■老人ホームの価格差はどこからくる?

有料老人ホームは、なぜここまで価格差が生じるのか。主な理由は次の5つです。

❶立地・ロケーション

老人ホームの価格に、最も影響を与えるのが立地。都市部や駅近など、利便性が高い地域では地価や運営コストが高くなり、それが居住費に反映されます。

❷建築コストと居室仕様

高級施設では、高品質な建築材料や最新の設備が使用されるほか、居室の広さも20㎡以上とゆとりある設計が一般的。一方、低価格帯の施設では、既存の建物(学生寮や独身寮など)を改装して利用する、あるいは共用スペースを最小限にするなど、コストを抑えて建てることで料金を安く抑えています。

❸共用設備の内容

ラウンジやフィットネスジムなど、共用設備の充実度は料金に大きく影響します。必要最低限の共有スペースのみを提供する施設では、そのぶんコストが抑えられ、価格が安くなります。

❹スタッフの人員配置と介護体制

多くの施設では法令で定められている「3:1」の人員配置が標準ですが、「2:1」や「1.5:1」といった手厚いケア体制をとっている施設は、上乗せ介護費がかかります。

❺ブランド価値と運営母体

大手企業が運営する施設は、共有設備や医療体制、職員配置が比較的整っており、運営実績もあるためサービスの質が高く、その安心感やブランド力が料金に反映される傾向があります。

■総額はどうやって調べればいいの?

有料老人ホームの費用を正確に把握するには、基本料金と追加料金を分けて考える必要があります。

まず基本的な料金として、家賃、管理費(共益費)、食費がかかります。家賃はその名の通り居室の賃料を指し、立地や居室面積によって金額が異なります。管理費は共用設備の維持管理や事務職員などの人件費のこと。食費は「食材費」と「厨房管理費」に分かれることが多く、食材費は利用分のみ請求されるのが一般的です。さらに、居室の水道光熱費が別途かかる場合があります。

これに加え、有料老人ホームでは介護サービスにかかる介護保険の自己負担分に加えて、施設独自の追加料金が発生することがあります。なお、介護保険の自己負担分は、介護度や所得に応じて異なります。

このように、基本料金に月額3〜5万円程プラスされるケースが一般的です。施設見学の際は、総額を確認するために「入居する方と同じ介護度や身体状態の方が、実際に支払っている金額」を確認しましょう。さらに、施設が提供する「オプションサービス」も確認しておきましょう。これは介護保険外の追加サービスのことで、入居者のニーズに応じて柔軟に利用できる便利なサービスですが、都度料金が発生します。

■安い老人ホームに住み替える場合の注意点

近年の不況や物価高騰により、安い施設への住み替えの話は珍しくはありません。検討する際は、次の点に注意しましょう。

❶人間関係がリセットされ、ゼロから関係性を築く必要がある
❷サービス品質が落ちる可能性がある
❸環境変化が心身の負担となる。認知症の症状悪化などの可能性も
❹住み替えでアクセスが悪くなり面会回数が減少することも
❺本当に安くなるのか詳細な確認を

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監修:「LIFULL 介護」編集長・小菅秀樹 漫画:マサまさる

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