寝苦しい夜が続く今日この頃。真夏の暑さを吹き飛ばすべく、3人のお笑い芸人に奇妙な体験について語っていただきました。涼しさとともにほかのなにかがやってこないよう、ご注意ください……
今回の語り手は、お笑いコンビ「マテンロウ」の大トニー。『よしもと本社』での奇妙な体験を語っていただきます。
『机の下から……』
僕の所属している「よしもと」は、廃校になった新宿の小学校を買い取って本社の社屋にしているんですが、ネタの打ち合わせとかもそこでやることがあるんです。
その中のある会議室で、相方とネタ合わせをしていたときの話なんですが、その日僕たちは壁のほうを向いてネタ合わせをしていました。
ひと通り終わって、一息つこうとふっと振り向いたら、後ろにあった机の下から、髪の長い女の人がぬっと出てきたんです。
ちょうど上を向いた状態で、目を見開いて。
思わず「うわーっ!」と叫んでしまったんですが、相方には見えていないので「何? なに?」と慌てているわけです。
でも僕はとにかく怖いので、「一回出よう!」と相方を引っ張って部屋を出ました。
相方に「机の下から女が出てきた……」と話したんですが、彼はやはり見ていないそう。しばらくして部屋の中を見てみたんですが、もういなくなっていました。
その日はバイトがあったので、相方と別れてバイト先のダーツバーに向かいました。
その店の常連で霊感の強い人が一人いるんですが、その日来店するとすぐ僕に「今日女の人の幽霊見たでしょ、髪の長い」って言うんです。
驚いて「なんでわかるんですか?」って聞くと、僕の後ろを指して「いるもん、そこに」と。
すごく怖くなったので、お清めの塩をもらって、閉店後に店の中にその塩をまいて帰りました。
次の日もバイトだったのですが、またそのお客さんが来て「もう店にはいなくなったよ」と言われたので、とりあえず安心していました。
僕が上がり時間になると、その人もちょうど帰るところだったので一緒に店を出て帰ったんです。
そして後日、またその人が来店すると、僕に「まだいるよ、あの子」と言うんです。
「え、いなくなったんじゃなかったんですか?」と聞くと、「塩をまいたから、店に中にはいなくなったけど、店の外にずっといる」と。
この前僕と一緒に帰ったときに気付いたそうなんですが、僕が店を出るとふっと現れて後をついていき、そのまま僕の家に一緒に入っていったそうです。
そして、「今日も店の前に立ってるから、気を付けたほうがいいよ。その霊あんまり良い感じがしないから」と言われました。
ちなみにまだ、除霊に行っていません……。
マテンロウ・大トニー
お笑い芸人。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。東京都出身。2010年に相方のアントニーと「マテンロウ」を結成。2016年、芸名を「大野大介」から「大トニー」に変更した。中学生の頃から心霊体験をするようになり、怪談ライブやイベントなどにも数多く出演している。