豆腐が大好物で、酒場で豆腐を使ったメニューを見つけるとつい頼みがちです。特に興奮するのが、“漆黒”と表現してもいいくらい真っ黒に煮込まれた豆腐に出会ったとき。たま〜にあるんですよ。

  • こういうのとか

    こういうのとか

  • こういうのとかです

    こういうのとかです

もとはこの世でもいちばんと言ってもいいくらい白い食材。それを、対極である黒という色に染めてしまう。ちょっといけない場面に立ち会ってしまったような背徳感。そこに酒場のロマンを感じ、ぐいぐい酒がすすんでしまうというわけです。

なので僕は昔から、自宅でも豆腐を黒く煮られないかの研究を長年続けてきました。八丁味噌やたまり醤油、それから、かなり重要なポイントであるらしいことまでは突き止めた赤ワインなど、さまざまな素材を組み合わせつつ。

ところがこのたび、あぁ、こいつを使えば良かったのか! という最後のピースに、ついにたどり着いてしまったんです。あ、僕は理論を学んだプロの料理人ではないので、あくまで“個人的な正解”でしかないんですが。

その食材というのが、コーラ!

  • 漆黒のドリンク

    漆黒のドリンク

ついにたどり着いた組み合わせ

僕はふだん、あまり甘い飲みものを飲まないんですが、先日、ペットボトルに半分くらい残ってしまったコーラが、偶然冷蔵庫にあったんです。そこで、そういえばコーラで肉を煮るレシピってあるよなと。確か肉が柔らかくなって、コーラの糖分が砂糖などのかわりになって、スパイスの風味もアクセントになって、美味しいらしいと聞いています。ちょっと試してみようかな。と思ったはいいものの、冷蔵庫にめぼしい肉がなかったんですよね。じゃあ豆腐でも煮てみようかと。ほんの出来心で。

が、この思いつきの時点で、すでに予感がしはじめました。あれ? この黒さ、もしかして漆黒の豆腐煮への近道になりうるんじゃないの? と。

そこでコーラに、赤ワイン、醤油、甘みの調整でみりんを加え、さらに旨味要素として冷凍庫にあった牛脂も加え、絹豆腐を煮てみたんです。

  • ぐつぐつ

    ぐつぐつ

すると予想どおり! 煮汁に豆腐を入れ、よく温まるまで数分煮ただけで、かなりの黒さに! やわらかい絹だったもので、鍋のなかで雑にひっくり返したりしていたら崩れてしまったんですが、とにかくこんなふうに。

  • かなりの黒さ

    かなりの黒さ

これは大発見。というか、むしろなんで今まで気がつかなかったんでしょうか。あんなにも真っ黒で、かつ世界的に有名な液体を、煮豆腐に使ってみようと。肝心の味のほうも、ほんのりと赤ワインの酸味や香りを感じるのが特徴的ですが、洋風テイストの煮込みという感じで、ぜんぜん美味しいです。

ではあらためて、レシピを整理つつ作っていってみましょう。

小鍋に、コーラ100ml、赤ワイン100ml、みりん100ml、醤油50mlを合わせて沸かします。ざっくり2:2:2:1の割合を覚えておけば、分量は臨機応変に変えてOK。また、もしあれば醤油は、色も味わいも濃厚な「たまり醤油」を使ってもらえるとベター。なければなんでも。

そうしたら、崩れにくい木綿豆腐に、地面と水平に一度包丁を入れて薄めの2枚にスライスし(より表面積が増え、かつつまみやすいように)、鍋に投入。もちろん豆腐は、入るなら2丁以上でもお好きに。

  • 一気に染まりはじめる豆腐

    一気に染まりはじめる豆腐

あとはぐつぐつぐつと15分くらい煮てもらえれば、豆腐は真っ黒に染まっているはず。このとき、あれば牛脂や、魚のあらとか、動物性の旨味が出るものを合わせて鍋に入れておくと、より深い味わいになるでしょう。が、今回のレシピの最大の目的は、ひたすらに「豆腐を黒くしたい」なので、ストイックに豆腐だけでもOK。

  • おもしろいように黒くなってゆく

    おもしろいように黒くなってゆく

あとは崩れないよう、慎重にお皿に盛れば、完成!

  • 「漆黒の豆腐煮」

    「漆黒の豆腐煮」

いや〜黒い。これは黒い。思わず顔がニヤけてしばらく戻らなくなるほどに。

いざ箸を入れてみると、実はさっと煮ただけなので、中心はまだ真っ白なのがまたいいんです。

  • 白と黒のコントラスト

    白と黒のコントラスト

こってり濃厚な味をまとった、熱々でとろりとやわらかい豆腐の美味しさ。そしてなにより、テンションの上がる視覚情報。素朴ながら、こんなにもわくわくする家飲みつまみはそうそうないんじゃないでしょうか?

ちなみに言うまでもないことですが、この豆腐煮、肉やねぎなどお好みの食材を加えれば「漆黒の肉豆腐」にもなります。

  • そりゃあもう……ね?

    そりゃあもう……ね?

また、残った煮汁にもできれば捨てないで! 蒸発しつくすまで豆腐を足して煮込むのももちろんありですが、量が少なくなったら、たとえば白滝なんかに煮からめ「漆黒の白滝」にしても、非常に良いつまみになります。

  • 全てを闇落ちさせる煮汁

    全てを闇落ちさせる煮汁

■作りかた(ひとりぶん)

【材料】

・豆腐(崩れにくいのは木綿):1~2丁
・コーラ:100ml
・赤ワイン:100ml
・みりん:100ml
・醤油:50ml
※すべての分量は目安です。お好みで調整してください。

【作りかた】

1.鍋に煮汁のもとを全て入れ、火にかける。
2.半分に切った豆腐を加え、15分ほどぐつぐつと煮る。
3.その際、あれば牛脂や魚のあらなどを加えるとより旨味が増す。肉、野菜など好きな食材を加えるのもおすすめ。