この冬もかなりの雪が降っていますが、雪道をクルマで走る場合、不安なのはスタックしてしまったり、道路上で身動きが取れなくなって立ち往生してしまったりすることです。降雪地帯をクルマで移動する際は、どんなことに気を付ければいいのでしょうか。モータージャーナリストの内田俊一さんに聞きました。

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    雪道でスタック! 備えと対応策

降雪中はマフラーにも注意を!

今年の冬は一段と雪が多そうだ。高速道路での冬タイヤやチェーン規制はもちろんのこと、一般道でもそうした規制は行われるだろう。少し前、高速道路で数百台のクルマが立ち往生し、身動きが取れず孤立する事態が発生したことも記憶に新しい。そういった場合には、どう対処したらよいのだろう。

まず、最も危険なのは冬用タイヤを装着していないことだ。冬期シーズンであれば、できるだけ早めにスタッドレスタイヤを履くことをオススメしたい。もちろん、雪の日はクルマに乗らないと決めている方も多かろう。しかし、出かけた先での突然の雪ということもあり得る。備えとして、せめて布製チェーンなどを積んでおくと、一時的にスタックなどを回避できるかもしれない。スタッドレスを履かないのであれば、ぜひ1セット、クルマに常備しておいてもらいたい。これは貴方自身だけでなく、周りのクルマに迷惑を掛けないようにするためでもある。

それでもスタックしてしまうこともある。その際はむやみにアクセルを踏まないで、まずはクルマから降りて、スタックした状況を把握しよう。もし段ボールや古毛布などがクルマにあれば、滑ったタイヤの下にはめ込んで、ゆっくりアクセルを踏んでみる。少しバックして、前進を繰り返すことも有効だ。クルマを前後にゆすることで進む力を得ることができるからだ。

あとは、人力で脱出できる可能性も高い。できるだけ周りの人にお願いをして、脱出を試みよう。脱出用のラダーというのも自動車用品店で販売しているので、前もって入手しておくのも手だし、国道沿いなどであれば、脱出用に砂袋が用意されている場合もある。

それでもダメな場合は、レスキューを呼んで救助を求めよう。最近は自動車保険でも対応している場合が多いので、ご自身が加入している自動車保険の内容を確認しておいてほしい。ただし、周囲も同じようなクルマが多いことは想定できるので、時間がかかることは覚悟しておいた方がいい。

しかし、冒頭に書いたように高速で動けなくなってしまうこともある。また、レスキューを待つ間はどうするか。そういった際は、まず暖を取ることを考えよう。前述した毛布なども役に立つだろう。エンジンは一度切る。室内が冷えてきたらエンジンを掛けて、ヒーターで暖を取る。その際は内気循環にしておく。周囲のクルマもエンジンを掛けているだろうから、外気導入だと排気ガスが室内に入ってきてしまうからだ。暖かくなったらエンジンを止める。エンジンを掛けたままにしない理由は、どの程度そこに停滞するかわからないのでガソリンを節約するためと、クルマの周りに排気ガスが充満することによる一酸化炭素中毒を防止するためだ。

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    雪の降る中でスタックしてしまったら、時々はクルマ周りの除雪をしておこう

それでも徐々に雪は積もってくるかもしれない。そのときに注意しなければいけないのは、マフラーが雪に埋まってしまわないようにすることだ。マフラーは排気ガスの排出口なので、雪でふさがってしまうと室内にその排気ガスが侵入し、最悪の場合は乗員の一酸化炭素中毒を引き起こす恐れがある。そこで、時々はクルマの外に出て周囲の状況を把握し、必要に応じてクルマの周辺の雪をかいておく。これで、クルマのドアが開かなくなることも防げるはずだ。

また、可能であれば車内に簡易トイレ、スコップ、水を積んでおくこともオススメする。