日常生活の中でできる受験準備とは

時間に制限のある共働き家庭は、受験のための教室に足しげく通うことが難しいと思います。そこで今回は、日常生活の中でできる小学校受験に向けた訓練についてお話したいと思います。

一度に複数の指示を出してみる

小学校受験では、ペーパー試験、体操、絵画・工作、集団行動観察などの科目がありますが、いずれも共通して審査されているのは「目的を把握し、指示を理解し、厳密にルールを守れているか」です。

例えば「工作で作ったものを使い、みんなでゲームをしましょう」というタイプの試験の場合、ゲームに熱中していたとしても、初めに決められたルールを忘れることなく守り通せるかが見られています。先生の指示をきちんと聞き、ルールを守りながら目的のために集中して手段を尽くせるか。入学後の学校生活にダイレクトに影響する能力ですから、重視する学校が多いのもうなずけますよね。

では、この能力はどのように身に付けていったらよいのでしょう。もちろん、小学校受験のための教室に通い、実践的な経験を積んでおくことは大切です。しかし、日常生活の中のささいなことでも、訓練はしっかりできます。例えば、夕食の前に(1)おもちゃの片付け(2)手洗い(3)おはしを並べる(4)食べずに座って待っているといった指示を一度に出してみてください。生活上の指示をいくつかまとめて子どもに伝えてみるのです。

指示の中に「遊んでしまいそうなもの」「おいしそうなもの」に触れる機会が混じっているのがポイント。「楽しそうなものでも触れてはいけない」「条件を満たすまで食べてはいけない」といったルールを守るのは、興味豊かな5歳前後の子どもにはなかなか難しいことですから、よい訓練になります。子どもが指示通り行動できるようになったら、指示の数を増やしたり、内容を細かくしたりして、難易度を少しずつあげていきましょう。

新しい知識を定着させる方法

また、子どもが新しく覚えた知識を定着させるために、その内容についてクイズを出すのも効果的です。例えば、歩いていて見かけた花の名前を教えてあげたとしましょう。その際、まずその場で子どもの口から花の名前を言わせます。一度口に出すことで記憶にとどまりやすくなるからです。そして時間がたってから、「この花の名前はなんだった? 」とクイズを出してみましょう。答えられるようになるまで何度も繰り返せば、知識は定着します。絵本を読んであげたあと、内容に関するクイズを出すのもいいですね。

教わったものを確認されることが習慣になると、子どもは「あとで聞かれるぞ」と緊張感を持って記憶する努力をします。そうすると、身に付く知識の量も質も格段に違ってくるのです。注意深く聞いて覚え、あとで質問されても答えられるという力は、知識の定着だけでなく、実際の試験でも直接いかされるでしょう。

どんな訓練でも、できたらとにかくほめる!

さまざまな訓練方法を紹介してきましたが、全てにおいて大切なのは、きちんとできたらオーバーなくらいに喜んで大げさにほめてあげることです。子どもたちはお父さんお母さんが大好きです。大好きな人が喜んでほめてくれるという喜びは、「次もがんばろう」「もっとできるようになって驚かせたい」という意欲につながります。大人から見たらささいなことでも、子どもが一生懸命努力していることは、一つひとつ反応してあげましょう。

逆にできなかった時は、どの工程でなぜできなかったのか・忘れてしまったのかを冷静に振り返り、「またやろうね」と挽回のチャンスを提示し、次はできるようにがんばろうと励ましてください。どうしたらうまくいくのか、丁寧に教えてあげることも大切です。「できなくてがっかりした」と言ったり、怒ったりしてはいけません。子どもにとって訓練自体が嫌になってしまうからです。日々の生活に効率的に訓練を取り入れ、楽しみながら身に付けていきましょう。

次回は最終回。共働き家庭が受験に臨む際、努力すべきポイントや手段をまとめてご紹介します。

※写真と本文は関係ありません