就職活動中の皆さんは自分が今後働くかもしれない企業を、どのように調べていますか? ナビサイトで条件を入れて調べたり、TVやSNSなどの広告でお馴染みの企業の採用サイトを調べたり、”就職人気企業ランキング”を参考にしたり、大学の先輩やゼミ・研究室の就職実績から見当をつけたり……というケースが多いのではないでしょうか。

この記事では、社員・元社員の「生の声」で理想の企業が探せるクチコミ情報プラットフォーム「OpenWork」でスコアが高い、つまり、実際に働いたことがある社員・元社員が評価をする企業を、各業界別にランキング形式で紹介しつつ実際のクチコミも紹介します。 「就職人気企業ランキング」では読み取れなかった、前から気になっていた会社や名前も知らなかった会社で実際に働く先輩社員の生の声を読んで、新しい出会いを見つけてみてくださいね。

今回は、「OpenWork」のスコアより、実際に働いた社員が評価する「銀行業界」の企業ランキングをご紹介します。

  • ※画像はイメージです

実際に働いた社員が評価する、「銀行・信金業界」企業の総合評価ランキング

今回は、毎年就活生から手堅い支持を集める金融業界の中でも「銀行・信金業界」を分析します。 「銀行」と一口で言っても、その種類は主に、メガバンク・地方銀行・信用金庫・信託銀行の4つに分けられます。ざっくばらんに言えば「お金を扱うところ」というイメージだと思いますが、その本質はお金を預かるだけではなく、預かったお金を適切に運用することで利益をもたらすことにあると言え、預金業務・為替業務・融資(貸付)業務に分かれています。

ここ最近はメガバンクが揃って新卒採用予定人数を減らしていることもあってか、就活生の銀行業界への就職人気・関心が以前より低くなってきており、OpenWorkが発表している、就活生が実際に調べている企業を集計した「就職注目企業ランキング」においてもメガバンクの順位が下がっています。一方で、銀行業界にもデジタルトランスフォーメーション(DX)化の波が押し寄せており、大きな変革期を迎えています。キャッシュレス支払いや仮想通貨の台頭、AIによる業務代行といったフィンテック普及により、デジタル専門人材の採用や登用が急務とされ、メガバンクでは新卒至上主義から脱却し中途採用を前年度比8割増にするなど、今後は人材の流動化が進み、組織文化にも変化が起きそうです。

元々、大人数の新卒一括採用を行っていたこともあり、教育・研修制度は整っていることが多く、入行後にFP(フィナンシャルプランナー)や簿記といった資格取得、金融知識と企業経営視点が培われる銀行。スキルと専門性を磨きつつ自分の力で顧客の利益に貢献したい、日本経済の発展に貢献したいと考える就活生にはおすすめです。

実際に「銀行・信金業界」で働いてきた先輩たちは自社をどのような評価をつけたのでしょうか? 8つの評価スコアから算出した「総合評価」のスコアが高いTOP10企業をランキングにしました。

1位は米国ニューヨークに本社を置く「JPモルガン・チェース銀行」の東京支店、2位と3位は「帯広信用金庫」「東北労働金庫」と、信金・労金がランクインしました。3大メガバンクからは三井住友銀行が5位に入っていますが、TOP10の多くを地銀が占めています。

高評価の背景は? TOP5の社員クチコミから探る

「就職」といえばかつて合計5000人以上を採用していたメガバンクを思い浮かべる方も多いと思いますが、社員による評価を見ると、上位には外資や地銀、信金・労金とバラエティ豊かな金融機関がランクインしました。5位のメガバンク三井住友銀行より上位の各社にはどのような特徴があるのか、TOP5の評価を項目別に見てみましょう。

顧客の資産を預かる金融機関らしく、どこも「法令順守意識」は非常に高い評価となっています。「待遇面の満足度」を見ると、JPモルガン・チェース銀行と東北労働金庫がそれぞれ4点超えと高い満足度を得ています。JPモルガン・チェース銀行は外資系に多く見られる高い年俸制ですが、常に成果を出し続けることが求められる厳しい世界です。

一方、「待遇面の満足度」の評価点が4.3とTOP5の中で最も高い東北労働金庫は、年功序列で着実に給与が上がっていくことが社員クチコミからもわかります。このように、高い評価点を因数分解していくと、それぞれの企業の特徴が見えてきます。OpenWorkに投稿された社員のクチコミから、一部ご紹介します。

「給与制度:30歳を超えたあたりで役職が付き始めるが、そうすると給料は跳ね上がる。総合職(新卒は皆、総合職採用)でも、最初は名目上、一般職。20代の一般職の時は給料が安いが(それでも定昇はしっかりあるが)、一般職→次長代理(又は課長代理)→次長(又は課長)→支店長(又は部長)と役職がステップアップした時点で、一気に上がる。正職員の定年時は、大体、次長(課長)か支店長(部長)になっている。支店長か部長になれば、年収は1000万を超える。評価制度:年功序列がメインで、定昇は必ずあるので安心。評価制度も、しっかりミックスされているので、頑張った分は評価される。しかし、渉外は数字で判断されるので分かりやすいが、内部の仕事の評価については、やや曖昧な部分もある。(渉外、男性、東北労働金庫)」

続いて、「社員の士気」を見てみましょう。JPモルガン・チェース銀行が4.2点、帯広信用金庫が3.9点と、どちらも高い評価です。社員クチコミを見ると、若手から裁量の大きい仕事ができる点に働きがいを感じている声が見られました。

「スピード、難易度の高い仕事を若いうちから任せられる。金融に興味がありやる気があればいくらでも成長できる。(営業、女性、JPモルガン・チェース銀行 東京支店)」

「顧客との距離が非常に近いため、自分が尽力した融資案件などの成果が目に見えて分かる。例えば、創業・新店舗開業案件などであれば、経営者と共に店づくりをすることも可能。また、地銀やメガバンクと違い専門職というものが無いため、金融機能を一通り身に付けることが可能(預金・融資・為替)。また近年は本業支援にも力を入れているため、コンサルティング能力や、企業分析などの手法も一通り学ぶことが可能。(金融、男性、帯広信用金庫)」

「風通しの良さ」では、4位の北國銀行が3.9点と非常に高く、北國銀行はこの項目以外でも「社員の相互尊重(チームワーク)」や「人材の長期育成」で高い評価を得ています。社員クチコミを見ると、組織が近年大きく変化していることがわかり、旧態依然の文化が残る地方銀行の中でもかなり改革が進んでいるようです。

「ここ数年、企業文化は大きく変化していると思います。フラットな関係性になっており、相談しやすい環境になっている。また、失敗を恐れず、様々なことに挑戦する文化が根付いている。(営業、男性、北國銀行)」

「新たな会社体制となり、組織体制も中途採用を前提とした考え方になってきている印象。キャリアプランを明確にしながら働くことを推進しており、自己研鑽の必要性を全面的に発信している。(法人営業、男性、北國銀行)」

「社員の個々人が描くキャリアプランを重要視する会社。行きたい部署への希望を聞いたり、キャリアプラン形成に対するキャリアコンサルタントによる助言制度があったりと、キャリア開発や人材の成長に対する取り組みも熱心。(銀行、男性、北國銀行)」

「20代成長環境」では、若手から難易度の高い仕事を任せられるJPモルガン・チェース銀行に次いで、メガバンクの三井住友銀行が3.6点の評価となっています。3大メガバンクの中でも最も20代成長環境スコアが高い三井住友銀行の社員クチコミを見ると、メガバンクとしての教育制度の充実と、若手から裁量権を持って仕事ができる点など、キャリアのスタートを切る上でおすすめできるという声が多く見られました。

「銀行でしか経験できない事が多くあり、1社目のキャリアとして有用な経験になると感じました。研修なども充実しており学びたいと思う人には絶好の環境であると思います。海外勤務の機会も多くキャリア開発のチャンスが多いです。(営業、男性、三井住友銀行)」

「若手から担当を持たせてもらい、自身でお客さまに提案を行いPDCAを繰り返していくことで自身の成長ができることがやりがい。またそれに見合った給与、賞与も頂けるため、モチベーションにも繋がる。(法人営業、女性、三井住友銀行)」

「キャリア希望について定期的に上司や人事部と議論する機会がある。また社内の研修や公募などの制度も充実しており、ファーストキャリアとして社会人としての基礎を身につけるうえでは非常に役に立った。(部長代理、女性、三井住友銀行)」

変革期の銀行業界。自分に合った環境を見極めるには

今回は、OpenWorkの業界ランキングから上位に絞って高評価の背景を探りました。すでにデジタル化の波によって窓口業務など従来の銀行業務が縮小され始めており、フィンテックの隆盛によって「銀行が無くなる」とまで言われています。

そういった厳しい環境に立ち向かうために必要なのが、DX推進や新規事業の開発など「新たな価値を生み出す」人材の獲得です。就活売り手市場が続く中、これまでの新卒一括採用、横並びの研修や配属では優秀な人材の獲得や育成が難しいと、多くの銀行が組織改革を始めています。

自分が目指す銀行や金融機関は、この変革期にどのような組織改革を行っているのか? そのスピード感や変化は自分に合いそうか? 評価点やワークライフバランスといった数字だけにとらわれずに、社員クチコミなどの「先輩社員の声」を参考に企業選びをしてみてはいかがでしょうか。

OpenWorkとは?

「OpenWork(オープンワーク)」は、実際に働いた経験に基づく社員・元社員の声を共有しているクチコミ情報プラットフォームです。その会社で働いていた先輩社員はOpenWorkにクチコミを投稿する際、8つの評価(待遇面の満足度、社員の士気、風通しの良さ、社員の相互尊重、20代成長環境、人材の長期育成、法令順守意識、人事評価の適正感の8項目で数値評価)を付け、8カテゴリのクチコミから合わせて500字以上を投稿します。

企業の社員・元社員から情報を収集しているWEBサイトとしては、国内最大規模のクチコミ数と評価スコア(1280万件超)が蓄積されており、会員数は約475万人(2022年4月時点)となっています。またOpenWorkを就活時に活用した22卒学生は24.9万人。おおよそ毎年就活生は50万人いるとされているため、単純計算では就活生の2人に1人が活用しているサービスです。

就活生の多くは、自分が気になった企業の評価や社員クチコミを調べる企業研究にOpenWorkを活用するケースが多いのですが、先述した8つの評価スコアを元に調べることで、OpenWork上で自分が求める・大切にしたい事を軸に検索をかけて、企業を探すことができます。