■トモニ療育センターで「みそラーメン」と叫びまくる
トモニ療育センターに入会したのは、小学校入学の3カ月後。
友人から借りて読んだ『精神科医の子育て論』(服部祥子著新潮選書)で河島淳子先生の存在を知ったのがきっかけでした。
河島先生の講演を一緒に聞きに行った友人が、先生が所長を務めるトモニ療育センターに入会して一緒に行こうと誘ってくれたのです。
夫も「チャンスを無駄にするな」と前向きに励ましてくれました。
入会後の初セッションで翔太はPEP診断テスト(教育診断検査)を受けました。家庭での基礎学習などである程度、認知面を育ててきたつもりの私は、彼の機嫌さえよければテストもうまくいくだろうとひそかに期待していました。
でも、機嫌は最悪。
自分の思いどおりにさせてもらえないので、大騒ぎです。気に入ったことはサッサとやるけれど、指示されないことまでしてしまう。苦手なこと嫌なことには次第に金切り声で叫び出し、机や椅子をガタガタと乱暴に扱い始め、椅子の上に寝そべり「みそラーメン、みそラーメン」と叫びまくりました。
「こんな状態で知識を身につけても、社会に出たときには通用しません。かえって知識が邪魔になります」
河島先生から頂戴したのは、こんな厳しい言葉でした。
彼の将来像を思い描く余裕もなく、目の前の行動ばかりが目についていた私。
必死に育ててきたつもりの知的能力も、自分勝手にしかできない彼には社会に出たとき何の役にも立たない。できる能力も整えてあげなければマイナスになるし、その能力を使うことはできない。むしろ邪魔にさえなり、必要がないーー愕然としました。
〝大切なことは知識を教えることではなく、心を豊かに育てること〞。
翔太の能力判定だけにとどまらず、異なった視点から彼を見て、今、一番必要とされていることは何かを指摘されたことで、私の考え違い、思い上がりを打ち砕かれた思いでした。
診断テストを受けたのは、彼ではなく、私だったのかもしれません。
息子の言いなりになって機嫌をとり、甘やかすだけの育て方では信頼関係も築けず、指導もできないと気づかされたのも、このテストでした。
今までの育ちを軌道修正するには、覚悟を決めなければならない。
翔太との信頼関係を築くには、本気で向き合う必要があることを思い知りました。「できないから」「わからないだろうから」と言って避けてきたこと、中途半端に取り組んでいただけのことに、徹底して取り組もう。
私が彼に合わせる(子どもに主導権を握らせる)のではなく、私に彼を合わせさせなければ、指導することもできない。
そう決意した私は、翔太との関わり方を180度変えました。
彼の抵抗は激しく、毎日大騒ぎ。同居していた義父母から「そんなに泣かすな」と責められることもありました。
でも、私は「𠮟らない」けれど「譲らない」と心に決め、彼には「投げ出さない」「わがままは通らない」「約束を守る」ことを教えることにしたのです。
トモニ療育センターで母親教育を受けるようになり、私の子育ての目標は大きく変わりました。
それまでの目先のことにとらわれていた子育てではなく、目標は「学校卒業後の翔太」になったのです。
- 人に好かれる人に育てること
- 役立つ人に育てること
- 一般企業で働き、地域で家族と暮らすこと
- 余暇を楽しめることを持つこと
- 可能な限り自由に生きること
目標の期限は12年後。そのために今、必要なことは? と小さな目標に落とし込んでいきながらの子育てに方向転換しました。
次回は小学校時代の翔ちゃんのお話です<11/1(土)公開予定>。

