OJTを進めていくにあたり、OJTトレーナーがやるべきことがどこまでなのか、悩む人も多いのではないでしょうか。また、OJTトレーナーを務めるからには、自分にしかできないことをしてあげたくなりますよね。マイナビで「OJTトレーナー研修」を開発・販売している同社・教育研修事業部の新山さんにお話を聞きながら、OJTトレーナーにしかできないことや管理職との役割の違いについて、詳しくご紹介していきます。

「近い立場で寄り添える」のはOJTトレーナーならでは

新山さんによると、業界によって異なるものの、一般的には入社3~5年目、20代半ば~後半の社員がOJTトレーナーを任されることが多いのだとか。「OJTトレーナーは新入社員とも比較的年齢が近く、新人時代のことを思い出しやすいので、より近い立場で関わることができます。社会に出たばかりで緊張しがちな新入社員に寄り添い、きめ細やかなサポートができるのがOJTトレーナーです

また、具体的な実務の指導はOJTトレーナーにしかできません。管理職はその育成責任は負っていますが、新入社員の細かな実務まで日々見ていくことは、実質不可能です。その分、OJTトレーナーが新入社員のことを日々よく見ておき、指導だけでなくきめ細かなサポートをしていくことが大事と言えるでしょう。日々新入社員の実務を見ているOJTトレーナーが、正確にその様子を把握し管理職に伝えるということも重要な役割です。

年齢が近い分価値観も近くなることが多いため、新入社員が一番悩みを相談しやすいのもOJTトレーナーです。管理職や先輩社員の新人時代からは状況がかなり変わっているため、近い立場で親身になって相談に乗ってあげることが可能なのは、やはりOJTトレーナーならではと言えます。相談を持ち掛けられた際は、自分の新人時代を思い出しつつ「自分ごと」として耳を傾けましょう。「悩みを聞いてくれる先輩がいる」というだけでも、新入社員は安心して業務に取り組めます。

管理職との違いは、関わりの深さ

OJTトレーナーと管理職とのもっとも大きな違いは、新入社員との関わり方です。先述のとおり、管理職は新入社員の育成責任を負う一方、OJTトレーナーは実務指導を担います。責任が重いのは管理職ですが、実際に新入社員と深く関わるのは、やはりOJTトレーナー。実務を日々指導する立場であるからには、「半分自分が責任を負っている」という意識が大切です。深く関わる責任を意識しつつ、きちんと実務を指導していきましょう。

OJTトレーナーは会社への窓口

これまで見てきたように、新入社員にとってOJTトレーナーはとても頼れる存在です。実務を教えてくれ、ときには悩み相談などの精神的なサポートもしてくれる先輩は、他にはいません。会社に慣れていない新入社員にとって、OJTトレーナーはいわば「会社への窓口」です。新入社員が職場になじむためには、一番近い存在であるOJTトレーナーがいかに寄り添ってあげられるかが大きなポイントとなります。

そして、職場に慣れるためには実務を覚えるだけでなく、その雰囲気や人に慣れることも重要です。実務はもちろん、職場にもなじめるよう必要に応じてコミュニケーションをフォローし、辛そうにしているときは話しかけて「助けるよ」という姿勢を見せましょう

「人を育てる」という経験は、若手社員にとっては難しいことでもあります。しかし、試行錯誤しながら新入社員を導くことで、自身の新たな発見や成長につなげられるいい機会です。今後後輩や部下が増えていくことも考え、地道に取り組んでいきましょう。

まとめ

OJTトレーナーにしかできないこと、管理職との違いとしては、

  • 近い立場で寄り添えること
  • より関わりが深いこと
  • 会社と新入社員をつなぐ「窓口」の役割があること

の3点を挙げました。

新入社員は毎日初めての業務に触れ、緊張やストレスも大きいことが考えられます。そんなとき、一番に助けてあげられるのは、管理職よりも距離の近いOJTトレーナーです。「いかに普段から新入社員のことを見ているかが大事」と新山さんは言います。

新入社員のことをよく見ていれば、小さな変化にも気づくことができ、一番に対応してあげることができますよね。近い立場を活かし、つかず離れずの距離感を保ちながら、新入社員のことを常に見守りましょう。