私はかれこれ20年近く、家計のやりくりの取材を通して多くの人とお会いしてきました。そしてあるとき気がつきました。お金を貯めている人が、共通してやっている習慣があることを。お金が貯まる人は間違いなく節約家です。節約家というのはケチとは違います。ムダなことにはお金は使いませんが、ここぞということにはしっかり使います。本当に楽しいことや価値のあることにお金を使うために、日々のムダをなくす……そんな賢い節約家さんたちの習慣をご紹介します。
"買い方"は次の3通り。自分に合った買い方でムダ買いを防止!
まずは、次のチェックリストで自分に当てはまるものをチェックしてみてください。
Aタイプ
□特売に弱い
□買い物に行くと目的以外のモノも買いがち
□平日に買い物をする余裕がない
□1週間ほぼ自宅でごはんを食べる
□大きめの冷蔵庫を持っている
□料理が得意
Bタイプ
□冷凍が苦手
□献立をまとめて考えられない
□その日食べたい物を食べたい
□帰宅途中にスーパーがある
□閉店近くの見切り品はお買い得だと思う
□日替わり特売を逃したくない
Cタイプ
□肉も野菜もできるだけ冷凍したくない
□3~4日分の献立なら思い浮かぶ
□お刺身や鮮魚も食べたい
□冷蔵庫の在庫を把握するのが苦手
□平日でも1日なら買い物できる
□買い物にはできるだけ時間も労力もかけたくない
チェックが一番多かったのが、あなたに合う買い方タイプです。Aタイプは「週1回まとめ買い」、Bタイプは「毎日ちょこちょこ買い」、Cタイプは「週2回小まとめ買い」です。いかがでしょうか? 「なるほど」と納得していただけましたでしょうか?
特売に弱い人は「週1回まとめ買い」がオススメ(Aタイプ)
これまでは、食費節約上手さんの買い方は、「週1回まとめ買い」が主流でした。今でもこの買い方をしている食費節約上手さんは少なくありません。まとめ買いの長所は、なんといってもムダ買いが少ないこと。食費を減らす手っ取り早い方法は、買い物回数を減らすことにあります。献立に必要な食材や在庫切れのモノだけを買うつもりだったのが、「本日の特売品」につられて、つい目的以外のモノを買ってしまうのはよくあることです。スーパーに立ち寄れなければ特売の誘惑もなく、お財布を開くこともありません。この買い方のもう1つの特長は、お買い得な大量パックを買えること。たとえば、お肉などは2~3パックまとめて買うと値引きになることがあるので、お得な買い方といえます。
ただし、まとめ買いにはいくつかのハードルがあるので、その点もチェック!
1つは、まとめて買った食材を1週間もたせるためには、保存の工夫をする必要があること。肉や魚は冷蔵保存で1週間もたせるのは難しいので、冷凍保存する必要があります。この冷凍保存が結構、手間なのです。まとめ買いの場合、肉はお買い得な徳用パック買うことになるので、買ってきたパックのままポイ! と冷凍室に入れると、大きな塊りのまま凍ってしまいます。カチカチに凍った大きな肉の塊りは、使いにくいものです。そこで、1回のメニューで使い切れる分量ずつを小分けしてラップに包み冷凍することになります。
魚は丸ごと1尾は冷凍には適さないので、どうしても切り身を買いがちになり、献立がワンパターンに。野菜に関しては、レタスやもやしなど冷凍に適さない野菜は早めに食べ切ることを心がけ、ほうれん草、小松菜、ブロッコリーなどは下ゆでしてから冷凍するなど、在庫管理と保存に気を配る必要があります。
2つめは、買い物前に1週間分のメインおかずだけでも、ザッとメモしておく必要があること。2~3日分の献立なら、割と簡単に思いつくものですが、1週間分となると、じっくり考える必要があります。
3つめは、とりあえず1週間分の献立を考えたものの、スーパーに行ったら、大根1本=80円、キャベツ1玉=100円の大安売り……ということもあります。そういう場合は、急遽、献立を変更するのがお得な買い方。安いモノを取り入れて、献立を立て直す必要がありますが、レシピがすぐに思い浮かぶ料理上手さんでないと、なかなかできないワザです。
以上のように、いろいろハードルはありますが、週1回しか買い物に行かないことは、ムダ買い防止には効果大ですから、試してみる価値はあります。
「毎日ちょこちょこ買い」なら、献立を考えるのがラク(Bタイプ)
Bタイプの「毎日ちょこちょこ買い」のいいところは、その日食べたいモノが買えるところ。献立を前もって考える手間なしで、買い物をしながら「今日は何にしようかな~?」で済みます。まとめ買いの場合、前もって献立を数日分考えても、買い物当日に必要な食材が高かったり、なんとなくその日はその献立を食べる気分ではないときもあるもの。ちょこちょこ買いなら、その心配は無用。
この買い方で節約効果をアップさせるのが、見切り品狙い。買った日に食べ切るなら、見切り品でもぜんぜん問題なし。定価だと高いお刺身やステーキ肉などの高級食材も、見切り品ならお手頃価格で買えます。食費節約上手さんは、スーパーに行ったら、まずは「見切り品コーナー」をチェックするという人は少なくありません。また最近、注目度がアップしているのが、魚売り場のアラコーナー。お刺身の盛り合わせが、売り場にたくさん並んでいる日はアラも多くでます。山盛りパックで激安ですので、ぜひ1度チェックしてみてください。ちょこちょこ買い物に行けば、見切り品やお買い得な魚のアラとの出会いも多くなるというものです。
ちょこちょこ買いで注意したいのが、その日食べきれるだけの少量買いにすること。量が多くなると、余ったモノを保存する手間がかかったり、食べ切れずにムダにすることに。また特売に弱い人は、この買い方には決定的に向いていません。どんなに安くても、食べ切れなくてムダにしては意味がないので、特売につられて、あれもこれも買ってしまう人は、まとめ買いを選択しましょう。
「週2回の小まとめ買い」が最近のトレンド(Cタイプ)
Cタイプの「週2回の小まとめ買い」は、まとめ買いとちょこちょこ買いを折衷した買い方。週1回、スーパーの特売デーやポイント2倍デーなどにまとめ買いするほかに、週の途中で足りないモノやあしの早い食材を買いたすという買い方です。まとめ買いとちょこちょこ買いの欠点を補い、いいところだけを採用しているので、この買い方を取り入れる人が増えています。
長所は、(1)週2回買い物に行くなら、食材は3~4日もたせればいいので冷凍保存の手間がない、(2)もやし、葉物野菜、お刺身など鮮度が肝心な食材も献立に取り入れやすい、(3)3~4日分の献立なら立てやすい、(4)週2日、その日食べたいモノで献立を立てられる、(5)買い物回数が週2回なら特売に弱くてもOKなど。
食費を節約する要となるのが、実は買い方。直接お金が出て行くので、食費の増減に大きな影響を与えます。自分のライフスタイルや性格に合った買い方を選ぶことで、ムダな買い物が減り、買い物の労力も軽減され、さらに食費も減るというわけです。あなたも自分にぴったり合った買い方を見つけて、買い物上手になりましょう。
<著者プロフィール>
村越 克子
フリーランスライター。学習院大学文学部心理学科卒業。編集会社を経て、フリーに。主婦を読者対象とした生活情報誌を中心に執筆。家計のやりくりに奮闘する全国の主婦を取材し、節約に関する記事を数多く手がける。執筆協力に『綱渡り生活から抜けられない人のための絶対! 貯める方法』永岡書店など。