面接官の質問には必ず裏がある

就活で面接官からの質問は、言葉通り、素直に受け取り、直球で答えると失敗します。なぜなら、その質問の「裏」に面接官が聞きたい本音の質問が隠れているからです。

面接官「最近気になるニュースは何がありましたか?」
就活生「北京オリンピックで羽生結弦選手が4位でインタビュー中、涙したことです」

この回答だと「羽生結弦選手が松岡修造さんに声をかけられた時に感極まった涙は……」という、ただの世間話にしかなりません。

面接はただの世間話やおしゃべりの場ではなく、ゴールは、面接官が「一緒に働きたいと思えるか」「我が社で活躍してくれるイメージが湧くか」です。

この質問には裏の意図があり、聞きたかったことは、「ニュース、新聞、ネットで、この業界の事をどれだけ興味を持ち、アップデートしているか」なのです。

逆に、面接官が本音で聞きたかった事が分かれば、他の就活生と大きな差を付けられます。ご安心ください。就活の面接の質問は「12の型」が決まっており、それに合わせ、本音の質問を知り、自分の持ち味に沿って答えればいいのです。

今回は、壱の型「なぜ、弊社を希望したのですか?」について解説します。ズバリ、裏の本音の質問は、「当社で何がやりたくて、どう貢献できますか?」です。

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熱意だけでなく、御社が一番である根拠を添える

この質問は「業界も沢山あるし、同業でも会社はたくさんある。どうして我が社を希望するのか」を知りたいのですが、多くの就活生は「とりあえず大手だから」「待遇が良さそうだから」「CMで見たから」など、弱い動機でエントリーするのが実際でしょう。

自分にとっての大本命である、有名大企業、有名スタートアップ企業でもない限り、会社説明会に参加しエントリーしてから、「さて、A社の面接の対策考えなくては」くらいのスタンスが本音でしょう。

もしくは「記念受験」、書類審査が通ればラッキーという人もいるかもしれません。

逆に面接官の立場で考えてみてください。あなたと同じように、緩いスタンスで応募する就活生を大量に面接するのです。一発で見抜かれます。

「だれでもいいので彼女になってほしい」では、どんなイケメンでもモテないのと一緒。
「あなたが一番!」と伝わることがスタートです。

とはいえ、「あなたが好きです!」と初対面で直球を投げると、大抵は「キモイ……」となりますよね。「御社に一番入りたいのです!」と想い・熱意を全力でぶつけて口説けるほど世間は甘くありません。

面接官を「なるほど」と思わせる3つのポイント

そこで、相手(面接官)に「なるほど!」と納得され、一緒に働きたいと思われる好印象を残すチェックポイントは、次の3つです。

(1)なぜ、御社なのかを「仕事の内容を交えて」答える
(2)御社で「自分がやりたいこと」を伝える
(3)やりたいことが、できるという「根拠になる持ち味やエピソード」を添える

これらクリアするにはリサーチと整理が必要。

・本当にこの会社や事業に興味があるのか?
・自分のやりたいことが本当にあるのか? それがトンチンカンではないか?
・どんな会社でどんな仕事があるのかをきちんと調べてあるか
・あなたが学んできたことや強みが我が社の仕事とどう結びつくか

面接官は最低限ここを知りたいのです。では、やりがちな失敗例とお手本例で具体的に解説します。

失敗例

御社を志望する理由は、「おいしい料理を通してお客様を笑顔にしたい」という経営理念に共感したからです。私もおいしいものは大好きです。雪が降る中でのマラソンでゴールした時に食べた時の豚汁のありがたさは一生忘れません。

おいしいものは人を物理的にも心理的にも幸せにします。御社の料理はとてもおいしく大好きで、私もその一員として仕事がしたいと思いました。子どもの頃から料理上手で、新しい発想でおいしいレシピを生み出すことが得意です。

会社のホームページで経営理念をみて、そこから連想して自己PRを考えた印象を与えます。仕事内容を理解した上で、自分がどのような仕事をしたいのか、その根拠を示す形で伝えましょう。

お手本

御社を志望する理由ですが、まずは「おいしい料理を通してお客様を笑顔にしたい」という経営理念に共感したからです。そして、

(1)御社の会社説明会に参加したところ、ターゲット顧客に喜んでもらうため、商品開発を一人のカリスマ社員ではなく、みんなで商品開発のアイディアを持ち合い、率直なフィードバックを通し、チームで工夫し開発していること。自社の商品を心から愛し、誇りを持っていることが伝わったのです。

(2)私も御社で成長しながら、よりよい商品を提供し続ける仕事がしたいと強く感じました。

(3)大学時代の半分はコロナ禍によるリモート環境でした。それでも、NPOの地域活性化の活動に参加し、年齢、環境、想いが違う方々の声を聞き、トップではなく、調整役として、みんなの意見を活かし、まとめる役目を果たしました。そこで培った横や下からのリーダーシップを活かし、商品開発の仕事に携わりたいと思っています。

いかがでしょうか。理念への共感だけでなく、応募企業の仕事について一般論ではなく、具体的に興味を具体的に解説できています。

この結果、(1)を受けて自分が何をしたいのか「飛躍せず」につながっています。そして、(3)で自分の持ち味がどう培われ、何ができるのかを添えることで、応募企業でどんな仕事をしたいのか。それができる根拠が無理なく説明できています。

失敗例では、料理が得意だから商品開発したいと、とってつけたような動機でしたが、お手本では、横や下からのリーダーシップと、実際の仕事で持ち味をどう活かせそうなのか、応募企業の仕事のスタイルと新入社員の位置づけでどう貢献できそうか、働いてもらうイメージが湧きやすくなっているのが、分かるでしょう。

このお手本をテンプレートにして、あなたがエントリーする企業に当てはめてみると、どんな情報が足りなく、自分の経験や持ち味をどう表現すればいいのかが整理されるので、ぜひ、活用してみてください。

コツは1社ずつ、きちんと志望動機を用意することです。