入社1年目で知っておきたい「ビジネススキル」とはどのようなものでしょうか? 時間管理やコミュニケーション、PCスキルなど、会社や業界を問わず、身に着けておくと役立つスキルをチェックしていきましょう。

デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 ディレクターであり、社内外でビジネススキルに関する研修やセミナーを行う木部智之氏の著書『入社1年目のビジネススキル大全』(三笠書房)より、一部を紹介します。

第3回は、「初めての仕事は手を抜かない」です。

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初めての仕事は手を抜かない

誰にでも、どんな仕事にも「初めて」があります。新しい業務に携わる、今までやったことのないデータ調査を担当する、異動した先での新しい仕事……どれも初めての経験です。

そのような「初めて」のときは、どんなに時間をかけてもしっかりやりきるようにしましょう。

基礎ができていないと高速化も効率化もできない

「やりきる」とはどういうことかというと、わからないことがあったら徹底的に調べる、手を抜かずに一つひとつ実行する、ということです。毎日毎日、時間に追われて仕事をしていると、ほとんどの仕事は時間との兼ね合いで、いつもパーフェクトな仕事をすることができず、及第点のレベルで完了させることもたくさんあります。

しかし、どんな仕事でも初めての段階では、その仕事の基礎固めのプロセスです。時間度外視でしっかりとやりきったほうが、後々の自分のためになります。

なぜかというと、その仕事の基礎ができていないとスピードアップも効率化もできないからです。また、手を抜かないことでその仕事の勘所を知ることができます。最初から及第点を狙うような手を抜いた仕事をしていては、何年たっても自分の背骨となるようなスキルは身につきません。

また、いずれ自分に後輩ができたり、部下ができたりしたときに、仕事の実務はそのメンバーに任せたとしても、いざというときに自分でもその実務をフォローできるようにしておくためでもあります。自分でできる仕事のストックを増やしておくことが、リーダーとしての武器の多さにつながります。「あれ、やっておいて」と指示しかできない人や、「なんで失敗したんだ!」と詰問しかできないような人は、リーダーとしてはすぐに頭打ちになります。

「いざとなったら、自分が全部できる」から安心できる

私もキャリアアップ、ポジションアップをするにつれて自分自身で手を動かす場面は減らしてきましたが、メンバーに任せている仕事のほとんどは「いざというときには自分でできる」と思って見ています。その余裕があると、安心してメンバーに仕事を任せることができますし、いち早く「なんかマズそうだな」と勘を働かせてトラブる前にアドバイスをすることもできます。自分自身がチームの仕事の保険になっているようなものです。

「去年1 年間は全部自分でやって、何をどうすればいいかわかった。だから今年はできるだけ部下に任せて、自分がやるべき仕事に集中するんだ」。これは、2000人の組織を任されて2年目の役員が言っていた言葉です。それを聞いて、「なるほど」と思いました。

新人時代に限らず、どれだけポジションが上がっても、いつになっても新しい仕事はやってきます。社歴の深浅にかかわらず、「初めて」の仕事では、最初から最後までしっかり自分でやりきる、という姿勢が大切です。

  • 『入社1年目のビジネススキル大全』(三笠書房)より

『入社1年目のビジネススキル大全』

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著者:木部智之
発売日:2022年5月11日
ISBN:9784837928904
価格:1760円