通常、為替のマーケットは、日本時間で月曜の早朝から土曜の早朝までノンストップです。しかし、土曜の早朝から翌月曜の早朝までの間、マーケットが存在しないことは、よくご存知の通りです。
このマーケットが存在しない週末に、この前のような大阪でのG20と米中首脳会談の開催や、そして突然の板門店での米朝首脳会談といったビッグイベントがあったり、あるいは大事件が発生すると、そのことがマーケットに反映されるには月曜の早朝まで待たねばなりません。
そして、金曜のニューヨーククローズと月曜のシドニーのオープンが、大きくかけ離れたレベルになる、いわゆる窓が開く(あく)ことがあります。
つまり、たとえば、35ポイント上にいくらドル/円のショートのストップロスを入れていても、シドニーオープンがそれを上回れば、もしかしたら100ポイント飛んだ寄り付きでしかロスカットは執行されないこともありえます。
この週末を挟んで、大きな損失を被るリスクを週末リスクと呼びます。
週末リスクの問題点は?
問題となるのは、週末は毎週やって来ますので、週越えのポジションを持つこと自体に、ある意味、多くのトレーダーは麻痺して、油断している点です。
しかし、どの週末にも週末リスクの可能性は平等に存在していますので、リスクを回避するには、週越えのポジションを持たないか、あるいは少なくとも自分の体力の十分範囲内にポジションを収めることが必要です。
日足のドル/円チャートからもわかりますが、この5月から基本的に、リスク回避の円買いが頻発することから形成された円高トレンドとなっています。
リスク回避の円買いを引き起こした出来事を具体的に上げるなら、5月3日から6日の週越えでは、トランプ大統領が中国に対して追加関税を表明しました。
また、5月31日から6月3日の週越えは、トランプ米大統領がメキシコに対して不法移民問題に関して追加関税を課すと表明しています。
このように、この下落過程で、週末、主にトランプ大統領の発言が出て、週初から、相場が様変わりすることが良くあります。
さらに申し上げるなら、週末の発言は、例に上げたようなリスク回避の円買い(リスクオフ)ばかりならまだ良いのですが、リスクが回避されたとする円売り(リスクオン)の場合もあるから厄介です。
リスクオンの例としては、6月7日から10日に掛けての週越えでは、トランプ大統領が対メキシコの追加関税見送りを発表しました。
そして、6月28日から7月1日の週越えでは、危ぶまれていた米中首脳会談で貿易協議の再開が確認され、また突然にして米朝首脳会談が実現しました。
つまり、週末前にマーケットが想定していた週越えのシナリオを出し抜かれるような結果となり、週末を挟んでマーケットのポジションが一掃される方向に相場が動きやすくなっているということです。
したがって、週末越えでポジションを持つことのリスクが、今までをはるかに超えて高まっていることを認識する必要があります。
そして、繰り返しにはなりますが、週越えのポジションは避けるか、少なくとも自分の体力内に十分収めるように意識することが必要だと思います。
毎週やってくる週末だからこそ、油断は禁物です。
一般的に言っても、相場はマーケットの油断で動くと言っても過言ではありません。
マーケットが身構えている時には、相場は動きません。
しかし、マーケットが油断をしている時に、突発的なイベントや事件があると相場は動き出し、パニック的な売りなり買いなりが大量に出て、相場は大いに動きます。
したがって、ポジションを持っている限り、100%の緊張感を常に持てとは申しませんが、少なくとも心の片隅では、緊張感は持っておく必要があります。