相場観あるいは相場見通しを考えると、固執することはありませんか? そして、相場が不利になればなるほど固執しませんか?

でも、固執する必要性は全くありません。違ったと思えば、どんどん見方を変えていけばいいのです。それは、全く後ろめたいことでも、何でもありません。実は、相場観や相場見通しには、調整が必要なのです。

相場観や相場見通しに調整が必要となる理由

私は、相場は生き物だと考えています。ある要素がなくなり、また別の要素が加わり、しかし、そのまま残るものもあり、したがって、相場は常に変化していると思います。それに対して、自分の固定的な相場観や相場見通しがどれだけ役に立つものなのでしょうか。

私が昔、どなたかから聞いて、なるほどと思ったお話があります。それは、最初は小さな違いでも、時間の経過とともにどんどん乖離は大きくなり、埋めようもない差が出るということでした。これは、何も相場だけでなく男女や夫婦関係にも言えることでもあります。

そして解決法もまた、相場だけでなく男女や夫婦関係にも言えることで、要は、ある一定期間ごとには見直しをして調整するということです。しかも、大事なことは「相場や相手に自らが歩み寄る」ということです。

  • 相場も男女関係も「歩み寄り」が重要(画像はイメージ)

私は、実は、長期見通しというものを好みません。それは今お話ししたように、いくら今、1年後を話してみたところで、色々な要素が変化する訳です。今の時点で思う1年後はお話しできますが、それは決め打ちでは決してないということです。ディーラーというものは、それぐらいフレキシブル(柔軟)でなければ生きていけないということです。

歴代の有名ディーラー、伝説のディーラーと言われる人々は、もちろん、その稼ぎ出す儲けの大きさから、優秀なディーラーとして賞賛されています。

しかし、彼らの本当のすごさは、自分の思惑が相場と合っていないと気づいたとき、何の躊躇もなく、そして脱兎のごとくポジションを閉じる、あるいは、ポジションをひっくり返すという即断力を持っていることです。

それは、「舌の根も乾かぬうちに」という言葉通りの素早さで、あっけに取られるばかりですが、その結果として怪我は小さく儲けは大きくなるので、ネットとして儲けが多く残ることになります。

人間、100%相場を当てることは、ないに等しいことです。要は、小さな損を見切る勇気と、ここ一番の勝負で儲けを極大化するためにポジションを持ち続けられる胆力を持つことではないかと考えます。自分の相場観に信念を持ち続けるか、自ら否定するかの見極めは、個人的には、「これはどうもおかしい」と第六感で感じるかどうかによっています。

しかし第六感で感じるといっても、ある程度の経験をつまないことには、なかなか見当がつかないものだと思われますので、もっと、分かりやすく、相場観の変え時かどうかを簡単に知る方法を記しておきたいと思います。

それは、相場を張って一度ならず連続してはずれだしたら、それは相場観と実際の相場の間に明らかに違いが生じていると判断すべきときです。こうなったら、いったんポジションを閉じてしばらく休むか、でなければポジションをひっくり返すべきだと考えます。

要は、臨機応変さが必要だということです。結構、つまらぬことで意地を張ることがあります。しかし、それから吹っ切れたとき、相場は見えてくると思います。

「君子豹変す」という言葉があります。意味は「君子は時代の変化に適応して、躊躇せず、自己を変革する」ということですが、この言葉は、正にトレーダーのためにあるということです。

※画像は本文とは関係ありません。

水上紀行(みずかみ のりゆき)

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バーニャ マーケット フォーカスト代表。1978年三和銀行(現、三菱東京UFJ銀行)入行。1983年よりロンドン、東京、ニューヨークで為替ディーラーとして活躍。 東京外国為替市場で「三和の水上」の名を轟かす。1995年より在日外銀において為替ディーラー及び外国為替部長として要職を経て、現在、外国為替ストラテジストとして広く活躍中。長年の経験と知識に基づく精度の高い相場予測には定評がある。なお、長年FXに携わって得た経験と知識をもとにした初の著書『ガッツリ稼いで図太く生き残る! FX』が2016年1月21日に発売された。詳しくはこちら