新年最初の更新ということで、今回はクレジットカードの歴史が学べる三菱UFJニコスの「カードギャラリー」を紹介したいと思う。
場所は、秋葉原駅からすぐの三菱UFJニコス本社内。UDXビルの長いエスカレーターを昇って5階ロビーからエレベーターに乗り、16階に到着したら受付を目指せば、その正面にある。普通に社員が行き交う場所なので、少し気まずさを感じるかもしれないが、自由に入って問題ない。
カードギャラリーは「HISTORY」「CARD」「SOLUTIONS」「CSR」の4コーナーで構成されている。まずはクレジットカードの歴史が展示された「HISTORY」のコーナーから見ていこう。
クレジットカードの前身となったクーポン券も展示
「HISTORY」のコーナーは年表形式となっており、世界初のクレジットカード会社と言われるダイナースクラブが1950年にアメリカで設立されたところから始まる。その翌年である1951年には、日本信用販売株式会社が設立。クーポン券の形で間接割賦販売(現在におけるクレジットサービス)を開始しており、当時の貴重な現物も展示されている。
年表では、主要なカード会社の設立、プラスチックカードの登場、海外でも使える国際カードや企業との提携カードの発行などの事象を紹介。当時の世の中やカード業界の状況についての解説も加えられている。三菱UFJニコスのギャラリーということもあり、同社に関連する出来事が中心となっているが、1950年から2010年頃まで、約60年間のクレジットカードの歴史を一通り学ぶことができる。
なお、前述の日本信用販売は、のちに日本信販と改称し、NICOSカードを発行。2005年にUFJ銀行の子会社となり、UFJカードと合併して社名もUFJニコスに。さらに2006年にはJAカードを発行する協同クレジットサービスと合併。そして2007年に三菱銀行系列のディーシーカードと合併し、現在の三菱UFJニコスが誕生している。
ちなみにUFJカードも、ミリオンカード・サービスとフィナンシャルワンカードが2002年に合併して生まれており、JCBも1961年に日本信販と三和銀行の共同出資によって設立されている。クレジットカードは発行会社の関連企業で優待を受けられることも多いので、こうしたカード会社の統合の歴史を知っておくと、カード選びをする際の参考にもなるだろう。
昭和40年代から現在まで、新旧1,000枚のカードを展示
続いては「CARD」のコーナーを見ていこう。ここには三菱UFJニコスが発行した新旧1,000枚のカードが展示されている。それでも同社が発行したカードのごく一部だが、古くは昭和40年代に発行されたものもあり、時代を感じさせるデザインやロゴマークを見るだけでも楽しめるはずだ。
また、長野オリンピックやフランスW杯、各地で開催された国体・博覧会など、期間限定でしか入手できなかったデザインのカードが多数展示されていることも魅力。一般には公開されていない企業のコーポレートカード、弁護士向けのカードなどを見ることもできる。
実際に使われている決済端末を体験できる
「SOLUTIONS」のコーナーには、三菱UFJニコスが普及を進める決済端末「J-Mups」が展示されている。実際に操作することも可能で、受付に希望を伝えれば、自分のクレジットカードや電子マネーを使って、トレーニングモードで店同様の決済を体験することもできる(デモのため支払いは発生しない)。
最後は「CSR」のコーナー。ここでは三菱UFJニコスの社会貢献の取り組みが映像で紹介されているほか、プライバシーマーク、ISO9001(品質マネジメントシステム)、ISO10002(苦情対応マネジメントシステム)などの登録証が展示されている。顧客としての立場だけではなく、サービスを提供する側の目線で見ても参考になるのではないだろうか。
カードギャラリーの営業時間は、平日9時から17時20分まで(12/30~1/3は休業)。決して広くはないスペースだが、ぎっしりと情報が凝縮されているので、時間に余裕を持って訪れることをおすすめする。
(※クレジットカードの用語などは以下を参照)
『シーンで選ぶクレジットカード活用術 (1) 最低限知っておいてほしい基礎知識』
■ 筆者プロフィール: タナカヒロシ(ライター・編集者)
普段は音楽やエンタメ関係の仕事が多いが、過去に勤めていた会社の都合でクレジットカード本を作ったことをきっかけに、クレジットカード、電子マネー、ポイントなどに詳しくなる。以降、定期的にクレジットカードのムック本を編集・執筆。3月8日発売の『最強クレジットカードガイド2017 本当にトクするカードの選び方・使い方=写真=』(角川SSCムック)では、編集統括および記事の大部分を執筆している。