「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第26回のテーマは「自分で作ったルールを守れるとは限らない」です。
我が家は、話し合いの上で「ルール」を細かく決めて、お互いの認識を共有するという方針です。 なので、ルールはたくさんあるのですが、あくまでルールは何か揉めごとがあったときに「ジャッジ」をするためのものなので、日々「ルールに縛られて生活している」という感じではありません。
で……「こういうときはこうしてほしい」とこちらから提案するルールはたくさんあるわけですが、こちらから提案しておいて、言い出した自分が守れないことも……ある。でも、その時に「それはそういう風にしないって決めたでしょ」とつっこまれると、もうケンカにはならないんですよね。 「おっしゃる通りでございます」と!
こちらが提案したルールを指摘されると、「痛いとこ突かれた!」とは思うのですが、全然イヤじゃないんです。なぜなら「ああ、私が言ったことちゃんとわかってくれてる!」という喜びがあるから。
なので、やっぱり細かくルールを決めておくのは、重要だなあと思っています。
ちなみに、マンガのネタとして書き留めることはあっても、実際の運用としてはどこかに書くなどはしていません。話し合って、こういう時はこうしようとお互い確認し合うだけです。なので、実際にどういうルールがいくつあるのかとかは認識していません。
初婚のときもこういうことをしていたのかというと、こちらから一方的にしていた……という感じでした。元夫は自分の意見をあまり言わない人だったので、気が付いたら家の中が「私が作ったルールばっかり」という状況。 元夫は受け身で従順過ぎるところがありましたが、「何もかも片方が判断して決める、もう片方はそれに従う」というのは、私には苦しかった。
私は一緒に共同生活について考えてくれるパートナーが欲しかったのであって、自分の作ったルールを守ってくれる人が欲しかったわけではなかったのです。
今は、お互いの特性について確認し合い、判断をして「こういうことは苦手だからこうしてほしい」「私はこういう方が好きだから、こうしてほしい」ということを話し合っています。
それができるようになったのは、お互いが離婚という「失敗」を経験して、「不仲な状態や、理解し合えない状態で暮らしたくない」という切実な目標があるからだとは思います。
でも、「気になったこと、イヤなことを曖昧にしないで話し合う」っていうのは、夫婦生活だけではなく共同生活の基本なんだと思うんですよね。
日本の学校教育は、「黙ってルールに従え」という指導が多いと感じます。そして、それが長く続いたせいで、家族というミニマムなコミュニティにおいても「話し合いをして、自分達にとって一番快適なルールを決める」ということが、とても苦手になってしまっているのではないかと思います。
私が今のパートナーと「ルール」を決めて生活していく上で気が付いたことは、大事なのは「ルールを守る」ではなくて、「一緒にルールを作る」ほうなんじゃないかということです。だからお互い自分が決めたルールが守れないこともあるけど、「ルールを守れなかったこと」を悪いと責めるのではなくて、「あ、そうだこうすればいいんだった!」と失敗を活かして、すぐに修正できることが最大の利点なんじゃないかなと思います。
この家で一緒に暮らす人たちのルールを、お互いのことを考えて一緒に決める。 これは子育てにおいても同じ方針で、息子はまだ4歳ですが、一方的に「こうしなさい」とルールを押し付けないようにはしています。どこまで理解しているかはおいといても、何か決まりを作るときは「これはこういう理由で、こうしないと困るからこうするのだよ」と説明することにしています。
かといって、それで毎日円満にスムーズに生活できるかというと、みんなそれぞれうっかりしたり、失敗したり、ワガママだったりするわけで……日々、トライ&エラーの連続です。「いつも完璧なわけはないよね〜、まあいっか!」という精神も、我が家の大事なルールのひとつ……のような気がします。
新刊『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』
(幻冬舎/税込み1,080円/2月7日発売予定)
全編書き下ろしエッセイマンガ!
バツイチ同士の事実婚夫婦にめでたく子ども誕生! ここから「家事と育児をどうフェアにシェアしていくか」を描いたコミックエッセイです。家事分担の具体的な方法から、揉め事あるある、男の高下駄問題、育児はどうしても母親に負担がいってしまうのか、夫のキレにどう対処する? などなど、夫婦関係をぶつかりつつもアップデートしてきた様子を赤裸々に描きます。
著者プロフィール:水谷さるころ
女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。