自分はダメだと思うモヤモヤ

頑張っているのに、他の人ばかり評価されている気がする……。同僚や友達の成功を素直に喜べなくてモヤモヤ……。

SNS疲れとよくいわれますが、身の回りにすごくうまくいっている人がいると、ついつい比べて自分はダメだと凹んでしまうようなこと、ありますよね。

  • 他人と自分を比較して落ち込むことはありますか?

ふと目について心がザワザワするのは、だいたいは自分よりできている人や優れた人。だから、比べる度に落ち込む。

さらに、今度は自分より下の人を見て安心していたり、そんな自分を嫌悪したり、ネガティブな感情がぐるぐると渦巻いてしまいます。自分軸がないから、相手の期待に応えて、無理してしまうところもあります。

こんな風に、よくないと思っていても、ついついやってしまう思考や行動の原因は"心のノイズ"です。簡単に言うと、小さい頃から染み付いた心のクセだと思ってください。人にはそれぞれ、親の影響や育ってきた環境によって、ついやってしまうクセが付いているのです。

心のノイズに気が付くと、「このせいで凹んでいるんだ」と分かるので、心の疲れを自分でコントロールしやすくなります。

他人のことばかり気になる人の、心のノイズとは?

すぐに人と比べてしまう人にあるのは、「ありのままの自分封印ノイズ」です。ありのままの自分でいるとダメだから、他人の評価を気にし過ぎて、他人が承認する自分になろうとするタイプ。

このノイズは、「ありのままの自分」を認めてもらえず、誰かの理想を押し付けられる環境で育つと作られれます。

「隣の〇〇ちゃんは、この前のテスト満点だったって、偉いねえ」
「お兄ちゃんは3 年生でできたんだから、おまえもできるはずだからね」

そんなふうに兄弟だったり、ほかの家の子だったり、一般的な基準などで評価されることが多いと、そっちに合わせるべきなんだと思い込んでしまいます。

親やまわりが勝手に決めた理想を押し付けられるようになると、「自分のままでいないほうがいいんだ」という思いがどんどん膨らんでいきます。自分封印ノイズが育つと、自分が分からなくなって、周りがとても気になります。

でも、ありのままの自分を出せないのは、勝手な思い込みが原因。周りの人は、あなたがありのままの自分で生きたら認めてくれない、友達でいてくれない、そんな心の狭い人ばかりですか?

そんなことはないですよね。1人でも、2人でもいいので、出せそうな人から、ありのままの自分を少しずつ出す練習をしてみましょう。

とはいえ、人と比べても仕方ない、なんて言われても、そう簡単に切り替えられないですよね。そんな人のためにオススメの、心のエクササイズを紹介します。

オススメは「ぺこぱ風セルフツッコミ」

今までの自分を簡単に変える魔法なんて、世の中にはありません。ただ、心のノイズを消し去るまでに時間がかかるだけで、少しずつならすぐにでも消していくことができます。

おすすめは、自分への全肯定ツッコミ。お笑い好きの人なら、芸人のぺこぱさんの漫才をイメージしてください。どんな悪い結果でも、許せない行動でも、すべて肯定してあげるということです。

例えば、自分封印ノイズが邪魔して、人と比べて「私ってダメだなあ」と口にしてしまったとき、即座にとも言い切れない!とツッコミを入れる。他人が楽しそうに遊んでいるSNSのリア充投稿を見て凹んだら「ひとりでゆっくりしたい人もいる!」とツッコミを入れる。

とにかく、ノイズが邪魔したときは、肯定ツッコミを入れるんです。そうすることで、ノイズによってネガティブになった気持ちをやわらげることできます。

繰り返していると、ノイズに邪魔されるダメージが少しずつ弱まり、効果がある人は、それだけでノイズが気にならなくなります。

ポイントは相手も自分も否定しないこと。「とも言い切れない!」は、深く考えなくても一瞬で心を落ち着かせることができるマジカルワードです。

著者プロフィール:山根洋士(やまね・ひろし)

心理カウンセラー
心理学に、ノンフィクションライターとして活躍したインタビュー経験や脳科学などを取り入れて「メンタルノイズ」メソッドを開発し、8,000人以上の悩みを解決。著書に『「自己肯定感低めの人」のための本』(アスコム) など。