就職活動中の皆さんは自分が今後働くかもしれない企業を、どのように調べていますか?ナビサイトで条件を入れて調べたり、TVやSNSなどの広告でお馴染みの企業の採用サイトを調べたり、”就職人気企業ランキング”を参考にしたり、大学の先輩やゼミ・研究所の就職実績から見当をつけたり……というケースが多いのではないでしょうか。
この記事では、社員・元社員の「生の声」で理想の企業が探せるクチコミ情報プラットフォーム「OpenWork」でスコアが高い、つまり、実際に働いたことがある社員・元社員が評価をする企業を、各業界別にランキング形式で紹介しつつ実際のクチコミも紹介します。 「就職人気企業ランキング」では読み取れなかった、前から気になっていた会社や名前も知らなかった会社で実際に働く先輩社員の生の声を読んで、新しい出会いを見つけてみてくださいね。
「OpenWork」とは?
「OpenWork(オープンワーク)」は、実際に働いた経験に基づく社員・元社員の声を共有しているクチコミ情報プラットフォームです。その会社で働いていた先輩社員はOpenWorkにクチコミを投稿する際、8つの評価(待遇面の満足度、社員の士気、風通しの良さ、社員の相互尊重、20代成長環境、人材の長期育成、法令順守意識、人事評価の適正感の8項目で数値評価)を付け、8カテゴリのクチコミから合わせて500字以上を投稿します。
企業の社員・元社員から情報を収集しているWEBサイトとしては、国内最大規模のクチコミ数と評価スコア(1250万件超)が蓄積されており、会員数は約465万人(2022年2月時点)となっています。またOpenWorkを就活時に活用した22卒学生は24.9万人。おおよそ毎年就活生は50万人いるとされているため、単純計算では就活生の2人に1人が活用しているサービスです。
就活生の多くは、自分が気になった企業の評価や社員クチコミを調べる企業研究にOpenWorkを活用するケースが多いのですが、先述した8つの評価スコアを元に調べることで、OpenWork上で自分が求める・大切にしたい事を軸に検索をかけて、企業を探すことができます。
実際に働いた社員が評価する、「コンサルティング・シンクタンク業界」企業の総合評価ランキング
今回は、就活生にも人気の「コンサルティング・シンクタンク業界」を分析します。コンサルティングは、クライアント企業に戦略や経営などの面で携わり事業課題の解決策やアドバイスを行う業務です。戦略や経営に限らず、ITや人事、M&Aなどの専門分野や領域によって多種多様なコンサルティング会社があり、コンサルティングをサービスとして提供する会社を「コンサルティングファーム」と呼びます。
多種多様なクライアントとその事業課題を抱えるので、スピード感あるプロジェクトマネジメントスキルを必要とします。ハードワークかつシビアな業界ではありますが、終身雇用制度が崩れつつある昨今、圧倒的成長できる環境に身を置き汎用性高いスキルを身につけ、今後のキャリア形成における自分の市場価値を高めたい……、そんな就活生にはオススメの業界です。
実際にコンサルティング・シンクタンク業界で働いてきた先輩たちは自社をどのような評価をつけたのでしょうか? 8つの評価スコアから算出した「総合評価」のスコアが高いTOP10企業をランキングにしました。
1位はアメリカ合衆国・ボストンを本拠地にする経営戦略コンサルティング会社の「ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン・インコーポレイテッド」、2位は設立から50年の歴史がある「マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社」、3位はファシリテーション型変革コンサルティングを掲げる「ケンブリッジ・テクノロジー・パートナー 」と続きます。 コンサルティング・シンクタンク業界と言えば「外資企業」のイメージが強いですが、最近では日本企業もTOP10に多く入ってきています。
続いて表をもうひとつ。コンサルティング・シンクタンク業界のスコア水準を比較するべく、こちらも就活生に大人気かつOpenWork上でも全体的に高得点をマークしやすい総合商社業界と比較してみましょう。
総合評価TOP10企業は「20代成長環境」スコアがほぼ5点満点に近い
コンサルティング・シンクタンク業界は、OpenWork上の他の業界とも比べ、全体的に高得点をマークする傾向にあり、8つの評価スコアはどれも満遍なく高い結果となっています。
同じく、各スコアが満遍なく高得点をマークしやすい総合商社業界との比較表を見てみると、両業界とも確かに高スコアが並びますが、コンサルティング・シンクタンク業界ならではの特徴が浮かび上がってきます。「20代成長環境」そして「人事評価の適正感」のスコアが高く、「人材の長期育成」に関しては総合商社と比べると比較的低めの平均スコアが出ているようです。
参考に、総合評価ランキングTOP10企業の、「20代成長環境」「人事評価の適正感」スコアもつけてみました。
「20代成長環境」はTOP10企業のうち半分が5点満点、それ以外の企業でも5点満点中4.6点以上をマークしており、若手が圧倒的に成長できるという評価がついています。続いて「人事評価の適正感」スコアを見ると、やはりこちらも5点満点中4.4〜4.8点をマークしており、評価制度に関して何か特徴がありそうです。
ここからは、実際の社員クチコミをピックアップしながら、コンサルティング・シンクタンク業界のスコアについて、2つのパートに分けてさらに深掘りしていきましょう。ひとつめは、スコアが高い「20代成長環境」そして「人事評価の適正感」の秘訣、 ふたつめは比較的低めな「人材の長期育成」スコアの理由です。
【1】スコアが高い「20代成長環境」そして「人事評価の適正感」の秘訣
若手社員が、成長とそれに見合った評価制度を感じられる環境とはどのような点にあるのでしょうか、「20代成長環境」のスコアが5点満点をマークしているコンサルティングファームの社員クチコミからいくつかピックアップして覗いてみましょう。
「Juniorメンバーのキャリア開発には非常に積極的で、拡大中の充実した研修及び逐次多方面のメンバーから頂けるフィードバックなど、成長環境としては申し分ない環境にある」(コンサルタント、男性、ベイン・アンド・カンパニー)
「Up or outが徹底されており、一定のポジションに立ち止まって楽しながら過ごすことは許されず、常に成長を求められる。ただし、成長のためのサポートは、周囲からのフィードバックやコーチング等、十分すぎるほどあり、勝手に一人で成長しろという冷たい空気は一切ない」(コンサルタント、男性、マッキンゼー・アンド・カンパニー)
「特に若手の間は、仕事の自由度が高いため、競合他社より成長スピードが早いと聞く。競合他社ほど、プラクティス・ケイパビリティごとのオファリングが確立しておらず、プロジェクトのたびにアプローチ創り上げる傾向があり、その際にはシニアだけでなくジュニアの意見も組み込もうという空気がある」(シニアビジネスアナリスト、女性、A.T.カーニー)
「若いメンバーもプロジェクトに深く関与でき、お客さんと直に接する機会も多いため、非常に鍛えられる成長環境。半面、自発性も強く求められる。パフォーマンスが良ければ昇進昇格は速い」(コンサルタント、男性、コーポレイト ディレクション)
「評価制度は、半年に一回の評価会議で評価、昇格が決まる、個々人が半年の間に参画したプロジェクトでの貢献度合いや発揮能力を多面的に評価される、全社的に評価に対してかなりの時間をかけており、また、なぜその評価なのか、それを受けてどのように成長のためのアクションを取るべきか等の建設的なフィードバックも得られるため、評価の納得感は高い」(コンサルタント、男性、A.T.カーニー)
「評価制度は世界中の全オフィスで統一されており、誰かの個人的な判断に左右されないようとても公正なシステムになっている。また、フィードバックもたくさんもらえるため、一時期評価が良くなくても挽回のチャンスは何度でもある」(コンサルタント、女性、マッキンゼー・アンド・カンパニー)
これらの社員クチコミを見ていくと、以下の3点が読み取れます。
- 自由度が高くチャレンジングな業務内容
- フィードバック・コーチング文化に基づいた公正な評価制度
- 充実した研修制度、手厚いキャリア開発
この点が「20代成長環境」「人事評価の適正感」スコアを押し上げている要因と言えそうです。
【2】比較的低めな「人材の長期育成」スコアの理由
8つの評価スコアが全体的に高く、総合評価も高水準のコンサルティング・シンクタンク業界ですが、「人材の長期育成」スコアは他スコアと比べ低めに出ています。一体なぜでしょうか? 実際の社員クチコミからその理由をいくつかピックアップしてみましょう。
「元々長居をするつもりはなく、新卒数年で成長後、やりたいことを見つけて事業会社に行くことを想定していたから。居辛さややりにくさを感じて退職したわけではない」(コンサルタント、男性、ベイン・アンド・カンパニー)
「多くの人が卒業後のキャリアでのさらなる活躍を期して入社しているという風土があり、退職も卒業と呼ばれて賞賛されるような文化を持っている。実際に卒業後に様々な業界で活躍する人材は多く、そうした人たちがマッキンゼー・マフィアと呼ばれて大きな影響力を持っている。このアラムナイコミュニティに入れること自体が、この会社に入社することの意味の1つでもあると感じる」(コンサルタント、男性、マッキンゼー・アンド・カンパニー)
「強い不満があったわけではなく、コンサルという第三者的な立場ではなく、事業を作る立場として挑戦したいと考えたので退社しました」(コンサルタント、女性、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ)
「元々コンサルタントで力をつけた後、経営者の道に進みたいと考えていたので、たまたま別の事業会社から良い誘いがあり転職を決意した」(コンサルタント、男性、ボストン・コンサルティング・グループ合同会社)
「好きな分野で同期が起業を行おうとしており、そこにJoinするため転職を決意」(コンサルタント、男性、ボストン・コンサルティング・グループ合同会社)
社員クチコミから、以下のような点が見えてきます。
- 元々長く働くつもりで入社していない、「卒業」文化が前提
- クライアントワークを通じ身につけたスキルを試すべく事業会社へ転身
- 事業会社だけでなく自分で起業する人も
コンサルティング・シンクタンク業界、まとめ
- コンサルティング・シンクタンク業界は全体的に高スコアをマーク
- 高スコアの「20代成長環境」「人事評価の適正感」は、チャレンジングな業務内容、フィードバック文化に基づく評価制度、手厚いキャリア開発環境がポイント
- 比較的低いスコア「人材の長期育成」は、「卒業」文化・スキルを持って事業会社・企業家への転身がポイント
コンサルティング・シンクタンク業界の社員クチコミを読み込んでみると、「20代成長環境」スコアが非常に高いということは、「人材の長期育成」スコアとトレードオフ関係にあるとも言えそうです。そもそも長く会社にお世話になるつもりがなくキャリアの比較的早い段階、若手の内から汎用性の高いビジネススキルを身につけ、新しい業務や環境に挑戦する……そういったコンサルティング・シンクタンク業界の先輩社員が多く働いているようですね。
一口に「コンサルティング業界を目指す」といっても、その企業の社内方針や文化、大切にしていることによって、企業のカラーは多種多様・十社十色です。
OpenWorkの8つの評価スコアを軸に使って企業の評価を調べてみたり、実際に先輩社員のクチコミを読み込んでみたりすることで、自分の求める企業に出会える可能性がグッと上がります。知名度や「皆が受けているからなんとなく」といった理由に流されず、自分が入社する社や今後のキャリアに求めたい「働きがい」を軸に、大切なファーストキャリアを築いて行ってくださいね。