「家事も育児も家計も全部ワリカン! 」バツイチ同士の事実再婚を選んだマンガ家・水谷さるころが、共働き家庭で家事・育児・仕事を円満にまわすためのさまざまな独自ルールを紹介します。第186回のテーマは「LINEの名前表記どうするか問題」です。

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連絡方法の主流がスマホになって、もうかれこれ10年以上経ちますね。

プライベートからお仕事まで、今の我々の生活に「LINE」は欠かせないのではないでしょうか。私の場合はFacebookMessengerもよく使います。それにしても音声通話が可能なテキストメッセージのツールが、主な連絡手段になってきていると感じます。今どきの若い子は、友達の携帯番号を知らないんですよね。私もここ数年知り合った人の携帯番号は知らないことが多いです。LINEを交換するか、Facebookをフォローしあえば連絡がつきます。

一時期かなり悩んだのが「ママ友とのLINE交換」です。自分の名前をどう表示するか? というのが一番の悩みでした。電話番号は、入力する人が認識している名前で登録するわけですが、LINEなどは最初はこちらが設定した名前が相手に表示されます。グループチャットになったときに、子どもと同姓でない名前の表示にしてるアカウントだと「この人、誰のママだっけ? 」となることがよくあったのです。

私は日常生活の9割を「水谷さるころ」で過ごしています。私のペンネーム「さるころ」は元々あだ名由来です。高校受験用の塾で「さるちゃん」と呼ばれるようになって以来、ずっと「さるちゃん」と呼ばれていました。

そのまま、学校の友達と一緒に今の仕事につながるところでバイトやお手伝いをするようになりました。「さるちゃん」というあだ名のインパクトが強すぎて、知人友人のほとんどが本名を認識する機会がなかったので、そのままペンネームにしました。本名が「水谷信子」なので、本名に寄せて「水谷さる子」にする? いや、イマイチかわいくない……と悩んでいたら、友人が「じゃあ、さる子じゃなくてさるころは? 」と提案してくれたのを採用しました。

それ以来ずっと「水谷さるころ」で過ごしています。15歳から「さるちゃん」、20歳から「さるころ」ですでに26年。20歳で「さるころ」を名乗り始めたときに「30代、40代になってもさるころなの? 」と言われたのですが、40代の今も「さるころ」をやっています……!

学生のころから「さるちゃん」と周りに呼ばれているうちに、気がついたら姉弟からも「さるちゃん」と呼ばれるようになっており、現在は甥姪からも「さるころ」で呼ばれています。パートナーももちろん私を「さるころ」と呼ぶので、そのまま義実家でも「さるころ」で呼ばれています。なので、私を普段本名で呼ぶのは病院の受付と両親と、義両親くらいです。

ちなみに、世の中にはペンネームがあるけど、プライベートではペンネームは出していないという方もいらっしゃいますよね。仕事の名前と本名が完全に別で、生活も別みたいな。ペンネームを日常生活で一切使わないで暮らす、というのは「プライベートと仕事は分ける」タイプの方かもしれません。

私の場合はペンネームですが、仕事とプライベートの名前が別という人は多くいます。主に「結婚改姓」をして、仕事では旧姓を使っている人達です。LINEなどでも、「新姓(子どもと同じ姓)/旧姓/名前」という表示にしている人は結構います。

私は事実婚なので、夫と子どもと姓が違います。ママ友相手であれば自分の名前を両姓併記するのが最も親切だということはわかります。しかし私は初婚で、なんにも考えずに「結婚しました」と伝えていたら、「じゃあもう仕事はそんなにしないんだね」と思われたり、「養ってもらってるなら安い金額でいいよね」と言われたりしたことがあって、結婚や出産を絡めた情報を出したときに「仕事相手にどう思われるか」ということにはセンシティブになっています。なので、「ママ友に対してわかりやすくて親切だから」ということだけで、仕事相手も見る「名前」をプライベートに合わせた名前に変えることがどうしてもできませんでした。

ママ友の中には、仕事の話を一切しないタイプの人もいます。名前、仕事、生活を完全に切り分けている。プライベートの情報を仕事に一切持ち込まない人、仕事の情報をプライベートに一切持ち込まない人……そういう人を見ると、そういった使い分けが私にはできない……! といつも思います。理由は……めんどくさいからです。

ママ友とLINE交換する、保育園のグループLINEを作るとなったときに、仕事でも使っているアカウントのままやっていいのか悩みました。しかし、LINEは電話番号につき1つのアカウントしか使えません。仕事とプライベートを使いわけるタイプの人は端末も使い分けるのだと思いますが、私は携帯電話が増えたら絶対に管理しきれません。性格的に2つも携帯見ない……と思って悩みに悩んだ結果、ペンネームのままママ友と連絡先交換するということにしたのでした。

でもわかりにくいよね……と悩んだ結果、アイコンはイラストにしました。家族全員の似顔絵を描いて、ママ友に「ああ、あのご家庭のママね」とわかってもらいつつ、仕事相手には自分の仕事をわかってもらえる。

LINEはプライベート、Facebookは仕事、と分けたりできたらいいのかもしれませんが、みんなが同じように使い分けてるわけではないので結局繋がりがごちゃごちゃになり……結局どこでも同じような悩みが発生してしまいます。

連絡手段の選択肢が増えると便利にはなるのですが、同時に悩みは増えるなあと思います。快適に過ごすための方法を探りつつ暮らしていかないとなと思ってます。

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著者プロフィール:水谷さるころ

女子美術短期大学卒業。イラストレーター・マンガ家・グラフィックデザイナー。
1999年「コミック・キュー」にてマンガ家デビュー。2008年に旅チャンネルの番組『行くぞ! 30日間世界一周』に出演、のちにその道中の顛末が『30日間世界一周! (イースト・プレス)』としてマンガ化(全3巻)される。2006年初婚・2009年離婚・2012年再婚(事実婚)。アラサーの10年を描いた『結婚さえできればいいと思っていたけど』(幻冬舎)を出版。その後2014年に出産し、現在は一児の母。産前産後の夫婦関係を描いた『目指せ! ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』(新潮社)、『どんどん仲良くなる夫婦は、家事をうまく分担している。』(幻冬舎)が近著にある。趣味の空手は弐段の腕前。