がけ、2007年参議院議員選挙東京選挙区無所属で出馬を経験。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部で非常勤講師を兼任後、ソーシャルメディア全般の事業計画立案、コンサルティング、教育、講演、執筆、政治、ライブストリーム、活動などをおこなう。