「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第217回のテーマは「自由研究どこまで手伝う? 」です。

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夏休みが終わりましたね。最近は夏休みの自由研究がない学校もあるそうです。しかし! うちの息子の学校にはあります……。

私が小学生の時は毎年何かしらの工作をしていて、「研究」をした覚えはありません。しかし、息子は工作よりも研究派。去年は大好きな「漢字の歴史」についての自由研究をやりました。小学校一年生で、初めての自由研究なので親のサポートは必須。どうやっても一人ではできないので、「漢字の何を調べるのか」「どうやって調べるのか」「調べたものをどうやってまとめるのか」などをかなりサポートしました。

自分はこんなに手伝ってもらったっけ……? と、息子が小学校に入ってからずっと思っています。宿題の音読を聞いたり、丸付けをしたり。私自身は日々の学習をこんなに親にサポートしてもらった記憶がありません。しかし、近年の学校教育は「親のサポート」が前提なのだな、と感じます。

そしてその最たるものが夏休みの自由研究ではないでしょうか。SNSを見ても「子どもの課題を頑張った親」の投稿をよく見かけます。自由研究や工作は親のサポートあってこそ……。息子はまだ小2ですから、工具を使うにも親のサポートがいります。一人で任せてできるようになるにはまだまだです。

とはいえ、一応「どんな自由研究をするか」に関しては、本人に任せました。何から何まで親が口出ししてしまうと「じゃあ自分は何も考えなくていいや」となってしまいがちです。

実際に、私はアイデア出しをするタイプなので「これは? 」「こんなのは? 」とどんどん言っちゃう傾向があります。それで以前息子が「何も考えなくていい」という態度になってしまったことがあったので、「自分でアイデアを出させる」ということに関してはかなり慎重にやるようになりました。

というわけで「自由研究どうするの? 」とは聞きつつ、息子本人からのアイデアを待つようにしました。いくつか候補を聞き出した中で息子がやりたいと言ったのは「シャンプーボトルのポンプの仕組み」についてでした。頭を洗っているときに「これはどうやって出てくるんだろう」と思ったのがきっかけということで、私は「シンプルだけどとてもいい着眼点だな」と思い、「それいいね! 」と褒めました。

しかし……シャンプーボトルの仕組みって、私もわかりません。ネットでちょっと調べてみたのですが、シャンプーボトルのポンプをテーマにした自由研究はあまりないようでした。なので「これは物理の問題だし、理系が得意なパートナーに任せよう」と思いました。そしてバタバタしているうちに、夏休みは後半に

慌てて「自由研究やらなきゃ」という話をパートナーにすると、「なんでそんな難しそうなやつを俺に任せようとするんだ! 」と言われました。でも私一人では手に負えないので、結局やってもらうことに……。

数少ないネットの記事を参考にしようと思っていたのですが、なんと実際に分解してみるとそれとは構造が違う……! 仕方ないので、パートナーが分解して自分で構造を解明することとなりました。しかも、それを子どもが理解できるように説明しなければならない! かなり難しかったです。

ポンプの上の部分と下の部分の2つに「弁」がついていて、液体が下から上にしか流れない構造になっているのですが、息子にはまず「弁」とはなにか、から説明しなければならず「めんどくさいものを選択してしまった……! 」と思いました。しかし、いつも使っている身近なアイテムの構造がこんなことになっていたとは。親もいろいろな発見があったので、楽しかったのですが。

そこまではパートナーがやって、ここから先「小2のレベルでどうまとめるか」は私の役割になりました。去年のレポートも私が「台割(本を作るときに最初に作る設計図みたいなもの。どのページに何を書くかを決める)」を作ってあげました。どこまで親がやっていいのか? とは思ったのですが、私もマンガの本を作るときは編集さんに台割を作ってもらい、進行管理をしてもらってるな……と思い、子どもの自由研究の「編集者」くらいの役割をするのはアリかも、と思うことにしました。なので台割を作って進行管理をし、書き上がったレポートを校正して「ここにこういう説明を入れるとさらにわかりやすくなるよ」とアドバイスしました。

あれこれ言っていたら息子に「お母さん注文が多い! 」と文句を言われたのですが「お母さんも仕事で編集さんに言われたら直してるんだよ」と言うと、「そうか……」と納得してやってくれました。

サポートしてる最中、自分も釘とハンマーを使うような、ちょっと難しい工作をするときは父親に手伝ってもらったな、ということを思い出しました。そのうちすぐにサポートがいらなくなる日が来ると思うと、サポートが必要な時間は貴重なのかもしれません。何年生までサポートがいるのかな? と思いつつ、来年も頑張ろうと思います。

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著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。