バイクブームで予約がいっぱいの教習所を卒業し、ようやく納車された愛車を駆ってバイクライフを楽しんでいる初心者の方も多いと思います。いろいろな観光地を巡るのも楽しいですが、手先の器用な人なら「ちょっと自分でイジってみようかな? 」と思うはず。

今回は、そんなDIYメンテ初心者におすすめの工具10選(前編)を紹介します。

【1】ドライバー

一般的に「ねじ回し」といえば「ドライバー」。組み立て式の家具などでも使われるため、ほとんどの人が使ったことがあるはずです。家庭に常備されているものは「プラスドライバー」で、バイクの部品でもよく使われています。

「プラスドライバー」は先端が十字に加工されており、「プラスねじ」の頭に刻まれた溝に嵌合させて回転させます。回すだけなら簡単だと思いますが、十字の大きさには規格があります。ほとんどは「2番」と呼ばれるサイズですが、まれに1サイズ大きい「3番」や、小さな「1番」も使われています。

プラスねじとドライバーのメリットは簡単に早回しができることですが、この十字の溝は意外にデリケートです。雑に扱うと簡単に溝が破損するので、サイズに合ったドライバーをねじに対して直角に立て、固い場合は強く押しつけながら回してください。「7で押して3で回す」とよくいわれますが、場合によってはそれ以上の力で押すときもあります。

十字の溝が痛んだり、ねじの固着がひどい場合は、後端をハンマーで叩ける「貫通ドライバー」や、叩くことで回転する「ショックドライバー」などがあります。また、「マイナスねじ」はだいぶ少なくなりましたが、古いバイクはキャブレターや電装系に使われています。

  • プラスドライバーの種類や使い方

【2】レンチ

「レンチ」は六角形のボルトやナットを回すときに使う工具です。メカニックを象徴するアイコンとして使われるものは両端が開いた「オープンエンド」と呼ばれるレンチですが、実際にはこのツールをメインに使っているメカニックはまずいません。

六角形のボルトを締めたり緩める場合は、なめないように6つの面にしっかり接触する「メガネレンチ」や「ボックスレンチ」を使うのが基本で、2つの面しか接触しないオープンエンドやモンキーレンチは、すでに緩んでいるボルトの早回しや、工具が入らない時に使うものです。

メガネレンチは使いやすいように先端がオフセットされ、両端に1サイズ違うものがついていますが、両端とも同じサイズのメガネとオープンエンドを組み合わせた「コンビネーションレンチ」もあります。「ソケットレンチ」はラチェットなどのハンドルと組み合わせることで、確実に力をかけて狭いスペースで早回しができます。メガネやソケットは6角と12角がありますが、これは使う人によって好みが分れます。

初心者におすすめなのは8~19mmくらいがセットになった12角のコンビネーションレンチですが、今は工具もだいぶ安くなったので、ソケットとラチェットハンドルも揃えておけば作業が楽しくなるはずです。

  • レンチの種類や使い方

【3】ラチェットハンドル

さまざまなサイズのソケットやヘックスなどのコマを接続でき、狭いスペースで作業できるツールが「ラチェットハンドル」です。作業効率の良さだけでなく、そのメカメカしさから持っているだけで頼もしいツールでしょう。

ラチェットハンドルとコマは、接続部の四角い部分に「差し込み角」という規格が設けられています。1/4(6.35mm)、3/8(9.5mm)、1/2(12.7mm)がありますが、バイクの場合は3/8を使っている人が多いようです。ギアの入った頭の形状は小判型のほか、首振りができるもの、球状で回転するスイベル型、柄の部分が伸縮できるタイプなどさまざまな製品が出ていますが、基本的にシンプルな方が頑丈です。

エクステンションバーは、ラチェットハンドルとコマの間に接続する延長バーで、ハンドルを振るスペースを確保するために使います。長さもいろいろありますが、長短で2、3種類あれば困らないはずです。回転軸の角度を変えられる「ユニバーサルジョイント」も組み合わせれば、かなり狭いところの作業もできるでしょう。

とても便利なラチェットハンドルですが、ワンウェイギアの構造を持っているため、体重をかけるような大きい力に耐えられるツールではありません。固着したアクスルシャフトなど、大きなトルクを必要とするときは柄の長いメガネレンチやスピンナーハンドル(ブレーカーバー)を使います。

  • ラチェットハンドルやエクステンション、ブレーカーバーなど

【4】ヘックスレンチ

プラスねじや六角ボルトではなく、円柱の真ん中に六角形の凹みがつけられたのがいわゆる「キャップボルト(六角穴付)」。デザインもよいため最近は多くのバイクでも使われていますが、これを回すのが「ヘックス(六角・ヘキサゴン)レンチ」です。

一般的なヘックスレンチの形状は六角断面の棒がL字型に曲げられたタイプで、数本のセットになっています。1本ずつ外して使いますが、折りたたんでポケットサイズになる携帯用もあります。

L字のレンチは作業に応じて長短のどちらかを使い分けますが、斜めでも回せるように先端がボール形状になったものもあります。ただ、細くくびれた部分は強度が低いため、すでに緩めたボルトの早回し用と考えた方がよいでしょう。

また、ラチェットなどのハンドルを持っているのであれば、ソケット式のセットも揃えてL字型と使い分けるのもおすすめです。L字よりも力がかけやすく、早回しもできるので作業効率は上がります。

  • L字とソケット式のヘックスレンチ

【5】プライヤー

プライヤーは何かをつかむ形状の工具で、オープンエンドレンチ同様、メカに詳しくない人にもおなじみの工具です。正確には先端が細い「ペンチ」は細かい作業向きで、握りや開き角も大きな「プライヤー」は、部材をガッチリつかむツールに分別されます。類似した形状で切断に適したものが「ニッパー」です。

多くのプライヤーは、挟む部分に滑り止めの溝加工がされているため、再利用するボルトを回したり、キズをつけたくないものをつかむのには適していません。針金や金属板を曲げたり、ドライバーやレンチなどが使えない時のエマージェンシーツール的な扱いをされるのがほとんどです。

また、プライヤーの中でなかなか使えるのが「ロッキング(バイス)プライヤー」です。鉄板をリベットで挟んだ武骨な見た目ですが、ガッチリと強くつかんだ状態でロックができるため、頭部がなめてしまったボルトを外すときにも重宝します。最近は100均などでも売られているので、1本持っておいても損はありません。

一般的なプライヤーはペンチに似た左右対称の形をしていますが、さらに大きく、先端に角度がついた「ウォーターポンププライヤー」は、より大きな力がかけられます。このタイプの中には、挟む部分の精度を高めてボルトを傷つけずに回せるものもあります。

  • プライヤーなどの種類