独立・開業には勇気がいります。そして人それぞれの理由があります。もちろん稼ぐことを目的に開業する人もいるでしょう。しかし、それ以上に「思い」を持ってビジネスに取り組まれている人が大勢おられます。ここではそんな人々にスポットを当てて、独立・開業への思いや、新しい人生の価値観などを伺っていきます。

第16回となる今回は、愛知県小牧市で“次世代型リサイクルショップ”「RE-SQUARE BANUL(リ・スクエア バナル)」を経営されている、株式会社和愛グループ 代表取締役の若山 陽一郎(わかやま よういちろう)さんにお話を伺いました。

  • 若山 陽一郎さん

命を吹き込む“次世代型リサイクルショップ”とは

――いきなりの質問ですみません、どうしても気になるのですが、“次世代型リサイクルショップ”とはどういうものなのでしょう。

若山さん:ありがとうございます、古いものに新しい命を吹き込むことをコンセプトにしていまして、昭和レトロ、古道具を中心に、国内外問わずアンティーク、ヴィンテージといわれる価値あるモノをたくさん取り扱うセレクトショップとして運営しています。

――確かに、ホームページでも素敵な家具や雑貨が並んでいますね。このような素敵なショップを開かれるようになった経緯をお聞かせください。

若山さん:当時は借金があり、人生ドン底だと感じていたのですが、メンターに「人の嫌がる仕事には人生を変える程の大きなチャンスがある」とアドバイスされまして、2008年アルバイト情報誌でたまたま見つけた不用品回収の会社に入ったんです。

お客様の困り事を聞いて周り、不用品回収の仕事を通して感謝される日々を送る中で、この仕事の魅力と可能性に気付きました。2009年には独立、その後コツコツと仕事と仲間を増やしていき、2012年に法人化、株式会社和愛グループを設立しまして、「不用品回収エコーズ」をスタートしました。その後、現在の「RE-SQUARE BANUL(リ・スクエア バナル)」を開きました。

客数・売上ゼロが、1日500人がイベントに集まるまでに

――なるほど。それは平坦な道のりでなかったとも伺いました。

若山さん:はい、バナルは2016年、人目につきにくい辺鄙な場所でオープンしましたので、人を集めるのに苦労しました。とにかく無料で続けられるSNS(特にインスタグラム)に力を入れて毎日毎日店内にあるアンティーク家具、ヴィンテージ家具、昭和レトロ家具の紹介をしました。

客数ゼロ、売上ゼロの日が何日も続いた事もありましたが、インスタグラムのフォロワーが増えるとともにお客様が増えてきて、イベント開催時には1日500人ものお客様が来てくださるまでになりました。こんな辺鄙な場所にあるお店にわざわざ来てくださる事が嬉しくて、ひとりひとりのご来店にいちいち感動していましたね。

オープン時は空調設備が整っていなかったため、夏は外より店内の方が暑く感じる日もあり、私たちスタッフが汗だくになりながら、ご来店されるお客様に入り口で冷たいお茶やアイスクリームを配ったりした日もありました(笑)。

――不利だと思われるような立地や環境であっても、創意工夫で繁盛店になるということですね、勉強になります! さまざまな経験を積んでこられて、ご出版もされておられるとか。

若山さん:昔はダンサーを目指してまして、TRFのバックダンサーに抜擢されて上京もしました。帰郷したのち不用品回収業で起業して、その後は世界一周一人旅で21ヶ国37地域を周りました。カンボジアの学校建設ボランティアにも参加しましたし、帰国後「RE-SQUARE BANUL(リ・スクエア バナル)」をオープンした際には、業界に新しい風を吹かせたとして多くのメディアに取り上げていただきました。

出版は2020年11月ですね、自伝『ラッキーマン~何者でも無い僕が、何者かになる物語~』は、2021年5月フジテレビ系列「奇跡体験!アンビリバボー」にて再現ドラマ化もされました。

不用品回収業者の使命は、この世の中から不用品を無くすこと

――さらっととんでもない経歴をお話くださいましたが(笑)、こうした積み重ねが、若山さんの行動やチャレンジ精神の原動力となっているのですね。バナルを開業されてから今日に至るまでの思いや、やりがいを教えてください。

若山さん:10年前、モノが溢れた時代背景から不用品回収の需要が増えました。捨てられてゆくたくさんの不用品を毎日見ながら環境のことを本気で考えたとき、「私たち不用品回収業者の使命は、この世の中から不用品をなくすこと」だと思ったのです。

6年前に開業した次世代のリサイクルショップ「RE-SQUARE BANUL(リ・スクエア バナル)」は、ある人が見たら不用品だと思ったモノに、新しい命を吹き込み、またある人が見たらそれを必要品だと思うモノに変えてゆくことを使命としています。日々その瞬間に感動していますし、それがやりがいになっています。この積み重ねが環境保護に繋がって、多くの人達の豊かな人生に繋がると信じています。

――その思いが伝わるからこそ、お店も繁盛するのですね。今後の展望などもお聞かせいただけますか。

若山さん:アンティークやヴィンテージ家具は引き続き人気がありますが、今まさに昭和レトロブームが来ています。私たちがずっと目をつけて来たモノに、人の目が集まるようになってきた事に喜んでいます。

つい先日ECサイトをオープンしバナルの商品が全国へお届けできるようになりましたので、この昭和レトロ家具や雑貨などを単なるブームで終わらすのではなく、これを機に「モノを大切にする生き方」をする人が増えて欲しいですね。古いモノへの価値を感じ感謝する心を持つ、その生き方が人を豊かにするひとつの文化になるよう、頑張っていきたいと思います。

――最後に読者の皆様へ、メッセージをお願いします。

若山さん:「RE-SQUARE BANUL(リ・スクエア バナル)」では、ただ古いということだけが価値や魅力になるのではなく、そのモノが持っている存在感や佇まい、背景に秘められたストーリーを大切にする、そういったことに価値があると感じています。

国や年代に捉われず心がときめくモノをセレクトし、お客様がバナルで過ごしてくださる時間を「まるで世界中を旅しているかのよう!」「まるでタイムスリップしているかのよう!」と感じてもらえるような店づくりを目指しています。是非一度お店に遊びに来て下さい。そして私たちに会いに来てくださいね。