多くのオリンピアンも利用している「味の素ナショナルトレーニングセンター」(東京都北区)。そこで日夜練習に励む選手たちの胃袋を支えているのが栄養管理食堂「SAKURA Dining」だ。本連載では、同食堂で提供されているメニューなどを、アスリートからスポーツ愛好家まで幅広く活用してもらえるよう、各回で異なるテーマのレシピを紹介する。今回のテーマは「冷え対策」だ。

栄養がたっぷりしみこんだスープまでしっかりとる

今回紹介するのは、「心も体もほっこりできる鍋レシピ」。ピリ辛な味付けが体をホットにしてくれる豚キムチ鍋と、ソチ五輪で金メダルを獲得したフィギュアスケート・羽生結弦選手も食べていた栄養満点「勝ち飯鍋」の2種類で、体の芯から温まろう。

同ダイニングに務めるエームサービスの管理栄養士・古川由佳さんは、「SAKURA Diningでも冬は一人鍋スタイルで鍋メニューをよく出しており、とても人気です。今回紹介する豚キムチ鍋はピリ辛で体がしっかり温まります。鍋の具材の栄養素は、スープの中に溶けています。そのため、主食のごはんやうどんを〆にして、汁ごと摂(と)るのもおすすめです」と話す。

「豚キムチ鍋」

辛(から)さのレベルを変えたり、好きな具材を入れたりして、オリジナルの豚キムチ鍋を作ろう!(『味の素KK「レシピ大百科」』)

材料(4人分)

豚バラ薄切り肉 250g / 白菜 1/4個 / 木綿豆腐 1丁 / にら 1/2束 / キムチ 100g / 水 カップ4 / ごま油 大さじ2

つくり方

1.豚肉、白菜、豆腐は一口大に切る。にらは4cmの長さに切る。

2.鍋にごま油を入れて火にかけ、1の豚肉とキムチを入れていためる。

3.豚肉の色が変わったら、水を加える。煮立ってきたら1の白菜・豆腐を加えて煮る。具材に火が通ったら、1のにらを加えてひと煮立ちさせる。

羽生選手も食べていた「勝ち飯」鍋って?

フィギュアスケートの羽生選手ら日本代表選手も食べた「勝ち飯」鍋とは何だろうか。「勝ち飯」とは、日本オリンピック委員会と味の素が共同で展開している栄養プログラムで、アスリートの勝てる体作りにつながる食事の仕方や栄養摂取の方法をわかりやすく実践するために用いられている。SAKURA Diningも「勝ち飯」に基づいた食事を提供している。古川さんは「主菜・副菜・汁物の役割を担ってくれる鍋に、主食、果物、乳製品を揃えれば『勝ち飯』です」。

「『勝ち飯』鍋」

ソチ五輪で感動のドラマを多くうんでくれた日本選手たちも食べていた「勝ち飯」鍋(味の素提供)

材料(1人分)

とりもも肉 60g / じゃがいも 45g / キャベツ 60g / にんじん 15g / グリーンアスパラガス 1本 / 干ししいたけ 適量 / わけぎ(乾燥) 0.2g / 水 200ml / 固形鍋のもと(キムチ味) 1個

つくり方

1.とりもも肉とじゃがいも、にんじんは一口大に切る。グリーンアスパラガスは3等分になるように切る。それぞれ電子レンジで軽く加熱しておく。

2.耐熱容器に水と包丁で細かく砕いた固形鍋のもとを入れる。さらに干ししいたけ、キャベツ、1の各種具材、わけぎの順番で入れる。

3.2の耐熱容器のふたをずらした状態で電子レンジ(600W)で5分ほど加熱する。加熱が終わったら、取り出して軽くまぜる。

先のソチ五輪では、選手たちが大会中に過ごす選手村で「勝ち飯」鍋が提供されていた。味の素の健康ケア事業本部・片山美和さんは「『勝ち飯』鍋は、だしが効いていて様々な食材と栄養素を一度に摂取でき、簡単日本食メニューとして選手の皆さんにご提供させていただきました。羽生選手は、胃腸の活性化に役立ち、栄養素もしっかりと摂(と)れる汁物として、喜んでめしあがってくれたそうです」と話す。

3月とはいえ、依然として厳しい寒さが続く毎日だけに、各家庭で鍋が活躍するシーンもまだまだ多そうだ。肌寒いときやソチ五輪のような大一番を直前に控えたときは、今回紹介した2つの鍋レシピを活用してみてはいかがだろうか。


監修者プロフィール

古川由佳
スポーツ施設から病院施設にいたるまで、幅広いフードサービスを提供しているエームサービス入社後、ヘルスケア関連事業所で栄養給食管理業務に従事。2008年より味の素ナショナルトレーニングセンター「SAKURA Dining」に配属される。管理栄養士として、幅広いアスリートたちに食事を提供したり、栄養に関する相談にのったりしている。