みなさんはどのくらい家事の分担をしていますか?「家事はお母さんの仕事だから」とすべてを背負っていませんか?

近年、働く女性が増え、お母さんが家事をこなす時間が少なくなっているにも関わらず、私の周りのお母さんたちは仕事や家事、育児に追われて忙しい方が少なくありません。

わが家はひとり親家庭で、私と小学生の娘と息子の3人家族ですが、家事のすべてを私が行っているわけではないため、時間や心の余裕ができ大変助かっています。今回は、わが家が実践している親子での家事分担と気を付けているポイントについて、いくつかご紹介したいと思います。

子どもの力は絶大! ラクラク家事分担

わが家の家事分担は、料理、洗濯、掃除など家事全般で行っています。今では小学6年生の娘、小学4年生の息子も、食事の用意も一からすべてできるようになりました。

ある時私が仕事から帰ると、温かいご飯とおかず、味噌汁がタイミングよく用意されていたことがあり、嬉しさと感謝の気持ちでいっぱいになったことも。

また、仕事で疲れて洗濯や食事の後片付けなどがなかなかできない時もありますが、子どもたちが率先してやってくれるようになったので本当に助かっています。

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家事分担のゴールは子どもの自立

私は子どもたちに家事の「手伝い」ではなく、家事の「分担」をしてもらっています。

私にもしものことがあっても、自分たちだけですべての家事をこなせるようになってもらいたいと思ったからです。もし私がいなくなったら子どもたちはどんなことに困るだろう……と。

靴下がどこにあるか? ご飯がなかったらどうする? 洗濯機の使い方わかるかな? などなど。考え始めたらきりがありませんが、ひとつずつできることから覚えていけばいいと思い、少しずつ実践してきました。

そうして私が決めたゴールは、「中学卒業までに、一人になっても困らないだけの家事がこなせるようになること」です。

まずはお手伝いから、少しずつ分担へ

小学校に入る前までは、大人がしていることへの興味や、お母さんの手伝いをしたい気持ちもあり、たくさんお手伝いをしてくれました。とくに料理の手伝いは楽しかったようで、野菜の皮をむく、卵を割る、調味料を入れるなど積極的に手伝ってくれました。料理ができると、自分の努力の成果が見えるのもよかったのかもしれません。

ただ、小さい子どもに手伝ってもらうと余計な仕事が増えたり、やり直したりしなくてはならないようなこともしばしば。そこで私が気を付けたのは、この時期のお手伝いは、本当の意味での「手助け」ではなく、子どもに「お手伝いをすると相手に喜んでもらえる」「自分は誰かの役に立てるんだ」という気持ちを感じてもらうことが目的だということ。

そして、多少おおらかな気持ちで見守ること、たくさん褒めることを意識しました。褒められることや感謝されることで、「自分が家族の一員として役に立つこと」を自信を持って感じてくれ、少しずつお手伝いも上手になり、分担できるようになっていきました。

普段の会話にもひと工夫~小学校低学年~

小学生になると言葉も考えも達者になるので、子どもへの対応にはより気を付けるようにしました。

まず、できる限り「ちょっと待って」を言わないこと。声をかけられたら、いったん仕事や料理の手を止め、子どもの顔を見て話を聞いてあげると、子どもの満足度は大きく変わってきます。どうしてもできない時はできない理由を話し、「あと5分したらお仕事が終わるから、それからでもいい?」など、必ず時間を言って確認するように心がけました。

もうひとつは、会話を一言で終わらせないことです。たとえば、一言「ありがとう」だけではなく「今日はとても疲れていたから本当に助かったよ」とか、「お料理上手になったね! この味付けもすごく美味しい!」など気持ちを付け加えるようにしました。

また、子どもが私に話しかけてくれる時も、それ以上の言葉の量で答えるように意識しています。「お母さんは私の話を聞いてくれる存在」、「気にしてくれる存在」だと思ってくれることで、純粋にお母さんの助けになることや手伝うことに気持ちや行動がつながっていくと考えています。

この頃には、楽しいだけのお手伝いだけではなく、お風呂掃除やゴミ出し、食器洗いなども手伝ってくれることが増え、仕事が大変な時などは本当に助かりました。

技術向上と時短を意識~小学校高学年~

小学校高学年ともなると、お手伝いもとても上手になってきます。そこで、家事の技術向上と時間制限を意識しました。

たとえば食器洗いは、洗い終わった食器を拭いて所定の位置に片付けるところまでがワンセットで、シンクや排水溝の掃除もその都度終わらせることを、子どもと一緒に実践して伝えるようにしました。また掃除では、リビングや子ども部屋の掃除だけでなく、玄関掃除の際にたたき部分(靴を脱ぐところ)も雑巾がけすることや、トイレ掃除の便器の磨き方なども一緒に実践してきました。

一緒にできるようになったら一人で、一人でできるようになったら家事を分担して任せる。そして任せられるようになったら時間制限を設け、それぞれの仕事を時間内に終わらせられるようにゲーム感覚で家事をしています。

この時期に気を付けたことは、家事を「短時間」で「楽しく」行うことです。高学年ともなると、勉強の時間や友達との付き合いの時間、自分一人の時間も考慮してあげることが、家事を分担する上で大切だと思います。

大切なのは環境づくり

気持ちや対応の面で気を付けることも重要ですが、子どもが家事をしやすい環境を作ることも大切です。

私は昔、片付けが大変苦手でした。ただ、離婚や引っ越しをきっかけに整った生活環境を作ろうと決心し、整理収納の知識を学び実践してきました。そこで気付いたことが、「物の多さが掃除の邪魔をしている」ということです。

家の中が物であふれていると、大人も子どもも混乱して片付けが難しくなってしまいます。意識して物の量を減らし、定位置に物が配置されていることがわかれば、家族全員が自然と片付けしやすくなります。これはすべての家事をスムーズに行うための、最初に行う重要事項だと思います。

家事ができることが子どもの自信に

現在のわが家は、料理、洗濯、掃除などほとんどの家事において子どもたちのスキルが私と同程度になったため、その日によってじゃんけんで分担を決めています。その時も「○○をやって」という依頼ではなく、「○○と△△と□□どれにする?」と必ず選択できるような声がけをし、3人同時にそれぞれの仕事をします。

「ひとつ屋根の下で共同生活していく仲間として、協力して住み心地のいい空間を作る」ことを意識して、家事をやるかやらないかの選択ではなく、どの家事をやるかを決めていくことが大切だと思っています。

結果として、子どもたちもいろいろなことができるようになり、私だけでなく祖父母や学校のお友達、私のママ友などにも褒められることも多くなり、それがさらに自信につながっていきました。

子どもたちは大人が思っているより、いろいろなことを吸収して体得できるものです。子どものためにも自分のためにも、家事の分担を積極的に行ってみるのもいいのではないでしょうか。

著者:佐藤友美

北海道在住。保険会社に勤務後、ファイナンシャルプランナーとして独立。教育資金や老後資金、家計のやりくりに悩んでいるママや女性の身近なアドバイザーとしてマネー講座・相続介護セミナー・ものとおかねの片付け教室・起業と確定申告などの各種講座や個別相談、執筆を中心に活動している。2児のシングルマザー。佐藤FPオフィスホームページ
2級FP技能士/マイライフエフピー認定ライター

イラスト=オオノマサフミ