「大事な会議に遅刻した」「上司への相談なしに進めていたら、トラブルに発展した」など、仕事での失敗は誰にでもあるもの。もちろん、失敗をしないに越したことはありませんが、社会人として大切なのは、“失敗したときにどう向き合うか”。

今回は、グロービス経営大学院 教授の森暁郎氏による、仕事や人生の選択肢を広げる新しいお金の入門書『世の中のことも自分のこともみるみるわかる お金の「選択」』から、「仕事の失敗への向き合い方」についてお届けします。

サンクコストという考え方

  • パソコンを前に頭を抱えるスーツの男性

    ※画像はイメージです

ビジネスの世界で「失敗」と向き合うとき、欠かせないのがサンクコストという考え方です。日本語では「埋没費用」と訳されます。

「既に払ってしまって取り戻すことができない費用」のことです。

失敗とは、すでに起きた過去の出来事です。変えられないものに執着しても、時間とエネルギーのムダ。未来の選択に影響させないことが正しい判断です。

しかし現実には、このサンクコストに縛られて誤った判断をしてしまう人が驚くほど多いのです。

たとえば、つい先日に私自身が経験したことですが、有料動画を400円で購入したものの、明らかに期待外れで面白くありません。 このとき、「せっかく400円払ったんだから、最後まで見よう」と考えるのは、典型的なサンクコストに囚われた判断です。

正しい判断は、「400円はもう戻らない。気持ちを切り替えて別の楽しいことをしよう」なのです。

ビジネスでも同じです。初期投資をして進めていたプロジェクトが、前提の変化などで頓挫したとき、「これまで◯百万円も使ったんだ、ここで止めるなんてあり得ない!」こうなると、損失がさらに拡大するだけです。

最近では、建築資材や人件費の高騰で不動産開発が白紙撤回されるニュースをよく見かけます。

一見「もったいない」と思うかもしれませんが、状況が良くなる目途が立たないなら、1秒でも早く決断をして、見込みのないプロジェクトに更におカネを使うことを止めるべきなので、サンクコストを冷静に見極めた合理的判断といえるでしょう。

サンクコストに囚われない練習

では、どうすればサンクコストに影響されずに行動できるのでしょうか。

仕事でミスをした際、「これはサンクコスト」と自分にささやき、気持ちを切り替えて、すぐに次の行動へ移ることが大事です。

たとえば、プレゼンで何かを言い忘れたら、落ち込むのではなく、フォローの連絡を入れる。ゴルフでOBを打ってしまっても、「はい、これサンクコスト」と小声でつぶやき、淡々と次の一打に集中する。

こうして、未来につながる行動に集中するのです。

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著者:森 暁郎
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※本記事は、書籍の一部を抜粋し、編集のうえ掲載しています。