【その3】趣の違う2種類の温泉は"源泉かけ流し"!

  • 軽井沢を代表する人気の日帰り温泉「星野温泉 トンボの湯」

大正時代に、現在の代表・星野佳路さんの曽祖父にあたる国次さんが掘り当てた星野温泉。今では観光客に限らず、地元の人や別荘族に愛されていますが、もともとは草津温泉帰りの人が立ち寄る"仕上げの湯"として重宝されてきました。

草津温泉は日本有数の強酸性の湯。例えば、草津の中心部にある湯畑源泉は、pH2.1でほぼレモンと同じ酸性値です。以前、草津の人に教えてもらったのですが「1円玉を温泉に入れておくと、1週間で溶けてなくなるんだよ!」という逸話があるほど。

そんなハードな温泉に浸かった後は、肌に優しい仕上げの湯に入るのが格別。「星野温泉」の泉質は、三大美人泉質のひとつ「炭酸水素塩泉」を含んだ、ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉(低張性中性温泉)。

泉質名には出てきませんが、肌触りをまろやかにして、保湿をサポートしてくれる「メタけい酸」の含有量も100mg以上とたっぷり。温泉分析書をチェックすると、強力な美肌の湯だということがわかります。

  • 室内から緑を眺めて癒される「星野温泉 トンボの湯」の内風呂

「星野温泉 トンボの湯」には、大きな内風呂と岩風呂が2つありますが、どちらも源泉かけ流し。温度の違う源泉をブレンドしながら、最適な温度になるよう調整しています。

温泉好きなら、「えっ、このサイズのお風呂が源泉かけ流しなの!?」と驚くはず。というのも、これだけ広いお風呂だと、一般的には温泉を循環ろ過して使い回す施設が少なくないのです。しかし、ここは湯量が豊富。敷地内から毎分400リットルもの温泉が湧き出すため、温泉を再利用することなく、かけ流しで楽しめるのです。

ヒノキと十和田石で作られた深い湯船の内湯は、窓が大きく、天井が高い! 室内にいながら森の緑を感じられて、開放的な気分を味わえます。

  • 森林浴をしながら開放的な眺めが楽しめる「岩風呂」

花崗岩で作られた野趣あふれる露天風呂は、森の澄んだ空気に癒やされる最高のロケーション。お湯に浸かりながら、新緑、紅葉、雪見と軽井沢の季節のうつろいを感じられます。緑に覆われた山々と鳥たちのさえずりに耳を傾ければ、日頃の疲れもスカッと吹き飛びますよ。

しかも「星のや軽井沢」のゲストは、10時オープンより1時間早い時間に入場可能。一番風呂を楽しめるなんて、これは行くしかないでしょう!

  • 「星のや軽井沢」宿泊者専用の「メディテイションバス」

そして、もうひとつ。「星のや軽井沢」には、ほかでは決して味わえない“リラックスを追求した"温泉があります。それが、こちらの宿泊者限定「メディテイションバス」。浴槽内は、リラックスできる温度(約39~40度とぬるめ)になっていて、じっくり湯に浸かりながら、自分自身と対峙できます。

最初に現れるのは、打たせ湯が並ぶエリア。柔らかな光がもれてくる方へ歩いていくと、心が落ち着く「光の部屋」にたどりつきます。さらに奥へ進むと、光の世界から一変、非日常的な暗闇に包まれる「闇の部屋」へやってきます。

真っ暗な中、湯に浸かっていると、雫の音だけが静かに響き、五感が研ぎ澄まされるよう! 重厚な雰囲気がまた心を落ち着かせてくれます。

腹式呼吸を行いながら、「光の部屋」と「闇の部屋」を行き来することで、いつしか無心となる瞑想の感覚に。ここでしか体験できないディープなリラクゼーションタイムは、旅の満足度、充実度をグンとあげてくれますよ。

嬉しいことに、「メディテイションバス」も源泉かけ流し。外に出歩かず、おこもりしたい人にはうってつけの名湯です。

  • 「星のや軽井沢」総支配人、赤羽 亮祐さん

最後にアフターコロナを見据えた今後の展望について、総支配人の赤羽さんに話を伺ってきました。赤羽さんは長野県伊那市出身。星野リゾートへ入社後、「星のや軽井沢」の総支配人に抜擢され、現在に至るまで第一線で活躍を続けています。

「コロナ禍で苦戦した時期もありましたが、軽井沢は滞在のフィールドが屋外であることや、マイクロツーリズムの機運が高まり、都心近くの方がいらっしゃったこともあり、"星のや"の中でも早い段階で限りなく通常運営に近い状態へ戻ることができました」と、教えてくれた赤羽さん。

「これからは、コロナ禍でセーブしていた"未来を見据えた活動"を行っていきたいと思っています。例えば、今まで脈々と受け継がれてきた環境経営や星野リゾートの歴史は、私たちが最も大切にしてきたこと。今後はお客さまが滞在する中で、そういった点にも触れて楽しんでいただけるような仕組みを考えたいと思っています」。

具体的に、どういったサービスをお考えなのか尋ねてみると……

「星野エリアを散策する中で、ひとつのコンテンツとして、水力発電所を見てもらえるように整備したいと思っています。できれば、2022年中には何かしら形にしたいですね」。

先人から受け継いださまざまな思いがぎゅっと詰まった、グループのフラッグシップ的な存在ならではの取り組みですね。今後が楽しみです!

地の利を生かしたエネルギーを大切に受け継ぐリゾート!

日本のホテルブランドの中でも、絶大な知名度とブランド力を誇る「星のや軽井沢」。しかし創業当初から、サスティナブルな取り組みが行われてきたことを知らない人が多いのも事実です。

脱炭素やSDGsが声高に叫ばれる今だからこそ、楽しい! キラキラ! なだけではない、真の理念に触れる旅をしてみるのもいいかもしれません。

■Information
星のや軽井沢
【場所】長野県軽井沢町星野