コンビニの店頭を見ると、お茶やジュース類と並んで必ず置かれている「水」商品。一般的にそれらは「ミネラルウォーター」と呼ばれますが、食品表示上はそれらについて区分が存在するのをご存じでしょうか?
ミネラルウォーターには3つの分類がある
これらの表示には、「ミネラルウォーター類の品質表示ガイドライン」という決まりごとに沿った表示が行われており、ミネラルウォーターには、「ナチュラルウォーター」「ナチュラルミネラルウォーター」「ミネラルウォーター」という3つの区分が存在します。それぞれの定義としては、
ナチュラルウォーター
特定の水源から採水された地下水を原水とし、沈殿、ろ過、加熱殺菌以外の物理的・化学的処理を行わないもの
ナチュラルミネラルウォーター
ナチュラルウォーターのうち、鉱化された地下水を原水としたもの。地下水には、地表から浸透して地下を移動中または地下に滞留中に、地層中の無機塩類が溶解した水、また、天然の二酸化炭素が溶解して発泡性を有した水も含む
ミネラルウォーター
ナチュラルミネラルウォーターを原水とし、品質を安定させる目的などのためにミネラル調整、ばっ気、複数の水源から採水したナチュラルミネラルウォーターの混合などが行われているもの
となっています。また、「採水地」と「原水の種類」を表示する必要はありますが、世間でよく言われる「硬度(軟水、硬水)」については義務表示ではありません。
ちなみに「原水」の種類は、鉱水、鉱泉水、湧き水、温泉水、浅井戸水、深井戸水、伏流水、といったものがあります。
後から加工した水は「ボトルドウォーター」
さて、以上のような定義が存在する「水商品」ですが、それらに加工を施して売られているものがあります。「い・ろ・は・す みかん」のように果汁や糖類を加えたもの、品質上ミネラルの量を調整したもの、二酸化炭素を含んだものや水道水などです。
結論から言うと、ガイドラインで言うところのミネラルウォーターについては、品質を維持する上でのミネラル類の調整は認められています。二酸化炭素についても原水にもともと含まれているのであれば、ガイドラインに沿った表示(ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター、ミネラルウォーター)ができます。
ただ、「い・ろ・は・す みかん」のように後から加工をした場合は別です。たとえ原材料としてミネラルウォーターとしての定義に合った水を使用していたとしても、「ミネラルウォーター類」には該当しません。
「ミネラルウォーター類の品質表示ガイドライン」には、3種(ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター、ミネラルウォーター)以外の水について、「ボトルドウォーター」という区分を設けています。これはいわば清涼飲料水と同義で、水道水や規定外の加工を施した水が該当します。
従って、一時流行した「水素水」や「海洋深層水」についても、「ボトルドウォーター」または「清涼飲料水」という名称表示となるのです。
筆者プロフィール : 梶原 茂(かじはら しげる)
食品表示コンサルタントとして「食品表示情報ネット神戸」を主宰。「無果汁と書いてあるのになぜキリンレモンはOKなのか?」という疑問から、商品表示に関心を持ち始め、法令知識を深めるために行政書士の資格を取得。有料通信講座「食品表示関連業務担当者の為の知っておくべき法規制とQ&A講座」(技術情報協会)の講師を務める。現在はホームページ「食品表示情報局」で食品表示関連情報を発信するとともに、個人・法人問わず食品表示に関する質問に無料で答えている。
「食品表示情報局」