■ひとりでプール通い、映画鑑賞で涙

  • 中学校入学式の日。あどけなさはまだ少し残るものの、詰め襟の学生服が似合う少年に。/『自閉症の息子が自立して生きる道』(KADOKAWA)より

    中学校入学式の日。あどけなさはまだ少し残るものの、詰め襟の学生服が似合う少年に。/『自閉症の息子が自立して生きる道』(KADOKAWA)より

夏休みになると、翔太は町営プールに通うようになりました。

家から駅まで徒歩2分、電車で2駅、そこから徒歩で10分ほどのところにあります。土日の2日も付き添えば、月曜からは翔太ひとりで行けるようになるだろうと最初は私も一緒に。

小学校時代に授業で利用していたプールなので、どこに何があるかは彼もよくわかっていました。

広いプールに15人ほどがいて、翔太が知っている子もいたようですが、彼はひとりで潜ったり泳いだり。とても気持ちよさそうです。

「明日も来る?」と聞くと「来る!」。

「ひとりでも来られる?」と聞いても「来れるよ」と軽快な答えが。

何も質問しないということは、不安がないということ。

一度くらい財布をなくすことがあるかもしれないけれど、それもまた経験です。

また、家族で映画もよく観に行きました。

『千と千尋の神隠し』は、部活で忙しい長女・可奈子を除く家族4人で。

翔太はスクリーンから目を離さず、見入っていました。

その翌日は、可奈子も一緒に家族5人でスティーヴン・スピルバーグ監督の『A.I.』へ。あ、日本語吹き替えじゃない!字幕スーパーは漢字が多いな、翔太は読めるかな、とハラハラ。

ちょっと睡魔に襲われてウトウトしたり、時々背伸びをしたり。やっぱり難しいのかなと思っていたら、クライマックスで彼が声を潜めて泣き始めるではないですか。「悲しいよ」とつぶやいて、溢れ出る涙を拭っています。

詳細なストーリーはわからなかっただろうけれど、彼は十分に感じ取っていたのです。むしろ、言葉に頼らない分、感じ取ったものは大きかったのでしょう。

夜、映画の話をすると、「字は読めなかったよ」と言っていましたが、デイビッドがロボットだったことも彼の切ない気持ちも翔太は全部わかっていたのでした。


次回は高校生になった翔ちゃんのお話です<11/8(土)公開予定>。

『自閉症の息子が自立して生きる道』(KADOKAWA)

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著者:翔ちゃんねる-Fucoママ(渡部房子)
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