連載コラム『あなたの家計簿見せて! "給料減少時代"の家計診断』では、相談者のプロフィールと実際の家計簿をもとに、5人のFPが順番に、相談者の家計に関する悩みについての解決策をアドバイスします。


【相談内容】
4月から消費税が8%になり、2カ月半ですが、少しずつ家計の支出がアップしているように思います。食費など節約しているつもりではいるのですが、今後のやりくりをどのようにしていったらいいか、アドバイスをお願いいたします。

相談者プロフィール

相談者の家計状況


【プロからの回答です】

4月から消費税がアップしましたが、実は消費者物価も大幅に上昇しているのです。平成26年4月の物価上昇率は、前年同月と比べて3.2%も上昇しています。増税の影響を差し引くと実質的な物価上昇はなんと1.5%。今までと同じライフスタイルでは、賃金が上昇しない限り、家計の大幅な赤字が見込まれます。少しでも早く家計の見直しに手をつけるべきではないでしょうか。

(※詳細は以下をご覧ください)


消費税の増税と物価上昇のダブルパンチ

消費税と物価の上昇でモノの価格が上がっています。例えば今まで毎年家計の支出が300万円であるとしたらいくら余分に必要となるのでしょうか?

この分をいかに節約すべきか考えてみましょう。

基本生活費は35%~45%の範囲で

瀬戸様の基本生活費(食費、光熱費、通信費、車両費、レジャー費、被服費、雑費)の収入に占める割合は約40%です。一見、適正な範囲に収まっているようですが、お子様が1人だけでありしかも小さいので、35%以下にすべきかと思います。今後お子様が増えたり、大きくなっていくと、この金額は増えていきます。さらに今は必要ありませんが教育費もかかってきます。将来を考えるのであれば、まずは基本生活費の見直しです。食費に関しては、人数を考慮して5万円に抑えるように献立を工夫したり、外食を控えたりするといいでしょう。

保険の見直し

現在保険には、お2人で月26,000円支払っています。この金額は医療保険をメインで考えてみると高い保険料です。そこで、ぜひ保険料の見直しも視野に入れていただきたいと思います。まずは終身医療保険ですが、これは掛け捨てでしょうか? この保険料であれば、一部積立が入っていませんか? 医療保険は掛け捨てで、保険料を安くすることが基本です。

また、ご主人の場合、入院日額1万円の保険ですが、会社員ですのでもし病気やケガで働けない場合には健康保険から「傷病手当金」が最長1年半支給されます。支給額は休業1日につきお給料を日額(正確には標準報酬日額)に直した3分の2です。つまり、もしもの時のための医療保険ですが、傷病手当金の支給もあるので、補償額は少なくても大丈夫なのです。この終身医療保険を現在の年齢で加入したとして見直してみました。

保険の内容は、多少異なってくるかと思いますが、基本の終身医療保険であることに変わりはありません。また、インターネット専用の特別に安い商品ではなく、一般的な商品ですが、このような見直しをすると保険料は約1万円も節約できます。さらにがん保険を別に加入されていますが、この終身医療保険にセットで加入するとさらに安くなると思います。

お金の使い方の見直し

やはり節約で一番重要なことは、お金の使い方ではないでしょうか? そこで今の支出項目を整理して4つに仕分けをします。

○なくす

  • 生活の中で優先順位の低いものから不要なものとして予算から削ります

  • 生活の中であまり意識せずに使っているお金が対象です(例:読まない雑誌、使わないカードの年会費等)

○減らす

  • 生活の中で必要だけど量を減らしたり、回数を減らしたりできるもの(例:保険、旅行や外食の回数)

○代用する

  • 生活の中で必要だけど、他の方法でおきかえることで実現できるもの

  • 買うのではなく借りたり現在利用しているサービスを別のサービスに代えたりします(例:ディナーをランチに、スポーツクラブから自分でジョギング)

○現状維持

  • 優先順位の高いもの、生活上どうしても必要なもの

このように現在の支出項目をすべて書き出して、この4つの項目に入れていきます。そうすると不要な支出をあぶりだすことができます。

貯蓄の見直し

現在、貯蓄は定期預金と普通預金だけですが、これを見直してはいかがでしょうか? 現在の銀行の金利は非常に低く、物価の上昇に負けてしまいます。つまりせっかく貯金をしていても、その利息がモノの値段の上昇に追い付かないということです。そこで、現在の普通預金の一部を個人向け国債10年変動金利の商品に預け替えをしてみてはいかがでしょうか? これは国が元本を保証していますし、金利は半年ごとに見直され、金利が上昇する局面では有利な商品です。銀行でも郵便局でも取り扱っていますので資料等取り寄せてみてください。

また、お子様の教育資金のご準備ですが、よくあるケースは、学資保険に加入する方法です。しかし、低金利の現在利息はほとんどなく、支払った金額くらいしか戻ってこないケースも。しかし、中には元本割れしない学資保険もあるので、探してみるといいでしょう。保険の意味を考えた場合、瀬戸様は終身として500万円しか補償がありませんので、補償を上乗せする意味として学資保険は有効です。しかし、何度もいいますが利息はほとんどありませんので、あくまでも保険として割り切ることが必要です。

生活費、保険、お金の使い方、貯蓄などこれを機にぜひ見直しをして、節約に励んで下さい。

<著者プロフィール>

(株)プラチナ・コンシェルジュ ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士 菅田芳恵

大学卒業後、証券会社・銀行・生保・コンサルティング会社に勤務。49歳から2年間で7つの資格を取得し独立。様々な資格を活かして多面的に話をすることが得意。資産運用、家計管理、ライフプラン、キャリア形成、年金、心の健康についてアドバイス、執筆、セミナー講師として活躍中。