新社会人となって、初めての年末調整が行われる時期になりました。初任給や初ボーナスに心躍った一方で、税金を払う立場になったことも感じた一年だったのではないでしょうか。「税金を払っているということは、ふるさと納税ができる!」と気づいた人もいるでしょう。そこで今回、新社会人がふるさと納税をするメリットや注意点などをご紹介します。
社会人1年目でもふるさと納税はできる?
まずはふるさと納税の仕組みを理解しておきましょう。応援したい自治体を決めて寄付をすると、その寄付した金額から2,000円を引いた金額が、本来支払うべき所得税、住民税から控除される仕組みです。その際、寄付した自治体から名産品やお礼の品がもらえることで人気を集めています。
つまり、所得税と住民税を払っていれば、誰でもふるさと納税ができることになります。社会人1年目でも、税金を引かれて給料が振り込まれているわけですから、その年にふるさと納税をすることは可能です。ただし、実際に税金が減ったことを実感できるのは翌年となります。
社会人2年目は手取りが減る理由
ふるさと納税をして、税金の控除を受けるには、確定申告をするか、「ワンストップ特例制度」を利用して申請をする必要があります。会社が年末調整をしてくれて、確定申告をする必要がない会社員は、「ワンストップ特例制度」を利用することで申請が簡単に行えます。
※「ワンストップ特例制度」は確定申告をする必要のない給与所得者等、且つ、寄付先の自治体が5つ以内である場合に利用できます。
確定申告をした場合は、寄付をした年の所得税と翌年の住民税が減額されます。確定申告は翌年の2月中旬~3月中旬に行うので、還付金として指定口座に振り込まれるのは寄付した翌年の3月中旬~5月頃になります。
「ワンストップ特例制度」を利用した場合は、税金の控除は全額住民税からとなります。住民税は、前年の所得をベースに翌年の納税額が決定されるものなので、社会人1年目は住民税がありません。そのため、社会人2年目になると手取りが減ると言われるのは、この住民税の仕業なのです。
住民税は6月から翌年5月までの12回に分けて給与から天引きされます。ふるさと納税を社会人1年目に行えば、2年目の6月から引かれる住民税が、やらなかった場合よりも少なくなるため、手取りが増えるというわけです。
ふるさと納税の注意点
ふるさと納税を行うと税金が減る、あるいは戻ってくると言っても、支払った税金以上に戻ってくることはありません。そのため、控除される金額の上限を知ることが重要となります。
所得税、住民税の控除には、ふるさと納税による寄付金控除以外にもさまざまな控除があります。基礎控除、配偶者控除、扶養控除、社会保険料控除、生命保険料控除、医療費控除、住宅ローン控除などです。
こうした控除は確定申告や年末調整をしたことがある人にとっては、馴染みがあるものですが、初めて年末調整を行う社会人1年目の人にとっては、分かりにくいかもしれません。
所得控除が多くなるほど、支払う税金が減るため、ふるさと納税の控除上限額が下がります。独身の場合、配偶者控除や扶養控除はありませんから、同じ年収であれば、これらの控除がある人よりも上限額は高くなります。
控除上限額については、総務省のふるさと納税ポータルサイトや各企業のふるさと納税サイトで、上限額を知ることができるシートやシミュレーションツールが用意されています。年収や家族構成などを入力することで上限額の目安を出すことができます。
社会人1年目の年収はどのくらい?
さてここで問題が出てきます。年末調整の結果である源泉徴収票をまだ手にしていない社会人1年目の場合、年収が分かりません。年収は1月1日から12月31日までに得た収入です。
4月入社の場合、給料は5月に振り込まれます。そうなると12月末の時点では12月分の給料は手にしていません。つまり1、2、3月分と12月分を引いた8ヵ月分にボーナスを足したものが社会人1年目の年収となります。
ちなみに年収250万円、独身の人であれば、寄付金額の上限額はおよそ2万円となります。くれぐれも寄付をし過ぎて、自己負担額を増やさないように気を付けてくださいね。
ふるさと納税の始め方
最後にふるさと納税の手順をご紹介しておきましょう。
1. ふるさと納税サイトにアクセス
2. 寄付金額の上限額を確認する
3. 寄付したい自治体や、お礼の品などを選ぶ
4. 寄付する自治体と寄付金額が決まったら、申込者の情報を入力する
5. ワンストップ特例制度を選択する(給与所得者の場合)
6. 支払い方法を選択し決済をする
7. 後日送られてくる「ワンストップ特例申請書」を記入し、寄付した自治体に送付する
手続きはこれで完了です。あとはお礼の品が届くのを待つだけですね。
ふるさと納税のメリット
ふるさと納税は、寄付した金額から2,000円を引いた分の税金が減る上に、お礼の品がもらえることがメリットです。税金が減ると言っても、先に寄付金として支払った額から2,000円を引いた分が減税という形で返ってくる、言わば税金の前払いです。お得なのは、寄付したことでお礼の品がもらえることです。その点もしっかり理解しておきましょう。